スノ短編集

カーテンから覗く光に目が覚める

時間を確認するため横になったままスマホを手に取ろうとした

伸ばした左手に光るソレに気付いて思わず口角が上がった

ソレは昨日、忙しい合間を縫って会いに来てくれた恋人からもらった指輪

記念日でもなんでもないのに、突然プレゼントと言って左手の薬指にはめられた

なんで？と聞いたら「しばらく離れ離れになっちゃうからお守り」と言ったアイツはとてもカッコよくて……

思い出して思わず熱が籠る頬を叩き、身体を起こす

まだちょっと早いけど、寝れそうにないからベッドを出て、インスタにおはようの挨拶を入れながら寝室を出た

リビングに出て、テレビをつけてからコーヒーを入れに行く

と、聞こえてきた名前に視線をテレビに映すと、スーツに身を包んだ恋人の姿

今度はBVLGARIのアンバサダーに選ばれた目黒

たくさんのアンバサダーに来年からは長期の海外撮影……

多忙な目黒とはなかなか時間が合わなくて、寂しくないと言ったら嘘になるけど……それでも、こうして頑張っていて輝いている目黒が好きで、応援したいと思う

今でも十分輝いているのに、もっと上を目指して挑戦をやめないカッコいい男

好きだな……と改めて思う

コーヒーを淹れるのも忘れて目黒に見惚れていた事に気付いて手を動かそうとすると記者からそんな質問が

目黒の言葉に思わず動きが止まる

そして、視線をマグカップを持った左手に移すと、そこにある指輪には……

〜♪

と、突然の着信に驚いて変な声が出てマグカップを落としそうになった

挙動不審になりながらもスマホを見ると、そこには恋人の名前が

目黒の言葉にパニックになって言葉が出ない

そんな事言われたら……

それだけ言うと、通話が切れた

目黒の言葉に翻弄されて、思わずその場にしゃがみ込む

顔が熱い

目黒の言葉を思い出し、スマホを持つ左手を見る

光る指輪には

「BVLGARI」の印字

「生涯、この人と一緒にいるんだろうな、いたいなと思える人にあげたいなと思います」

その指輪が俺の指にあるってことは………

意味を理解して、しばらくその場から動けなかった

おしまい