コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
何か謎を解明する方法はないだろうか
高校生の頭で必死に考える
今はどうするべきか
何が最適解か
追うべきか
待つべきか
どちらかを選択しなければ……
俺は決断した
秋斗
一弥
一弥
秋斗
秋斗
秋斗
一弥
秋斗
一弥
秋斗
秋斗
秋斗
一弥
秋斗
秋斗
秋斗
一弥
一弥
秋斗
一弥
秋斗
一弥
秋斗
俺たちは方針を固めた
一枝さん本人にとって 気にしていることなのかもしれない
それは 記憶が飛んでしまうことへの抵抗感から 親族に指摘された時に冷たい反応をとってしまうことが証明している
それ以外に問題がないことも 余計に病への恐怖があるのだろう
俺たちはそれを踏まえて 万が一、何か起こってしまった時に 協力して解決を目指すことにした
つまり 様子を見ることにした
だから 座敷でダラダラと話をしたり 外に行って何もない田んぼを歩いたり
先輩と何もせず遊んだ
夕飯の時間になって帰ると すでに料理が机に並べられており
一枝さんも元のように 愛想よく一緒に食事をとった
普通に休日を過ごしたのだ
夜になって 俺たちはぐっすりと眠った
……
…………
………………
……………………トイレ行きたい
秋斗
秋斗
子供みたいにはしゃいだあと 俺たちはすぐに眠った
現在の時刻は 午前1時40分過ぎだ
もう、深夜である
そんな時間に尿意を覚えてしまったため 仕方なくトイレへ行くことにした
立ち上がる際に 一弥先輩の様子を確認するが
相変わらず ふごふごと物凄いいびきをかいている
おまけに どうやら寝相も悪いようで 何度も俺の顔に足が直撃した
若干の苛立たしさを我慢して 部屋を後にした
……
……ふう
トイレも リフォームしているんだな
和式はちょっと嫌だし 綺麗でよかった
俺はトイレを流して 手を洗っている時にそんなことを思った
最近では 和風を意識した家でも トイレは洋式を好む人が多いと聞く
それもそうで 大きい方は大変なのだ
高校生でも 和式便所の使い方が分からない人も 増えていっているらしい
俺はじいちゃんの家で 昔から体験済みだが不便ではある
リフォームは偉大だな
謎の結論を下して そそくさとトイレから出る
……ん?
トイレの帰り道 廊下を歩いている時だった
襖の下の方から 明かりが僅かに漏れている
ゆっくりと開けると 更に向こう側の襖が少し開いている
光源は奥の部屋からのようだった
一弥先輩か?
しかし思い直す
あの人は一度寝たら なかなか起きないはずだ
夜中に起きて 一人で何かしているなんてありえない
だとしたら
あの光の正体は 一枝さんが起きているからだろうか
秋斗
俺はゆっくりと近づく
詮索するのは止めておけと 注意したのは俺自身だ
だが、わざわざ 襖を少し開けているのが気になる
何かを取りに行っていたりするのか
その間 部屋を開けたままにしている、とか
そう思ったとき
ゴトッ
部屋のなかから音がした
秋斗
俺は咄嗟に口を押さえる
今の声と音が相殺して 相手に何も聞こえていなければいいが…
俺はそこで引き返すことにした
あまりずかずかと プライベートを邪魔する立場ではないし
先輩にも 何もなければ待つのが良いと言った
今だって 明かりが漏れて音が聞こえる
これは ごく当たり前のことだ
この部屋には 一枝さんがいるのだろうし 何も変わったことはない
……やっぱり、引き返そう
そうした方がいいと思った
瞬間
「……38」
え?
心臓が飛び跳ねるかと思った
ぼそっとだが 一枝さんの声でそう聞こえた
聞き間違いかもしれない
だが もうその時には歩みを止められなかった
……すっ……すっ……
忍び歩きでゆっくり移動する
足の指先と耳に 全神経を集中している
一体、自分は何をしているのだろう
ふと、そう思うが もう好奇心は抑えられなかった
それに これは様子を見るだけだ
約束通り 何もなければそれでいい
それで終わりだ
見るだけなのだ
少し確認するだけだから 問題はない
……すっ……すっ……
もう、襖の手前まできた
ゴトッゴトゴトッ
物音はますます大きくなっている
「……ぃ、じゅ……ぅ、じゅ……ぉ」
こんな夜中に一体何をしている?
そして何を言っている?
俺はついに 隙間から覗くことにした
顔をゆっくり近づける
光が眩しい
目を細めながら ゆっくりと……ゆっくりと……
「……に……ぃ、……じゅ……ぅ」
声も近づいてくる
俺は息を止めて確認する
視界が光に慣れてくると 正面にはカレンダーとタンスがあった
それ以外は 首を動かさないと見えない
首を動かして こちらから見て右側を見る
部屋の右側には 小さな机や本棚があった
全体的に質素な部屋だ
「じゅ……ぉ、じゅ……ぃ」
声はよく聞くと まだ見ていない左方からしていた
音が聞こえないように 右側に少しずれて角度をつけて見る
これで 部屋の左側……声と物音がする方向を すべて見られるはずだ
俺は顔を近づける
目がそれを捉えた
……そこに
……そこにあったのは
秋斗
秋斗
秋斗
部屋の左側には 布団が敷かれていた
布団は誰かが寝ていた痕跡があるが 途中で起きたようにズレていた
しかし、それ以外何もなかった
人なんていない
もぬけの殻だったのだ
慌ててもう一度、右側を見てみる
秋斗
秋斗
秋斗
あれ?
おかしい
そこで気付いた
さっきまで確実に聞こえていた
声と音が聞こえなくなっている
まさか幻聴……
「……5」
後ろから声がした
「……4……3……」
待て
これは
「……2……1……」
カウントダウンだ
俺は勢いよく振り向いた
一枝
一枝の顔が目の前にあった
その瞬間、胸に激痛が走り
俺の視界は暗転した