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ミステリー倶楽部の計画

第5話 - 藤堂なぞときと演劇女優④

285

2019年08月13日

#ミステリー

岩波風月

劇場廊下にて

なぞとき

ふー。あ！

カノン

……。

なぞとき

おいカノンお前好き勝手しやがって。

カノン

…だってあいつムカつくんだもん。

なぞとき

俺が思うに、あの人はそんな悪い人じゃないぞ？

カノン

ぷー。

小和田アイ

はは。まあ団長もああ言っていたし、良いじゃないですか。

なぞとき

まあ、団長さんも、小和田さんもそう言ってくれるなら良いですが。

カノン

…ふーんだ。

カノン

あ、それよりさ今、[川口さん]見たんだよ！

小和田アイ

え！

なぞとき

川口さん？

小和田アイ

川口かおりさん。彼女もうちの劇団の一員で、その中でも若手筆頭の女優さんです。

なぞとき

そうなんですか。

なぞとき

彼女もアバリカの…えっと

小和田アイ

アバリカの悲哀

なぞとき

そうです、アバリカの悲哀！に出てるんですか？

小和田アイ

いいえ、彼女は出ていませんわ。

小和田アイ

実力的には、彼女が主演でもおかしくなかったんですけどね、彼女、少し問題を起こしてしまって。

なぞとき

問題？

小和田アイ

ええ。何て言うかその、

カノン

不倫でしょ？

小和田アイ

…よくご存じで。

なぞとき

ほー。

小和田アイ

一年前の話なんですけどね、当時彼女の評価がうなぎ登りの時に、プレイボーイで有名な既婚者俳優と色々あったみたいで。

小和田アイ

それが無ければアバリカは彼女が演じていてもおかしくはなかったと思います。

なぞとき

…例えば、今回のアバリカみたいな役でも問題なんですかね？

なぞとき

失礼ですが、あまり純粋な役柄のようには思えないですが。

小和田アイ

そうですね。でもアバリカの悲哀を見に来る層は主婦が多いですから、不倫等は一番気にするとこだと思います。

なぞとき

意外に厳しいのですね、役者業界も。

小和田アイ

まあ特に私たちくらいのクラスは厳しいですよ。

小和田アイ

替えはいる。何か問題起こすなら他の期待の若手に…って感じです。

なぞとき

…。

なぞとき

一応会ってみたいですね。彼女はどっちに？

カノン

こっちだよ！

小和田アイ

こっちは、練習室の方ですね。

練習室にて

川口かおり

あ！アイちゃんだ！

小和田アイ

こんにちは、かおりさん！

川口かおり

こんにちは！それにしてもアバリカ！いい感じに役にはまってたね！

小和田アイ

本当ですか！ありがとうございます。

なぞとき

(うわ、なんだこの甘ったるい匂い。香水つけすぎじゃないか？)

カノン

すごい、やっぱり顔超ちっちゃいよねー。

なぞとき

まあ確かに、お人形さん見たいな顔してるな。

小和田アイ

あ、こちら私と学校の藤堂君と、飛島さん。

カノン

初めまして！

なぞとき

こんにちは。

川口かおり

どうも！

小和田アイ

かおりさん、今日練習だったんですか？

川口かおり

ん、自主練！

川口かおり

今日は誰とも会う予定ないし、完全オフだったから暇で暇で笑

なぞとき

(…ん？)

小和田アイ

そうなんですね。

川口かおり

アイちゃんはこんな大人数でどうしたの？

小和田アイ

え、いやちょっと調べたいことがあって。

小和田アイ

ははは。まあ色々個人的に。

川口かおり

んー？なんだー？？

川口かおり

秘密ごとだね。なら無理には聞かない！

小和田アイ

…ええ。ありがとう

なぞとき

川口さん、一つお聞きしたいても良いですか？

川口かおり

ん？何ですか？

なぞとき

舞台の練習ってどうするんですか？皆で、合わせたりしたりするんですか？

川口かおり

そういう人も居ますけど、私は大体一人でやりますね。

川口かおり

演じる役に入り込むには一人の世界が必要ですから。徹底的に役に入り込んで、そこで初めて皆で合わせることができるんだと思いますよ。

カノン

おー、流石実力派の女優さん。

なぞとき

…なるほど。分かりました。

なぞとき

そんな中お邪魔してしまい申し訳ありません。では。

カノン

え！もういいの？

なぞとき

うん。もう大丈夫。

小和田アイ

…ではまた。

川口かおり

うん、またね。アバリカ頑張って！

カノン

うわ、もういつの間にか夜じゃん！

なぞとき

大分長居してしまったね。小和田さんすいません。

小和田アイ

いえ、こちらこそありがとうございます。

カノン

で、何か掴めた？

なぞとき

ああ。大体の事件の輪郭が見えてきた

小和田アイ

え！！

なぞとき

とは言っても、まだまだ輪郭に過ぎません。証拠もないし、とても人に言える段階じゃありません。

カノン

なーんだ。

なぞとき

まあ、ここからはこの輪郭にパーツを付け足し、真実の顔を作り上げる作業です。

小和田アイ

そうですか。

なぞとき

…と、小和田さんはこっちでしたね。今日は本当にありがとうございます。

カノン

ゆっくり休んでくださいね。小和田さん！

小和田アイ

ええ、藤堂君もカノンちゃんも！

なぞとき

ええ、では。

……💤

次の日

小和田アイ

ふー。

小和田アイ

(ん？ポストに、また何か入ってる？)

小和田アイ

！！

小和田アイ

カミソリ…！

アイは、カミソリと同封してあった手紙を開いた。

拝啓小和田アイ様へ君は僕だけの存在になるつもりはないのかない？脅しだと思ってる？最終通告だよ。アバリカ役を降りろ。僕はもう苦しくて苦しくて気が狂いそうだよ。お願いだ。僕を王子にしないでおくれ。貴方の愛しきガルボより

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