恋の倉庫
恋
さぁ、ついたわ
タクシーは海辺にある倉庫に停車した
読者さん
なかなか迫力があるな
恋
いろんなものがあるのよ
恋
見ていてきっと飽きないわ
読者さん
それは楽しみだ
恋
倉庫の中は広いから私から離れないでね?
読者さん
スッゲー……
息を飲むほど壮大で
戸棚の迷宮……
この一言の他にない
読者さん
想像した以上だ
恋
気になるものはある?
恋
自転車やスマホ以外にも欲しい物があったら何でもいいのよ?
どれ程の物が置いてあるのだろう
読者さん
遠くが霞むようだ
恋
数万や数十万品くらいはあるわね
恋
たまに注文が入るとここから私が発送するのよ?
読者さん
ってことは……
読者さん
これ全部早いもの勝ち?
恋
そうよ!!
読者さん
さっそくスマホのコーナーに行こう!!
読者さん
良いものが取られないうちに!!
恋
焦ったって逃げしな……
恋
あっ?
恋のスマホが鳴った
恋
商品213842番のパソコンの注文が入ったわね
恋
後で送っておくわ……と
読者さん
こうしちゃいられないな
恋
ここは戦場よ!!
恋
欲しいものは勝ち取りなさい!!
読者さん
イエスマム!!
恋の倉庫
読者さん
このスマホは……
読者さん
(わ、わかんねぇ)
もとより電子機器には疎く
この世界のメーカーなどわかるはずもない
読者さん
こっ……
読者さん
これは?
1台のスマホの化粧箱を手に取り見せた
恋
それは10年くらい前の型のスマホね
恋
そんなゴミみたいなスペック選ぶなんて
恋
物好きね!!
読者さん
いや……そんなこと言われても
読者さん
知らんもん
恋
じゃあ私がオススメを選んであげるわ!!
そう言うと恋はカッコいい箱を手に取る
恋
あなたはスマホを遊ぶものと考えてる?
恋
それともただの通話機器?
それはどうだろう?
適度にソシャゲは入れてるが……
恋
これは先月のモデルのゲーミングスマホよ!!
恋
スペックが最高なのよ!!
読者さん
ちょっ
読者さん
恋さん……怖い
オススメと言わんばかりにグイグイ来る
読者さん
自分に言われてもスペックとか……その
読者さん
よくわかんないかも
恋
あっ……
彼女もハッと我に返る
恋
ゴメンね
恋
ついマシンガントークしちゃった……
読者さん
それだけガジェットとか好きなんだろうね
恋
ええ、もちろん好きよ!!
恋
とりあえずこれは選んんで正解の一品よ!!
箱を持たされるとズッシリと重さが伝わる
読者さん
何だこの重量!?
恋
重さゆえの高性能
恋
3Dのゲームもサクサク!!
恋
動画にネット……
恋
何でも楽しめるわ!!
読者さん
へ、へぇ……
読者さん
じゃあこれにしようかな
恋
じゃあこれは後であなたに送るわね!!
恋
SIMカードないと使えないし
読者さん
あっ、そっかぁ
うっかり忘れていた
恋
これ1台であなたを退屈にさせないわ……っと
彼女は端末機でそのゲーミングスマホの注文を締め切った
在庫の個数を見ても残り1台
恋
アンタ
恋
良い買い物したわね
読者さん
(これは買い物判定なの……か?)
恋
次は自転車ね!!
読者さん
お、おぉ……
このグイグイと先導し引っ張る感じ……
結愛とは似て異なるものだ
恋
ママチャリにマウンテンバイク
恋
アンタは何がお好みかしらね?
読者さん
うーん
元の世界では普通のママチャリに乗っていたような
読者さん
これを気に快速な自転車とかどうだろう?
恋
おっ?
恋
新しいこと挑戦しちゃう?
恋
私そういう心意気は好きよ?
読者さん
なんだか照れるなぁ
読者さん
ははは……
倉庫の奥の自転車置き場へと向かう
その足取りは軽く
先程までの疲れが嘘のように思えた