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オムライス

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オムライス

1 - オムライス

♥

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2021年03月14日

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俺は莉犬。昔から料理が得意だった。

彼氏のさとみくんにも、美味しいよって言ってもらえてた。

俺が大好きな、ひまわりみたいな笑顔で。

でも____。

ふんんふふーん♪

今日は何を作ろうか考えている時。

キキーッ

ドンッ…

ッ…

俺は信号無視の車に轢かれた。

幸い、命に別状はなかったが、右腕が麻痺した。

右腕は、俺の利き手。

右腕は、、、。

包丁を使う手。

俺は___。

料理ができなくなった。

い″ッ⁉︎

退院した次の日、俺は料理をした。

でも、右腕は思ったように動いてくれなくて、左手に刺さってしまった。

莉犬っ⁉︎どうした⁉︎

あっ…ちょっと刺しちゃって…w

包帯、どこだ?

えっ、と…

とりあえず、タオル巻いて!無理して料理しなくていいから!

ん、ありがと…

俺はもう、あのひまわりみたいな笑顔は見れないのかなぁ…

俺は、毎日料理を続けた。

大好きなさとちゃんの笑顔を見るために、毎日。

毎回怪我をして、日に日に絆創膏の数は増えていった。

そして、いつしか、さとみくんはころちゃんとご飯を食べるようになった。

俺のご飯も、「今日はいいや」が毎日になった。

それでも、俺は、毎日ご飯を作った。

でも____。

さとみくんが食べてくれることはなかった。

うぅーん、、、

なんとか、莉犬の腕が治る方法はないのだろうか。

俺は最近、ころんとご飯に行くと嘘をついて、いろんな病院に話を聞きに行っている。

今のところ、全❌。

何か方法はないのだろうか___。

莉犬ー!

んっ…なあに?

ころんと飯行ってくるー

…分かった。行ってらっしゃい(ニコッ)

莉犬が見せた笑顔は、心なしか悲しそうに見えた。

ふぅ…

さとちゃんが出てから、俺は一枚の手紙を書いた。

さとちゃんへ ごめんね。 さとちゃんには、俺よりもいい人がいます。 今までありがとう。 大好きです。 さようなら。 莉犬より。

俺は手紙を置いて、家を出た。

うー、寒っ

しばらくあてもなく歩いていると、軽く肩を叩かれた。

りー、ぬ…?

へっ…?ジェルくん…?

お前、こんな時間に何してんねん…!さとみが心配するやろ⁉︎

っ…

さとみくんは、俺のことなんかどうでもいいんだよ。

莉犬…?まさかお前…

…うん、そのまさかだよ(ニコッ)

は…っ

…とりあえず、俺の家来い!

え…でも…

いいから!あと、ほら。マフラー

ジェルくんは、自分の首からマフラーを取って、俺の首に巻いた。

ッ…ポロポロ

ジェルくんの優しさがさとみくんに重なって、思わず涙が伝った。

ほら、おいで?

俺は小さくコクンと頷き、ジェルくんについていった。

ジェルくんの家です

あったことをジェルくんに一通り話すと、ジェルくんは優しく抱きしめてくれた。

もう大丈夫やから。俺がついてる。

ッ…

…い

ん?

怖い…

自分でぽろっと零した言葉で気づいた。

そうだ。俺は怖かったんだ。

右腕がうまく使えなくて、料理ができなくなって、捨てられるのが。

そっかぁ…怖いかぁ…

うーん…

あっ、じゃあ、一緒に練習しよか!料理!

へっ…

お前、料理好きなんやろ?

うん…

なら、ちょっとずつ慣らしてこうや。な?

ッ…コクッ

おし!じゃあ、今日はもう遅いから、寝ようか

うん(ニコッ)

それからしばらく、ジェルくんの家で特訓をした。

そのおかげで、それなりにはできるようになった。

今の得意料理はオムライス。

これをジェルくんに作ったとき、ひまわりみたいな笑顔で、美味いと言ってくれたから、さとみくんにも食べてもらいたいなぁ、なんて思ったりして。

これをジェルくんに言った数日後、今日の夜ご飯は莉犬のオムライスがいい、と言ってくれた。

だから張り切って作るんだ♪

莉犬ー

んー?

ちょっとスーパー行ってくる!

はーい

すぐ戻るから!

分かった!行ってらっしゃい!

おー!

ガチャッ

バタン

よし…っ

この時は思ってもいなかった。

まさか、あの人がここに来るとは____。

ただいまー

おかえり!オムライスできた…よ…

なんで…

なんで…

さとみくん…?

ッ…

俺が名前を呼ぶと、さとみくんは苦しそうに目を逸らした。

なぁ、莉犬。

ん…?

さとみに、オムライス食わせてやってくれない?

えっ

だめ?

あ…いい、よ…?

ほんま⁉︎じゃ、さとみ!ここ座れ!

えっ…あぁ…?

ジェルくんがさとみくんを無理やり座らせると、俺に目くばせしてきた。

俺はすーっとオムライスを出す。

ほら、さとみ!食え!

い、ただき、ます…?

さとみくんはスプーンでオムライスを掬い、口の中に入れた。

口に入れた途端、俺の頬を生暖かいものが伝った。

ふわふわな卵。

少し濃いケチャップの味。

思うように動かない手で切られた具材。

その全てが、莉犬を物語っているみたいで____。

俺の涙は止まらなかった。

じゃ、俺ちょっと外行くから。な?

俺は目元を擦り、小さく頷いた。

え、と…

りーぬ…ッ

俺は思わず莉犬を抱きしめた。

ごめんッ…ごめんなぁっ…ポロポロ

……

なにが?さとみくんは、今なにに対して謝ってるの?

ッ…俺っ…お前のことほったらかしてて…

ころんとご飯行く、なんて言ってお前が頑張って作った料理食べてやれなくて…

ッ…まさか、俺がそこそこ料理できるようになったからって戻ってこようとしてないよね?

違うよ…ッ

これ、見て

俺は莉犬からゆっくり離れて、一つのパンフレットを渡した。

なにこれ…

病院のパンフレット。お前料理好きだろ?だから、思うように右手が動かないの、結構なストレスになってるんじゃないかと思ってさ。だから、ころんとご飯行くって言ってた時間に、1人でいろんな病院に話聞きに行ってたんだ。

え、じゃあ、ころちゃんとご飯行くっていうのは…

ん、全部嘘。で、いい病院見つけたんだけど…その必要はなさそうだな(ニコッ)

…!

まあ、元はと言えば、俺が一緒に練習してやればよかった話なんだけど…っ⁉︎

俺が言い終わる前に、莉犬が抱きついてきた。

さとちゃあっ…ごめ、なさいっ…ポロポロ

莉犬…?

俺ッ…そんなこと知らなくて…っ、勝手に家出て勝手にジェルくんの家に居候して…っ、ごめんなさいッ…ポロポロ

ッ…俺の方こそ、ごめん…

莉犬、こっち見て

俺は莉犬の両頬を手で挟んで顔を上げさせた。

チュッ…

んぅっ…///

ぷはっ…好き。莉犬。大好き。…チュッ…

んんっ…///

チュッ…ん…///クチュッ…はぁ、ん…///

んっ…///クチュッ…んんっ…///んぅーっ///

ぷはぁっ

ぷはっ…///

好きだよ、莉犬。俺と、付き合ってください。

ッ…はいっ…(ニコッ)

外にいると見せかけて、ドアを挟んだ向こう側にいたジェルくん

………

え、俺なに見せられてんの?

あの2人別れてたの?

え、じゃあ俺恋のキューピッド的な?

いい仕事したんちゃう?

色々考えてたみたいです☆

❦ℯꫛᎴ❧

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コメント

20

ユーザー

フォロー失礼します!

ユーザー

初コメ失礼します。 このお話を毎回読むたびに、号泣してます。 これからも、頑張ってください!(≧▽≦)

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