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駅員
その合図が引き金となって
野次馬が『何か』に群がる。
1人
2人
10人
20人
まだまだ増える。
さすがに俺も何があるのか気になり
その野次馬の1人になった。
悠斗
身長もあまり高い方ではないため
頑張って前の人の間からその『何か』を覗く。
悠斗
その時
前の人が移動し
俺の視界にその『何か』が映った。
血塗られた腕
赤黒く変色したスカート
真っ赤に染ったシャツ
そしてその顔は
悠斗
俺の彼女だった。
悠斗
野次馬を一気にかき分け莉奈に近づく。
駅員
あと一歩のところで駅員に制止された。
悠斗
駅員
悠斗
駅員
そう言うと駅員は
俺への拘束を解いた。
悠斗
悠斗
思わず抱きしめた。
もう
血とかそんなの
関係なかった。
女子高生1
女子高生2
女子高生1
女子高生2
駅員
駅員に申し訳ないと思いながらも
俺は莉奈を抱きしめ続けた。
悠斗
少しずつ
少しずつ
莉奈の身体から体温が奪われ
硬直していく。
ここで改めて
莉奈の死を実感した。
警官1
警官1
警官の声で我に返る。
悠斗
警官1
悠斗
パトカーに乗って20分程度で警察署に着くと
俺はそのまま事情聴取を受けた。
警官2
悠斗
警官2
悠斗
悠斗
警官2
警官2
悠斗
悠斗
警官2
悠斗
悠斗
悠斗
警官2
警官2
警官から1枚の名刺を受け取る。
警官2
悠斗
悠斗
警官2
悠斗
警官2
荷物を手に取り
俺は警察署を出た。
悠斗
歩きながら
莉奈のことを思い浮かべる。
何故何も言ってくれなかったのか
今思い返せば
確かに兆候はあった。
腕にできた痣
急に切った髪
悠斗
と聞くと
莉奈
と返された。
だから俺は
それに甘えたんだ。
彼女が嘘をつくわけないと思って
彼女の優しさに気づかず
真実を知ろうとしなかった。
DVか
いじめか
今となってはもう分からない。
まぁ
悠斗
本当に。
さっきもらった名刺をポッケから取り出す。
悠斗
そう言って
ビリビリに破って
道にばらまいた。
どこにもぶつけようのない苛立ちを
地面
名刺
電柱
全てにぶつける。
それでも心はもちろん晴れないまま。
そんな俺を嘲笑うかのように
夜はいつも通り更けていった。