デビルズパレス キッチン
主
ラト
わたしはラトの前にマグカップを置いた
ラト
ラト
ラト
主
ラトはまじまじと
マグカップを覗き込みながら言った
主
主
主
わたしは思わず笑ってしまった
主
主
ラト
主
ラト
ラト
主
主
主
ラト
主
主
主
主
ラト
ラト
ラト
そう言いながら
ラトはマグカップに口をつけた
主
主
主
わたしはラトの隣に座って
彼にならってホットミルクを 飲み込んだ
ラト
ラト
主
主
少し緩んだ表情から
黒いホットミルクを彼が 気に入ってくれたことが分かった
ラト
主
ラト
主
主
両手でカップを持ち、息をかけて冷ますその姿は少し幼く見えて
ラト
わたしもなんだか温かい気持ちになる
ラト
ラト
ラトがこちらを見ながらそういった
主
主
主
主
ラト
その言葉を丁寧に咀嚼するように
ラトは小さく繰り返した
ラト
ラト
主
主
主
主
主
主
主
主
ラト
ラト
主
主
主
ラト
長いまつ毛を伏せて
その影に青い瞳が隠れた
主
主
主
しかしすぐに
その瞳はこちらをとらえた
ラト
その視線はまるで
捕食者に睨まれているような
執拗に巻きつかれて 絡め取られるような少しの怖さと
ラト
ラト
それでいて
イタズラを楽しむ幼い子どものような
無垢な可愛らしさが混在していた
主
無意識に
鼓動がはやくなる
主
主
わたしは矢継ぎ早に言葉を紡いだ
主
ラト
静かなラトの声に重なるように
ラト
途端に時計の針の音が大きく聞こえる
主
思わず振り返った壁掛け時計は
0時1分を示していた
主
ラト
ラト
ラト
そういったラトは
また1口、嚥下した
主
その仕草ひとつひとつが
一気に意味を持つように感じて
私は思わず
目を逸らした
ラト
ラトの気配が近づいたのを感じる
主
わたしはカップに口をつける
ラト
口の中にほんのりとミルクの 甘みが広がる
ラト
それを飲み込むと
同時に
主
ラトの手が耳に触れた
ラト
彼の細い指はそのままわたしの 髪を耳にかけた
ラト
ラト
空気に触れた自分の耳も頬も
熱くなっていることに気づく
主
わたしは隠すように
顔を手で覆った
ラト
耳元に
息がかかる
ラト
ラト
ラト
主
そのとき
???
???
聞き慣れた大きな声が響いた
ラト
ラト
ラト
フルーレ
頬を膨らませたフルーレが
こちらに歩いてくる
主
主
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレのお説教がはじまり
それを受けている本人はというと
ラト
ラト
主
ラト
ラト
ラト
ラト
主
主
フルーレ
フルーレ
フルーレ
ラト
ラト
ラト
フルーレ
フルーレ
主
主
主
主
主
わたしが慌てて
2人の仲裁に入ろうとすると
ミヤジ
ミヤジ
頼もしい助っ人の声がした
ラト
フルーレ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
申し訳なさそうなその顔には
少し汗がにじんでいた
主
わたしはズキズキと
胸に小さな痛みを覚えた
主
主
主
ラト
主
主
主
わたしはフルーレに向かって笑いかけた
フルーレ
主
主
主
主
主
ラト
ラト
素直に謝った彼の頭を
ミヤジが優しく撫で
フルーレはまだ頬を膨らませながらも
ラトにブランケットをかけてあげた
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
主
主
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレ
ラト
ラト
主
主
主
主
ミヤジ
フルーレ
ラト
そうして
ミヤジが役割分担を決め
フルーレはラトの補佐をし、
ラトもフルーレの補佐をしようとして
また噛み合わないお説教が始まって
まるで本物のような
家族のように
にぎやかで温かい時間となった
わたしはその中に少しだけでも いられたのが
本当に本当に嬉しかった
2月14日
デビルズパレス
バレンタインイベント会場
会場の準備も滞りなく終わり
わたしは執事のみんなを招待した
主
主
わたしはみんなが座るテーブルに
作っておいたホールの ガトーショコラを配っていく
主
ラムリ
ラムリ
ラムリ
ナック
ナック
ナック
ラムリ
ナック
ナック
ラムリ
ラムリ
主
ルカス
ルカス
ルカス
ラムリ
ナック
ルカスの呼び掛けに2人は 見事に大人しくなった
主
主
主
ルカス
ルカス
ルカス
そう言ってルカスが指したところには
バスティン
ロノ
すごい勢いでケーキを 頬張る2人組がいた
主
ロノ
ロノ
ロノ
主
主
主
ロノ
ロノ
ロノ
バスティン
バスティン
バスティン
バスティン
主
主
バスティン
バスティン
ロノ
ロノ
ロノ
バスティン
バスティン
ロノ
バスティン
主
バスティン
バスティン
バスティン
ロノ
ロノ
バスティン
ロノ
ハウレス
ハウレス
主
主
主
主
主
ロノ
バスティン
ハウレス
主
主
主
主
ハウレス
ハウレス
ハウレス
ハウレス
主
主
主
ハウレス
ハウレス
ボスキ
ハウレス
アモン
フェネス
ハウレス
ボスキ
ボスキ
アモン
アモン
フェネス
主
みんなの笑顔と
いつもより少しにぎやかな雰囲気に
思わず顔がほころぶ
ハナマル
ハナマル
主
いつのまにか背後に立っていた ハナマルは
からかう気満々の笑みをしていた
主
主
ハナマル
ハナマル
主
ハナマル
ハナマル
主
主
ハナマル
ハナマル
ハナマル
ユーハン
ユーハン
テディ
テディ
主
ハナマルの後ろから
登場した2人は
容赦なくハナマルの言葉を遮った
ハナマル
ユーハン
ユーハン
主
主
主
ユーハン
主
主
主
ハナマル
テディ
テディ
ユーハン
ユーハン
ハナマル
ハナマル
ハナマル
ユーハン
ユーハン
ハナマル
ハナマル
テディ
テディ
ハナマル
ハナマル
主
ハナマル
ユーハン
ユーハン
ハナマル
テディ
テディ
主
主
主
テディ
ユーハン
ハナマル
ユーハン
ハナマル
主
ハナマルがユーハンの圧に冷や汗を かいている様子に笑みをこぼしていると
ミヤジ
ミヤジとフルーレが声をかけてきた
フルーレ
主
主
フルーレ
ミヤジ
主
フルーレ
フルーレ
主
ミヤジ
ミヤジ
主
ミヤジ
ミヤジ
フルーレ
ミヤジ
ミヤジ
主
主
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレ
そのとき
主
急に
会場内の照明が消えた
ロノ
デビルズパレス
バレンタイン会場
主
主
急に訪れた暗闇に戸惑ったその時
ぱっ
主
すぐにまた電気がついた
主
眩む視界が
ぼんやりと明けていく
主
主
すると
主
目の前には
色とりどりの花が咲き乱れる
大きな花束と
ラト
それを抱いている
ラトの姿があった
主
主
ベリアン
ベリアン
ベリアン
嬉しそうなベリアンがラトの となりにならぶ
主
驚くわたしの前に
ラトが歩いてくる
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
ラト
いつもの彼とは違う
颯爽とした姿と
凛とした声に
主
私も自然と背筋が伸びた
主
主
私のその言葉に
ラトは優しく微笑み
ほかの執事も
嬉しそうに笑った
主
主
花束を受け取り
腕に重みを感じた
主
主
わたしはそう感じながら
束ねられた花々を見渡す
主
主
主
色とりどりの花弁の中で
青々と存在を主張するものがひとつ
目に留まる
主
主
悪魔執事全員
みんなの不思議そうな声が重なる
そして
一斉に振り返った先には
いつも通りの笑顔を浮かべた
ラトがいた
フルーレ
フルーレ
フルーレ
フルーレの怒った声は相変わらず綺麗にかわされ
ラト
ラト
ラト
ラトは少し自慢げに言った
ラト
主
主
フルーレ
フルーレ
ラト
ラト
ラト
そしてラトは
ビー玉のように澄んだ青い瞳で
わたしに微笑んだ
ラト
ラト
ラト
主
主
わたしは
ラトに微笑みを返して
精一杯の気持ちを込めて言った
主
こんなに幸せなバレンタインは
きっと他にはないだろう
わたしはそう思った
終
ご拝読ありがとうございました!
やっぱり最後に悪魔執事みんなを 出したくなり
おはなしがついつい長くなって しまいましたが
皆様が楽しめたら幸いです!
ハッピーバレンタイン!!
もしよろしければ
「ある月の綺麗な夜に」も引き続き お楽しみに〜!!
コメント
2件
もうほんとに全部が最高でした…ラトとフルーレとミヤジの関係のところがほんとに最高だったし…ほんとに虜になります…、ロノとバスティンの絡みも、ハウレスとボスキの絡みも…そのままで少し笑みが零れてしまいました…、ハナマルとテディとユーハンの絡みも面白かったです…。最後にラトが主様の言った『持論』を持ってきたのがグッときました…、最高の投稿をありがとうございます…、最高でした…