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逢魔時に散った恋

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逢魔時に散った恋

1 - 逢魔時に散った恋

♥

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2020年10月25日

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坂戸 麗奈

うぅん…

カーテンの隙間から射し込む

朝日で目が覚める

眩しい光に目を細めながら

ぼうっとしている頭を

左右にふり目を覚まそうとした

麗奈、入るわよ~

まだ寝癖のついている頭をかきながら

眠そうな母が部屋に入ってくる

坂戸 麗奈

なに?お母さん

お母さん、旧友と遊びに行ってくるわね

坂戸 麗奈

キュウユウ…

坂戸 麗奈

給油?

眠くて頭が回らない

な~に寝ぼけたこと言ってんの

昔の友達ってことよ

坂戸 麗奈

あぁ、そっか…

麗奈も友達と遊ぶんじゃなかった?

坂戸 麗奈

……?

坂戸 麗奈

あ~!忘れてた!

坂戸 麗奈

今何時?!

8時よ

坂戸 麗奈

ヤバい…8時半集合なのに!

朝ご飯置いてるから、食べなさいよ?

坂戸 麗奈

うん、分かった!

適当に返事をしながら

私は階段をドタドタと降りた

8時40分

佐藤 桜

あ、来た!

篠崎 美優

もう遅刻だよ!麗奈!

私を待ち合わせ場所で待っていたのは

美優と桜

最近は仲良くしてもらっている

私は2人に憧れを抱いている

坂戸 麗奈

ごめん、ごめん…!

坂戸 麗奈

寝坊しちゃって…

坂戸 麗奈

ほんとにごめんね!

私は顔の前で手を合わせ

精一杯の謝罪をした

佐藤 桜

大丈夫だよ!

篠崎 美優

しょうがないなぁ

坂戸 麗奈

ありがと…

佐藤 桜

よし、それじゃあ行こっか!

坂戸 麗奈

うん!

図書館

篠崎 美優

結構人来てるね

佐藤 桜

うん、静かにしないとだね

坂戸 麗奈

2人はなんの本探しに来たの?

佐藤 桜

読みたい小説があって…!

篠崎 美優

私は付き添い~

坂戸 麗奈

そっか!

坂戸 麗奈

じゃあ、本見つかったらもう1回集合しよっか

佐藤 桜

分かった、じゃあ後でね!

…………

私は図書館内を見て回った

坂戸 麗奈

(う~ん…見つからないなぁ)

だが、目当ての本がなかなか見つからない

そして周りを見渡していると

1つの扉があることに気がついた

坂戸 麗奈

(ここ個室になってるのかな)

坂戸 麗奈

(入ってみよ)

ガチャ…

私は大きな音を立てないように

極力ゆっくりと静かに開いた

坂戸 麗奈

……!

私は思わず背筋を伸ばした

だって中には男の人がいたから

???

…どうも

その男の人はゆっくりとこちらに振り向き

顔をふにゃっと緩め笑顔を作った

その顔には何か不思議な魅力があった

今までに見たことないような

「余裕」

のある表情

坂戸 麗奈

あ、えっと…

坂戸 麗奈

どうも、こんにちは…

私は慌てて返事を返した

男の人はまた優しい笑顔を見せると

「こっちへおいで」

と言わんばかりに手招きをした

その手は白くて一見華奢に見えるけど

きちんと男の人のゴツゴツした手だった

坂戸 麗奈

あ、はい…

私は男の人の隣へ座った

???

君、名前は?

そう言ってこちらを振り向く男の人

遠くからでは分からなかったが

とても整った顔立ちだった

少し癖のある茶色い髪

目は綺麗な二重幅が特徴的なタレ目

滑り台状の高い鼻に

つるんとした唇

どこをとっても美男子そのものだった

坂戸 麗奈

あぁ…坂戸麗奈です

顔に見とれて返事が遅れる始末だ

???

坂戸…

男の人は私の言葉を復唱した

坂戸 麗奈

何か変なことでも…?

???

もしかして桜ヶ丘高校?

坂戸 麗奈

え、はい…!

坂戸 麗奈

なんで分かったんですか?

???

俺も桜ヶ丘高校だから

坂戸 麗奈

偶然ですね…!

坂戸 麗奈

何年なんですか?

???

1年だよ

坂戸 麗奈

私と同じ…!

???

そうだね

???

あぁ、そう言えば名前言ってなかったね

清水 星

俺は清水星、よろしく

そう言って手を差し出した

坂戸 麗奈

あ、よろしく!

私は手を握り返した

だが、握っている手がやけに冷たい

坂戸 麗奈

…寒いの?

清水 星

あ、まぁ…

清水 星

冷え性なんだ

坂戸 麗奈

あ、私カイロ持ってるよ!

坂戸 麗奈

はい、これ!

私は鞄の中から新品のカイロを取り出し

星くんに手渡した

清水 星

ありがとう…!

星くんは嬉しそうに顔を緩め

両手でカイロを受け取った

坂戸 麗奈

(行儀良いなぁ)

1つ1つの仕草から行儀がいい事が伺える

坂戸 麗奈

あ、折角であったのも何かの縁だし

坂戸 麗奈

チャットしない…?

清水 星

うん、良いよ

坂戸 麗奈

ありがと!

坂戸 麗奈

また連絡するね!

清水 星

分かった

坂戸 麗奈

じゃあ、また

清水 星

またね

星くんは力の入ってないような

弱々しい仕草でヒラヒラと手を振った

…………

篠崎 美優

あ、いたいた~

佐藤 桜

探してた本、見つかった?

坂戸 麗奈

うん、あったよ!

篠崎 美優

よし、それじゃあ移動しよっか

佐藤 桜

うん!

私達は話し合いの結果

時間も時間ということでファミレスに行くことに

ファミレスにつくと人がごった返していた

坂戸 麗奈

ふぅ…

私は案内された席へ移動し

椅子に倒れ込むように座った

すると少し年季の入った椅子は

ギィィ…と苦しそうに音を立てた

坂戸 麗奈

何か今日は人多いね

佐藤 桜

うん、何かイベントでもあるのかな?

篠崎 美優

さぁ、わかんないけど…

篠崎 美優

人が多いと疲れちゃうよね~

坂戸 麗奈

うん、人混みってあんまり好きじゃないんだよね

篠崎 美優

凄い分かる!

篠崎 美優

何か暑苦しいし、圧迫感感じるよね

そうこう話している間に

店員さんがお水を運んできてくれた

篠崎 美優

あ、ありがとうございます!

美優はそれを一気に飲み干し

「ぷはぁ~」と声を漏らした

コップを机に置くとその衝撃で

氷通しがぶつかりカランと音を立てた

佐藤 桜

そう言えば、麗奈

坂戸 麗奈

なに?

佐藤 桜

麗奈、図書館で誰かと話してた?

坂戸 麗奈

あぁ、うん話したよ!

篠崎 美優

誰と話してたの~?

美優がメニュー表を開きながら質問をする

坂戸 麗奈

同じ高校の清水星くん…って子!

篠崎 美優

清水星…?

佐藤 桜

ん~…誰だっけ

坂戸 麗奈

私も初めて会ったの

篠崎 美優

あ、分かった!

坂戸 麗奈

どうしたの?

篠崎 美優

その清水って子

篠崎 美優

確か───

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