いっちゃんは約束通り来てくれた
郁美
美結
美結
拓郎
美結
嬉しくて涙が溢れた
私を包み込んでくれるいっちゃんの腕
優しく頭を撫でてくれるたっくんの大きな手
やっと会えたことが嬉しくて
いっちゃんにしがみついたまま動かなかった
今離れてしまったら
また二人が帰ってしまう気がした
美結
郁美
拓郎
美結
拓郎
郁美
郁美
美結
拓郎
郁美
美結
何度かそんなやり取りをしつつ
流れて行く時間
どれくらい経ったのかわからない
郁美
拓郎
あっと言う間に時間が来て
それでも二人は
郁美
拓郎
美結
優しく笑いかけてくれた
三人でまた指切りをして
部屋を出ていく二人
寂しくて悲しくて涙が溢れて
でもちゃんと約束したから
二人はまた会いに来てくれる
涙を拭って窓の外を見ると
まだ二人の姿がなくて
いつになったら出てくるのか?
気になって仕方がなかった
チカ
突然、年上の子が話しかけてきた
チカ
チカ
美結
親と言う言葉が出た瞬間
母の言葉を思い出した
病院に搬送されてから約三ヶ月
正直もう顔は思い出したくない
でももしここに母が来たら
もしあの家に連れ戻されたら
そう思うと苦しくなる
チカ
チカ
チカ
美結
チカ
チカ
チカ
その子の言っている言葉はよくわからなかったけど
それがいい言葉ではないと思い
手で耳を塞いで必死に我慢した
チカ
チカ
最後に何かを言った後
その子は部屋を出ていった
"しせつ"ってなんだろう?
何を話していたんだろう?
再び窓の外を見ると
二人の姿が見えた
初めて見るたっくんの車と
そこから手を振る二人の姿に
私は小さく手を振った
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