その日の夜…私は愚痴をこぼす為に学園から外出の許可を貰い……一時的に外に出ていた
冬華(とうか)
…

己の足で高いところに行きたく…何処かの扉から出てからずっと私は山を目指して歩いている
冬華(とうか)
……疲れた…

山道に入って…大体中腹辺りだろうか……一言つぶやく…
疲れきってしまった…この疲労感は誰にも味わえない…エドさんなら【長寿】と言う点では分かってくれそうだが……死ねない…となれば話は全く変わってくる
冬華(とうか)
……私なんか悪いことしたかなぁ…

冬華(とうか)
(くだらない事で契約するぐらいなら……もっと…今を、…永遠と……)

何度願っただろう……何度思っただろう…そんなことを考えていれば山の頂上に着いた
星々は目を瞑りたくなるほどに輝き…空に浮かぶ満月は羨んでしまうほどその美しさを放つ
冬華(とうか)
……お月様も…寂しいのかしら…

寂しいはずないだろう…星という友人が居るのだから…
否定の繰り返し……私は一体何をしているのだろう……A.何もしていない
私は何を望んでいるのだろう
A.今が続くか…地獄を終わらせるか
冬華(とうか)
(百害あって一利なし…その言葉は今の私にピッタリね…)

あの時…あの幼かった私に一体何があったのか、…これは本当に呪いなのか……もしかしてスティグマなのでは無いのだろうか…
あの時はスティグマ一覧に書いたが……正直な所…私も分からない…過去の私に聞きたいレベルでもう忘れてしまった
冬華(とうか)
呪いだったら…良いのに……

スティグマなら最悪だな…私は一生この体と付き合い続けなければならない……
冬華(とうか)
…お酒飲みたいなぁ……

お酒飲んで…バカになりたい……もう…何もかも…全部忘れたい……ただその一心だった
冬華(とうか)
へ…

伯玖(はく)
悪かったな、いきなり

冬華(とうか)
い、いや…ていうか寝ないの?(この時間帯は寝てると思ってたのに…)

伯玖(はく)
夜の散歩してたらたまたま見掛けてな、興味本位で着いてきたんだ

冬華(とうか)
あの頃と同じだと思ったらダメってことね笑

伯玖(はく)
お前さん、スティグマに記憶関連のあるだろ?

冬華(とうか)
それ…私自身ってよりも物事をよく覚えるの

冬華(とうか)
そうね……数学の公式を1度でも簡単に覚えちゃう…的な?

冬華(とうか)
だから私がどれくらい背が伸びた…どれくらい体重が増えた、減った…いくつ悪魔と契約した…どんなスティグマを持っているか……そういうのはさっぱりなの

冬華(とうか)
完全記憶…って言っていいのかわかんないけどね……

伯玖(はく)
ふーん…改めて話を聞くと不思議だな

冬華(とうか)
でしょ?

話題が出しにくいのか星空を見上げ…ぼーっとしている伯玖君
冬華(とうか)
…伯玖君、帰っていい?

伯玖(はく)
ダーメ、俺が満足するまでそこに居てもらう

冬華(とうか)
…私何にもないよ?

伯玖(はく)
有る

冬華(とうか)
へ…

伯玖(はく)
あるに決まってんだろ、俺がずっと見て俺がずっと…傍に居て守って来たんだ

伯玖(はく)
感情も……何もかも、全部

冬華(とうか)
え、ちょ…

伯玖君は私が逃げると思ったのか強く左手を握って来た
伯玖(はく)
お前は1人になりたくないからずっと……隠して来たんだ、この前わかったんだよ

伯玖(はく)
照れるんなら好きとか愛してるとかも絶対ある筈だ

冬華(とうか)
なッ…///

冬華(とうか)
あ、あるわけないでしょ!

伯玖(はく)
お前は独りに成りたくないから封印した…それがやっと確信になったんだ

冬華(とうか)
な、無いったら無いの!

伯玖(はく)
何で隠すんだよ、そんなにも俺が信用ならねぇか?

冬華(とうか)
…うっさい……別にいいでしょ…

伯玖(はく)
…俺はあんたが好きだ

伯玖(はく)
どんなやつよりもお前が大切で1人にさせるつもりなんてサラサラない

伯玖(はく)
呪いでも何でも解いてあんたを解放させる

伯玖(はく)
それが無理だったら新しく契約して不老不死になってやる

伯玖(はく)
大切だからあんたに今正面切って言ってるんだ

冬華(とうか)
…わかんないわよ……わかんない事だらけよ…

冬華(とうか)
私は人の皮を被った化け物よ……

伯玖(はく)
それは違う!!絶対に違う!!

冬華(とうか)
そんなこと言ったって……

伯玖(はく)
じゃあお前さんが化け物なら俺だってなってやる!

冬華(とうか)
でも…迷惑がかかるし……

伯玖(はく)
俺は迷惑だなんて思ってないしお前さんの幸せにならないのなら俺の幸せのために付き合って欲しい

冬華(とうか)
できるわけ……無いでしょ…私には……あなたの幸せの為だとしても…あなたの側に立って…あなたの横で笑えるほど……良い人間じゃないわ

冬華(とうか)
私はもう…自信が無いの……君には何回もときめいた…何回も……何回も何回も何回も!なんっかいも!

冬華(とうか)
でも……後一歩が踏み出せないの…怖いの……独りになる恐怖が…体に絡みついて…染み込んで…出て来ないのよ…

冬華(とうか)
だから私は君にときめいても……何も思わないようにしたの!何も……何も考えないように、…君の事を考えないように…ずっと……

冬華(とうか)
でもそのせいで頭がぐちゃぐちゃになって……もう…何がなんなのかわかんなくて……他の人に目を向けても…なんか……なんて言うの…?もう、伯玖君の事と重ねちゃって…

冬華(とうか)
バカなのかな…伯玖君のことも好きで……好きで仕方ないのに…目を向けた相手にもときめき出して…

冬華(とうか)
もう……ぐちゃぐちゃで…ボロボロで……もう何も考えたくないの……

伯玖(はく)
……それが本音?

冬華(とうか)
当たり前でしょ…私の弱い所を君に全部吐き出したわよ……

冬華(とうか)
あの人たちに好かれているのも…君に好かれているのも……もう気づいてる…でも私が怖くて…適当にいなして…

冬華(とうか)
次郎とあなたが言っていることは全くの一緒…「不老不死になってそばに居る」って…

冬華(とうか)
嬉しかったわ……期待したわ、でも…そのせいで……負担を掛けるんじゃないかって…

冬華(とうか)
未来で…飽きられて……私の傍から離れるんじゃないかって…

冬華(とうか)
いつか…不老不死の生活に飽きて…私が知らないところで……勝手に死ぬんじゃないかって…

冬華(とうか)
私は……他人を巻き込むことしかできないのよ…

決壊したダムの水のように……色んなものが溢れてきた…涙も…弱音も…
嫌われてしまった…そう思うことしか出来なかった……
冬華(とうか)
もう帰る…離して……

伯玖(はく)
ヤダ

冬華(とうか)
こんな所見られたく無いのよ!!離して!

屈辱的な姿を見られ帰ろうと手を振り払っても彼は私の手を握り…抱き締めてきた
伯玖(はく)
怖かったんだよな……1人にされるんじゃないかって…

冬華(とうか)
うっさい…グスッ……何も知らないくせに…何も……何もわかんない癖に…ズビッ…

伯玖(はく)
確かに分かんねぇよ、でも……お前さんのことなら分かる、お前さんがどれほど頑張って…どれほど努力したのか

伯玖(はく)
それだけは分かる…

伯玖(はく)
それに……どれほど可愛くて…どれ程好きなのか……嘘じゃない

冬華(とうか)
だって…そんなの、そんなの嘘に決まってるじゃん!グスッ……

伯玖(はく)
嘘じゃねぇって言ってるだろ

冬華(とうか)
んぇ……

冬華(とうか)
ん、ッ……

伯玖君の胸板をベシベシと力強く叩くたと伯玖君は離れた
冬華(とうか)
な、ななッ……何を///

伯玖(はく)
嘘じゃねぇって何回も言ってるだろ

そう言って…何回も何回も……触れる程度に唇重ねてくる
冬華(とうか)
ん、ッ…やだぁ……///

伯玖(はく)
冬華、俺は本気だ、契約書を書いても良いくらいにお前さんとずっと居たい

伯玖(はく)
いや、居るつもりだ

伯玖(はく)
お前さんに嫌われても…ずっと、な?

冬華(とうか)
…め、迷惑……じゃない…?

伯玖(はく)
「アイツら」も俺も承知の上だ

冬華(とうか)
……アイツら?

冬華(とうか)
…σ(((;・ω・;;;)))ダラダラダラ

冬華(とうか)
……か、帰る!本当に帰る!死んででも帰る!バイバイ!!

伯玖(はく)
待て待て待て待て、帰れると思ってんの?

冬華(とうか)
無理!つーかなんでそうなんだよ!💢

伯玖(はく)
次郎さんがお前さんの話をしてきたからよ、来たんだよ

冬華(とうか)
…チッ…もう無理!帰る!

伯玖(はく)
でもさっき言ったのは本当だ

伯玖(はく)
不老不死になってもそばに居る、俺も他の奴らも

冬華(とうか)
ッ……話すんじゃなかった…///(ちょー恥ずかしい……///もう一生の恥だわ)

伯玖(はく)
冬華

冬華(とうか)
な、何よ…///

伯玖(はく)
好き

冬華(とうか)
なッ…///ほ、本当にもういいから!///

伯玖(はく)
嘘に見える?場所が場所だけど……ここで襲うこともできるよ?

冬華(とうか)
おそッ…い、いい!わかった!わかったから!///

冬華(とうか)
お、お願いだから…///これ以上…その、はッ、辱めないで…///

伯玖(はく)
……はぁ〜…

冬華(とうか)
な、何よ…

伯玖(はく)
いや…改めてお前は可愛すぎると思っただけだ

冬華(とうか)
本っ当に恥ずかしいからやめて!///

冬華(とうか)
もう全部忘れて!今バット持ってくるから待ってろ!///

伯玖(はく)
待て待て待て待て、やめてくれ

冬華(とうか)
や、ヤダ!もう消す!物理的に記憶を消させてやる!///

伯玖(はく)
嫌に決まってんだろ、あんな可愛い顔忘れたら損だわ

冬華(とうか)
お願いだから本当にやめてッ///

伯玖(はく)
返事もなしに帰るのか?冬華

冬華(とうか)
…///う、っさい…///恥ずかしいから……ちょっと黙ってろ…///

伯玖(はく)
そんな顔してたら1人で帰す気なくなるぞ?

冬華(とうか)
な、ッ……///う、う〜…///

伯玖(はく)
悪かったって笑もうからかわねぇからちょっと熱冷ましで行こうぜ?

冬華(とうか)
ッ……///わ、わかったよ…///

冬華(とうか)
……(落ち着かない…///やっぱり…こういうのは…なれない……///)

伯玖(はく)
…やっぱり……信用ならないか?俺らは

冬華(とうか)
…嘘……には見えないよ

冬華(とうか)
……大好きに決まってんでしょ…バカ

伯玖(はく)
!!冬華ー!ギュゥッ

冬華(とうか)
あ、ちょッ…///く、くっつくなバカ!恥ずかしい!///

伯玖(はく)
ありがとう…俺のわがままに付き合ってくれてありがとうな

冬華(とうか)
…別に……あなたのわがままだけじゃないし私のわがままでもあるの

冬華(とうか)
…それに、累さん達も……そうなんでしょ…?私、頑張るよ……?

伯玖(はく)
頑張るって…笑

冬華(とうか)
…伯玖君が頑張ってくれたから私も……頑張りたいなって…

冬華(とうか)
……い、いや…?こんな私…

伯玖(はく)
いや?俺は冬華が好きなんだし別に冬華が何をどうしようと構わねぇよ

冬華(とうか)
……我慢させて…ごめんね…ずっと……ずっと…

伯玖君を優しく抱き締めると彼は笑って「じゃあ、迷惑とか我慢とか…そう思うなら本人達に聞いてみようぜ」と言った
冬華(とうか)
え…

伯玖君は少しスマホを触って……少し時間が経つと…次郎達が現れた
エドワード
冬華!怪我は?何も無い?

冬華(とうか)
あ、えと…は、い…?

エドワード
良かった……

冬華(とうか)
そ、そこまで心配されるほどでも無いと思うんですけど……メールの内容そこまで酷かったんです?

伯玖(はく)
誇張してねぇよ別に笑

冬華(とうか)
信用ならないなぁ…

翔平(しょうへい)
呼びつけられた理由が…「孤独の克服」って…何なの?

冬華(とうか)
な、何それ…こっわ……

少し困惑しつつもキョトンとしていると…エドさんが口を開いた
エドワード
…君が頑張るという話を伯玖君から聞いてね

冬華(とうか)
えっと……な、なんというか…その……まぁ…ちょっと……

エドワード
…君は不老不死…独りに成りたくない…という気持ちはよくわかるし俺もわかる

エドワード
不老不死では無いが…長寿だ、自分と親しい人が目の前で死ぬのは何回も見てきた

冬華(とうか)
…

エドワード
怖いのはわかる…こうやって……人と親しくなって…もし…呪いが解けなかったら…薬が出来なかったら…

エドワード
確かに…不老不死が解けなかったら独りになる……でも薬があったら一緒…

エドワード
でも一緒は「迷惑が掛かる」「いつか嫌われる」それも俺は分かる

エドワード
俺だって気に入ったヤツとずっと居たかった事なんて何百とある

冬華(とうか)
……

エドワード
でも…何回も人を好きになった

エドワード
好きだから…傍に居て欲しいと何度も願った

エドワード
俺は可笑しいか?冬華

冬華(とうか)
……ううん、おかしくない…です……

冬華(とうか)
好きになるのは…ほら、子孫繁栄のために必要ですし……

エドワード
ちなみに俺に血縁は居ないぞ?

冬華(とうか)
んぇ"!?

エドワード
血縁を増やしたいと思うほど相手を好きになったことがなかったからね

冬華(とうか)
な、なんか意外ですわ……

エドワード
話を戻すけど……結局はなるようになるよ

冬華(とうか)
ん、…

エドワード
必ず…君が寂しくならないように最善を尽くす

エドワード
君が悲しくならないように…辛くならないようにする、だから信用して欲しい

冬華(とうか)
……わかり、…ました、

エドワード
!!

冬華(とうか)
…怯えるだけはもう辞めます…良い未来に行けるように行動します

エドワード
ありがとう…冬華

冬華(とうか)
んわッ

エドさんに抱き締められエドさんは嬉しそうな顔をした
次郎
…まぁ、恋人というのも悪くはなさそうですね、とりあえず血を抜きましょか、まだ調べなきゃ行けない事があるんです

冬華(とうか)
ま、また!?

冬華(とうか)
もう嫌!血は嫌!

次郎
いーえダメです、ほら右手を出して下さい

冬華(とうか)
ヤダヤダヤダー!それが人にする事かよ!

次郎
する事ですので、ほら早く

冬華(とうか)
なぁんで!伯玖君止めてよ!私悪くない!

伯玖(はく)
解呪の薬になるかもしれないし…な?

冬華(とうか)
む、ぅ…エドさんやらなきゃダメ…?

エドワード
ダメ♥

冬華(とうか)
エドさんの裏切り者!

エドワード
さ、行きますよー

冬華(とうか)
や、やだぁー!!血はもう抜きたくないー!!!

累(るい)
あーあ〜…笑

大我(たいが)
チッ…あいつだけズル……💢

尋(じん)
帰るか…寝みぃ
