独りぼっちだった時期も、あった。
だけどそんなのすべて吹き飛ばしてしまうくらいの出逢いが、俺にもあったんだ。
…アメリアにも少しだけ、ほんとに少しだけ話したんだけど
今から話すような踏み込んだことは誰にも…話したことない
でもねメラ
俺にも…いたんだ
きみみたいにさ…最期を迎えるなら、この人に殺してほしいと思うほど
人生を捧げた、人が。
サミュエル
彼はその昔、ただ吸血鬼として孤独に生きていた
親の顔も知らない少年が、齢10になったその日
サミュエル
ただ人を襲って食べていたサミュエルを、誰かが掴む
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
特に表情を変えることなく、その男はサミュエルを摘み上げる
サミュエル
サミュエルが手を伸ばすと、男はサミュエルを投げ落とす
サミュエル
これが俺とその人との、出逢いだった。
サミュエル
ぐぐぐと頬を圧迫されてサミュエルは早々と降伏する
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
その人は正義のために殺しを執行する人間だった。
オーウェン
オーウェン
サミュエル
複雑な心地で、サミュエルはオーウェンを見つめていた
この人は香りから察するに、かなり強い
1人で十分、活躍できる
それなのにどうしてサミュエルを拾ったりしたのか。
そればかりが気になっていた
オーウェンはサミュエルに色々なことを教えてくれた
オーウェン
サミュエル
サミュエル
オーウェン
サミュエル
オーウェン
気分屋なようでしっかり者で、優しいようで冷たいような
サミュエルはそんなオーウェンに、しだいに興味を引かれた。
血を得られない日にはオーウェンが血をくれた
皮膚を淡く噛んでも、肉を犬歯が抉っても、オーウェンはただ飄々としている。
サミュエルにとってオーウェンは"変な人間"だった。
サミュエル
オーウェン
サミュエル
オーウェン
オーウェン
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
自分を怖がらない人も、面倒を見てくれる人も、オーウェンが初めてだったのだ。
サミュエルはそんな風に徐々に生まれていく情を、噛み殺して過ごした。
ついさっきのその問いの答えは、遂に返ってこなかった。
オーウェン
サミュエル
オーウェン
オーウェン
オーウェン
サミュエル
サミュエル
オーウェン
サミュエル
オーウェン
オーウェンはサミュエルを死からも虐げからも守ってくれる
わがままを言っても、呆れながら面倒を見てくれる
ほしいものを、心地いいものを、与えてくれる。
だからサミュエルはもう、オーウェンがどのように考えていようとどうでもよかった
自分にとって大切な彼に、何かできているなら
好かれてなどいなくたって、よかったのだ。
サミュエル
サミュエル
…そして考えることを、放棄した。
コメント
3件
サミュエルくんも人生を掲げた人…オーウェンさんに拾われたんだ……!! 愛されていなくてもいい、か……確かに愛が全てではないから自分はオーウェンさんに好かれなくてもいいからオーウェンさんの役に立ちたい気持ちが強かったんだろうな……🙄💭 んー、サミュエルくんは皆のこと「不器用」なんて言っていたけど、意外とサミュエルくんも「不器用」な方だと思うなあ……