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それからというもの、自由が一切無い暮らしが始まった。

団長

おら!もっと働け!

シャーロット

うぅ…

ここがどこなのか、何をする場所なのかも分からないシャーロットは、なぜ自分はこんな所で働かされているのだろう。

シャーロットは子供ながらにそう思った。

ここの朝は早い。

食べられる物も、前と比べて少なかったため、シャーロットは来た時と違い、腕も脚も細くなっていった。

そんな暮らしが3年間続いた後、ある事が起きた。

団長

今日からこいつはここで働く、「レベッカ」というやつだ。

レベッカ

初めまして。

団長

ヘマをしたら、ただではおかないからな?

レベッカ

はーい

団長の脅しに、レベッカは怯えること無くそう言った。

団長がどこかに行き、そこはレベッカとシャーロットだけになった。

レベッカ

えっと、アンタは…

シャーロット

シャーロット…

シャーロット

レベッカ、で合ってる…?

レベッカ

うん。合ってるよ。

シャーロット

こんな事、聞いちゃダメなのかもしれないけど…

シャーロット

何で…ここに来たの?

レベッカ

何で、か…

レベッカ

私ね、売られたの。親に

レベッカ

1人で街を歩いてたら急にここに連れてかれてさ…びっくりしたよ。

レベッカ

私はその私を誘拐した人に聞いたんだ。

レベッカ

「何で私を連れて行く?」ってね。

レベッカ

そしたらね、そいつは「お前は親に売られた。捨てられたんだよ」って。

レベッカ

まあ、でも、せいせいしたよ。

レベッカ

私は親ともう暮らしたくなかったからね。

レベッカ

一緒に住むなんて、こっちが願い下げだったし。

シャーロット

レベッカ

シャーロットは?

シャーロット

私?

レベッカ

あ、言いたくなかったら言わなくてもいいんだよ!

シャーロット

私も、多分、お母さんに売られた。

シャーロット

3年前のある日、お母さんと買い物に行ってたの。

シャーロット

その時に、ピエロが風船を当時の私ぐらいの子供たちに配ってた。

シャーロット

私はそれに釣られて、ピエロに「私も風船が欲しい」って言ったの。

シャーロット

風船は貰えたの。だけどね、帰ろうとすると、急にピエロが私の手を強く掴んだ。

シャーロット

「キミだけは帰っちゃならない」って

シャーロット

それで、ここに連れてこられたの。

レベッカ

レベッカ

そうなんだ…

レベッカ

3年間って…7歳じゃないの…

レベッカ

ごめん、話してて辛くなかった?

シャーロット

ううん、大丈夫。

シャーロット

それと…ここって一体何をする場所なの?

レベッカ

え、3年間も居るのに知らないの?

シャーロット

…うん

レベッカ

ここはね、かの有名なサーカス団、「リビドー団」だよ。

レベッカ

私たちはここで無理矢理働かされてるの。

シャーロット

サーカス団…お母さんと1度行ったことがある。

シャーロット

だから、虎の入った檻があるのか…

シャーロット

…ここに入ってから何一つ自由な事をしていないなあ…

レベッカ

いつかは、私たちもこのサーカスのピエロになって、今よりか自由な暮らしをさせてもらえると思うよ。

シャーロット

…そうだね

レベッカ

じゃ、頑張ろ!

レベッカは、シャーロットにとても優しかった。

シャーロットが褒められれば自分の事のように喜び、シャーロットが悲しい思いをすれば慰めてくれた。

思えばここには親切な人が今までいなかった。

ここにいる人たちは全員、厳しく、全くと言っていいほど優しくなかった。

だが、優しい友人ができた事で、少しはこの苦行を乗り越えられそうだと、シャーロットは思った。

だが、2年後のある日

団長

おいシャーロット。こっちに来てみろ

シャーロット

何ですか。

シャーロット

!!

シャーロットの目の前には、血まみれの赤毛の遺体があった。

シャーロット

こ、これ、って…

声が震えて、涙がこぼれ落ちる。

レベッカは死んだ。

シャーロット

な、何でっ…

団長

あいつは今朝、虎共の世話をしてる時に噛み殺されたんだよ。

団長

まあ、役立たずだったから、死んでくれて良かったぞ。

サーカス団員B

あー、あいつ死んだんだ(笑)ま、俺には関係ないが(笑)

他人事の様に扱う人間

サーカス団員C

シャーロットも気を付けろよ〜?

はやし立てるように言う人間

サーカス団員A

余計なものが死んだからやっと明日から演技に集中できる!

自分しか見ていない人間

様々の醜い人間を、シャーロットは12歳という年齢で、それを目の当たりにすることになってしまった。

誰1人、レベッカの死を悼んでいる者はいない。

亡骸の前に立って泣いているのは、シャーロット、ただ1人だけだった。

1人のマジシャン

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