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何か謎を解明する方法はないだろうか
高校生の頭で必死に考える
今はどうするべきか
何が最適解か
追うべきか
待つべきか
どちらかを選択しなければ……
……いや
そうではなくて 「38」に警戒すればいいのではないか
一枝さんの様子は 明らかにおかしかった
実際に目で見てから 霊的なものの存在が関係していると 感じられたのだ
そうなると 慎重な判断が求めれる
「38」
謎に包まれているが 何か不吉な予感がしている
これは 何かの警告かもしれない
一枝さんは数字をつぶやいた後に 記憶が曖昧になる
つまり 彼女の体を何者かが借りていて 数字を言わせているのだ
その正体は分からないが 先祖だとか守護霊の類だろう
人の味方である可能性は高い
近いうちに危険なことがある
それを 一枝さんを介して伝えているのだ
その危険なことを示すものが 「38」
この数字に関係するもの 全てを警戒しておく必要がある
俺はそう結論した
いま考えたことを 一弥先輩に話しておくことにした
先輩は少し考えたあと うなずきながら手で膝を打った
一弥
秋斗
一弥
一弥
秋斗
一弥
一弥
秋斗
一弥
秋斗
一弥
一弥
一弥
秋斗
秋斗
一弥
一弥
秋斗
秋斗
一弥
秋斗
「38」
一体、何に関係のある数字だ
座敷のなかを見回す
38個だとして そんなに多くあるものとは何だろう
多くあったとして 「38」なんて中途半端な数字が 綺麗に当てはまるものなんてない
「38」
「38」
「38」
秋斗
秋斗
一つだけ当てはまった
それは……
一弥
一弥
秋斗
一弥
秋斗
一弥
壁掛け時計は 15時30分を示していた
38が関係しているとすれば 38分ぐらいしか思い当たらない
もしくは3時8分でもいい
これこそが 霊の伝えたいもの……
一弥
秋斗
一弥
秋斗
一弥
秋斗
けれども そんなものはいつ来るか分からない
それが 今日という確信はないのだ
「38」の頻度も高すぎて ずっと気を張っていないといけない
本当にこの考えでいいのだろうか
時間
いや
これは
数字
秋斗
一弥
秋斗
一弥
一弥
秋斗
一弥
一枝さんの先程の様子は 数字を呟く時の兆候に似ていた
確か、表情をなくして固まる それから……
一枝
一枝さんの顔が真横にあった
真顔で真っ暗な目を
こちらに向けていた
これ、38回目だったら……
一弥
一体、何が起こるんだ
一弥
何かとんでもない
一弥
一弥
とんでもないことが起こるのか
一弥
一弥
遠くから近づいてくる 何かのおぞましい気配は肌を突き刺す
死への恐怖を超えた 頭が割れてしまいそうなほどの 何かへの恐怖心
涙と嗚咽が止まらなかった
一弥
むぉぉぉんおかあさぁんこやしはすてて きょうはおひがらもよくぅぅおおしゃり
成人の男や女、男の子や女の子 老人のしわがれた声
それらが 不協和音となってノイズのように響く
バコン
玄関の方から 扉が壊された音がした
一弥
一弥
あんまはとなりのねぇいかん みてぇとれたやまにいって あれおとしたなんだ
バコン
隣の部屋の襖が破られた
もう、すぐそこにいる
一弥
一弥
一枝
一枝
あの 一弥先輩が泣いて頼んでいる
顔を畳に埋めて懇願している
一枝さんは 自分が吐いた汚物の中に 額を何度も擦り付けている
まるで 許しを乞うかのように
秋斗
秋斗
一弥
一枝
目の前の襖越しから 声がした
さんさいがなにぃ それってあしたは なんでもああそらは むぉぉぉぉん
一弥
襖を開けて先輩が逃げだす
逃げだしたはずなのだ
しかし
先輩の声が消えた
俺はもう、わかっていた
「38」に触れてはいけなかったんだ
この数字に関わった時点で 俺たちは終わっていた
襖一枚隔てた向こう側で 何が起こったのか
想像もしたくなかった
バコン
襖は破られた