矢 っ 張りだいすきだ っ た 。
日が落ちそうな夕暮れ時
私は此の時間帯が 何と無く好きだ っ た 。
貴方が 此の夕日が綺麗だ 、と 言ったから 。
夏 野
未だ月は綺麗に見えませんね
小 夜
日が完全に落ちれば
小 夜
綺麗に見えるかな
夏 野
今日は晴れてるので 、
夏 野
き っ と綺麗ですよ
2人で月を覗く 。
此の時間が止まればいいのに 。
緊張感が私の心を 蝕んでゆく 。
恐いという恐怖と共に 。
夏 野
海 、とか行きます?
小 夜
おぉ 、ロマンチストだね ぇ
私はそう言いつつ 、頷き
夏野くんの歩く跡を追 っ た 。
少し遠い所へ 足を運んでみた 。
そうしたら周りは す っ かり暗く
あの夕日も姿を消していた 。
夏 野
今日は満月ですね
小 夜
そうだね 、観測し易いかも
夏 野
見易くて良いですね
小 夜
うん 、
会話が途切れる 。
何時もは 心地良かったけれど
今は緊張感の所為か 、
沈黙がつらい 。
此処で 「 すきです 」なんて言ったら
可笑しいかな ?
貴方はどんな顔をするかな ?
小 夜
あの 、ね 、夏野くん
小 夜
私ね夏野くんの事 …
言い掛けた 。
でも ‘ 待った ’ の ハンドサインが入り
目が乾くほど開いた 。
夏 野
俺 、小夜さんの事好きです
夏 野
ず っ と片想いしてました
此の言葉が信じられない 。
口も開かず 、
身体も動かず 、
表情も固まる 。
唯 、手だけが震えていて
其処から必死に 口を動かした 。
小 夜
り ょ ー おもい 、だね っ 、
精一杯の此の笑顔で
私達は今 、世界一幸せだ 。
夏 野
なんなんですか 、
夏 野
其の笑顔は狡いです
夏 野
凄く … 可愛いです
口角が上がるのを 抑える為か 、
口許を隠す 。
小 夜
なに 、もお っ 笑
小 夜
照れち ゃ うんだけど
夏 野
照れてるのも可愛いです 、
私は此時 、 或る事に気付く 。
小 夜
夏野くん 、顔真 っ 赤 っっっ
夏 野
見ないでください ぃ 、
小 夜
可愛いなぁ …
夏 野
ほんと恥ずかしい ぃ
顔を手で覆い隠し俯いた 。
でも耳迄紅かったのは 見なか っ た事にした 。
小 夜
ふふ 、私今幸せだな
夏 野
俺も 、です
夏野くんが手を差し出す 。
其の手をゆ っ くりと握り 、
手の温もりに触れる 。
其の儘 、月夜の中を
2人で歩いた 。