好きを知らなかったあの秋...。
優しい君に出逢う。
人って、どうして人を好きになるんだろう...。
そんなことをずーっと考えて下校。
ドキドキするような相手に出会ったことなんてない。
誰かを好きになったこともない。
なのに...。
ゴンッ
えみ
いだっ!!
颯太
わっ
颯太
すごい音したけど大丈夫...?
えみ
大丈夫です💦
颯太
冷やした方がいいと思うよ
えみ
あっ、そっか...ありがとね
颯太
ううん、意外と抜けてるね
えみ
...?
颯太
あっ、なんでもないっ
えみ
誰が抜けてるだって...?
颯太
ごめんって笑
颯太
あと、気をつけなよ
えみ
うん、一応ありがと笑
その時はただ、喋りやすい人って思ってた。
でも、奇遇なことに。
その次の日も私たちは会った。
色々喋って、からかい合って、
ここまで男子と親しくしたの、初めてかもってくらいだったんだ。
颯太
おっ
颯太
まただな笑
えみ
うん笑
颯太
なあ、もし俺がさ...
颯太
えみのこと好きだって言ったらどうする...?
えみ
えみ
私...恋愛とか興味なくてさ笑
えみ
どーでもいいって正直、思っちゃうんだよね
颯太
そっか...
颯太
もしさ、俺の事好きになったら、
颯太
一緒に紅葉見ようぜ
えみ
紅葉...?いいけど...
えみ
もし無理だったら...?
颯太
どーもしない?笑
えみ
本気なの?笑
颯太
本気だよ、約束する
そういう、楽しい日々が続くと 思ってた。
ある日、君から1件の連絡が来た。
颯太
俺さ、もう長くは生きられない
えみ
え?何言ってるの?
颯太
だから、俺は...
颯太
もうすぐ死ぬ
えみ
前話してた、病気...?
颯太
うん
颯太
なんか...ほんと、情けないよな...
えみ
情けなくなんか...
颯太
じゃあ、俺の事好きか...?
えみ
好き.....じゃない...
颯太
うん...
颯太
今までありがとな
えみ
うん...ありがと...
それから、颯太からの連絡は 一切無かった。
えみ
(はぁ...)
えみ
(たまには、散歩でもしようかな...)
えみ
...あれ、紅葉が...
サアァッ
えみ
わっ...
そっ...か...。
素直に好きって言ってればな...。
まだ間に合うなんて、 思ってなければ...。
両思いだったのに。
君と一緒に紅葉を見れたのに。
恋は、甘くて苦い。 でも...
君の甘さも、少しの苦さも
私の大切な恋の思い出になるの...。
❦ℯꫛᎴ❧