テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

中原 中也

なぁ、お前…

"本当は、こんな事したくないんじゃないか?"

中也の口から、妙な言葉が出る。

ポール・ヴェルレエヌ

っ___!?

中原 中也

お前は、殺しなんて望んで無かったんじゃ…ないか

ヴェルレエヌが目を見開き、呼吸がヒュッと喉を鳴らす。

ポール・ヴェルレエヌ

…っは…は、何故そう思う、此の俺が善良な人間に見えるのか?

中也は目を逸らさない。 真っ直ぐ、ヴェルレエヌを見つめて居る。

ポール・ヴェルレエヌ

…莫迦め…

ポール・ヴェルレエヌ

俺なんかに、構うなんて

自身を貶す様な物言いに中也は違和感を感じた。

中原 中也

聞かせろよ

中原 中也

此の儘闘い続けても、何方共壊れるだけだ

中也は自身の肩を押さえて云う。

未だ血は流れ続け、_死ぬほどではないが_失血状態だ。

太宰 治

太宰は凪いだ眼で二人を見守って居た。

脳内で、危険は無いと確信して居た。

彼が、彼等が救われる唯一の方法___

ポール・ヴェルレエヌ

ポール・ヴェルレエヌ

そうだな

ポール・ヴェルレエヌ

最初はこんな心算じゃなかった

ポール・ヴェルレエヌ

俺は、欧州の情報諜報員だった

ヴェルレエヌが言葉をゆっくりと紡ぎ出す。

中也は其れを黙って聞いて居る。

ポール・ヴェルレエヌ

…相棒が、居たんだ

ポール・ヴェルレエヌ

才能が有る奴だった、何よりも、優しかった

___ランボオ。 アルチュール・ランボオ。 そう、其の名を発するヴェルレエヌ。

一体何年振りだろう、彼の名を呼んだのは。

ポール・ヴェルレエヌ

…殺されたんだ

ポール・ヴェルレエヌ

或る暗殺組織に

中原 中也

…っ

先刻迄自分達に殺気を向けて居たとは思えない、悲しみの色に暮れた姿。

数秒、沈黙が空間を染める。

中原 中也

…復讐の為?

ポール・ヴェルレエヌ

否…復讐は翌日に終わったんだ

ポール・ヴェルレエヌ

記憶が残らない程、組織の巣窟で暴れたらしい

ヴェルレエヌは力無く笑う。

ポール・ヴェルレエヌ

それから、暗殺組織を根絶やしにしようと思ったんだ

ポール・ヴェルレエヌ

これ以上、俺みたいな奴を増やしたくない…

ポール・ヴェルレエヌ

そう思ってた、筈なんだがな

ポール・ヴェルレエヌ

何時からか壊れて居たんだ

彼の青い瞳が苦し気に揺れる。

中原 中也

…今なら戻れる…筈だ

ポール・ヴェルレエヌ

中原 中也

如何やったって、夜に悪意は残るんだ

中原 中也

もうお前の目的は果たされてる

ヴェルレエヌは、見失いかけて居た目的を確と思い出す。

ポール・ヴェルレエヌ

嗚呼…

明日には、構成員を全員解散させよう、彼は亡き相棒_否、親友を想い乍ら考える。

其れから顔を上げ、太宰と中也を交互に見る。

ポール・ヴェルレエヌ

…良い〝相棒〟を持ったな

太宰 治

…相棒って…良いけどさ

少し呆れた様子の太宰の横で中也は、何時もなら不快な兄貴態度も今なら許せる…と感じて居た。

中原 中也

…一人で詩作にでも耽ってろよ、莫迦兄貴

我ながら意味の分からない捨て台詞だ、と思い乍らも其れは不思議としっくり来た。

ポール・ヴェルレエヌ

…そうして置く

少し苦笑してからヴェルレエヌが云う。

ポール・ヴェルレエヌ

太宰くん、中也の肩、止血してやったら如何だ?

太宰 治

判ってるよ、今

太宰の声と同時に中也の肩へと白い包帯が巻かれる。

太宰 治

…お揃いだね、相棒

自分の包帯が巻かれた腕を見せ乍ら太宰が微笑む。

中原 中也

そ…っそう云うの別に要らねえからっ、行こうぜ…

太宰 治

ふふふ…じゃあね、ヴェルレエヌさん

二人が歩き出す。

其の双つの黒い影をヴェルレエヌが見送る。

彼等の困難はもう少し続くだろうと予感し乍ら…

外に出ると、予想だにしなかった出来事が起こった。

森 鴎外

おや、もう終わったのかい?

中原 中也

森…講師…!?

太宰 治

森さん!

何故此処に居るのか___中也が目を白黒させる。

太宰 治

遅いよ、もう終わってる

中原 中也

だっ…太宰、此れ…っは…?

与謝野 晶子

おや、アンタ怪我してんじゃないか

中原 中也

与謝野講師迄…?

余りの衝撃に中也が思わず太宰の背後に隠れた。

其の様子を見て教師陣三人が苦笑する。

太宰 治

御免ね、混乱させて

太宰 治

大丈夫だよ、私が呼んだんだ

森 鴎外

多分重軽傷負うだろうからってね、太宰君、相当心配してたよ

太宰 治

一寸、そう云う事生徒の前で云わないでよ…

太宰が決まり悪そうに顔を背ける。

中原 中也

へ…じゃあ、お二人は…

与謝野 晶子

一応全部事情は聞かせて貰ッたよ

勿論云いつけなんてしないさ、と与謝野は笑んだ。

与謝野 晶子

太宰、ちゃんと守ッてやらないと駄目じゃないか

太宰 治

済みません、武力が無いもので

中原 中也

…太宰…

完全にパニックになった中也が、太宰の服の裾を掴んだ。

太宰 治

詳しい事は明日話すよ

太宰 治

大丈夫だから…

中原 中也

…ん…

優しく頭を撫でられて落ち着きを取り戻す。

太宰 治

応急処置は私の方でやったけど、一応ちゃんと治療してあげて

太宰 治

医学に関しては森さん達の方が詳しいし

森 鴎外

判ってるよ

与謝野 晶子

可愛い生徒の為だからねェ

最初の『事』が終わった… 中也は安堵感に包まれ乍ら、太宰の後に着いて行った。

中学生殺し屋は養護教諭に恋をした。  太中※学スト改変

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

565

コメント

5

ユーザー

え?この2人がラストスキィぃ 無事に終わって良かったぁこれで勝てた?のかな…てゆか中也が太宰の後ろに隠れるって神かよ主様続き…あるなら楽しみにしてます!

ユーザー

最高…最高だぁ…最後にあの2人を登場させる思考がまさに天才…泣悲しいような嬉しいような再興な話を作れるとかマジで天才過ぎる…有難う御座います!!!

ユーザー

ぐっだぐだで御免☆((反省とは …第一部、終了… …長かった…(脳死) 次回以降もお楽しみに!   必読!お知らせです!↓ 主が明日から旅行に行きます。(関東関西圏なのでフォロワー様と奇跡の邂逅を果たすかも…←無いだろ)五泊六日の予定です、なのでかなり暫くの間投稿が出来ません!通知増やしといてくださi(( ただでさえ中々進まないのに申し訳ないとは思ってますがどうかご容赦を…それでは皆様も良い夏を♪

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚