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私が彼に監禁されてから
3ヶ月程の月日が経過した…。
彼は私の手錠を外し、1日家事をさせてはまた手錠でベッドへ繋ぐ。
そんな生活が続いていた。
彼はいつも大体が無言で
ソファに腰掛けニュースをみたり、ずっと外を見つめていたり。
たまに自分の持って来ていた大きな黒い鞄の中を見つめては大事そうに抱え込んでいた。
そして私も大体が無言でいて
彼がネット等で運ばれてくる食材を調理し、最小限の家事をする。
調理しながら、この包丁で…とたまに考えたりもするが
彼の目の前のテーブルに置かれた少し大きめの刃物と
母親の行方を心配し行動など起こせなかったんだ…
彼との生活は決して穏やかなものではなかった。
彼は小さな音量で流れるニュースをたまにイライラしながら見ている。
そのたびに私が小さな物音でも立てれば、すぐに怒りをぶつけに殴りにくるのだ。
頭部のない白骨死体。
山中での獣に食われた女性。
ベッドの中に組み込まれていた女性。
通り魔での連続殺人。
流れるニュースの中に彼の罪はいくつあるのだろうか…
朔
彼はいつも私をベッドへと繋ぐ時にそう言う。
私
殴られる事もなく1日を終えられた時
彼を怒らせなかった時
私は彼に感謝される事に少しづつ幸福を感じはじめていた。
それは不思議と心地がよい支配であり
私が私を支えるための安寧であった。
カチャ
冷たく重い手錠が手首へしっかりとはめられる。
またそうやって1日が終わると思ってた
朔
彼が震え小さな声で囁く
朔
私の顔も見れないでいて、
背中を丸める彼が
まるで勇気を振り絞ったかのように言った。
朔
私を涙目で見つめていた彼は
まるで小さな子供のようで
何かに怯え、震え、助けて欲しいとせがんでいるようだった。
私
そんな小さな子供を見捨てられるほど
私は理性的ではないんだろう。
私は
彼の頰をそっと撫でた
朔
彼は受け入れられた事を確認すると
ゆっくりと私を押し倒した。
薄暗い闇の中で見る彼は
陶器のような肌と綺麗に透き通った眼をしていて
まるで少し大きくなった少年のよう。
彼の顔が近付き
唇と唇が触れ合いそうになる
私は別に彼にどう弄ばれようとも良いとさえ感じていた。
しかし彼は少し考えた後
キスをする事をやめ
甘える子供のように私の胸へと顔をうずめた。
安心を得たかのようにギュッとすがり付く彼に
私は何故だがさみしさを感じた。