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彼女と出会ったのは、 いつの日だっただろうか。
碧
優しい彼女は、 私に声をかけてくれた。
葵
これは、私が体験した本当の物語…
先生
碧
先生
そう。 彼女はとても頭が良かった。
碧
葵
彼女と話すたびに考えていた。
私なんかが彼女と 話していていいのだろうか。
私は彼女と一緒にいて いいのだろうか。
先生
葵
碧
葵
私なんて必要あるのだろうか。
私はただの引き立て役なのだろう。
葵
碧
彼女と一緒にいると 自分の劣等感が浮かび上がって。
でも彼女になれないとわかると 辛くなって。
でも彼女と一緒にいたい。
私はきっとめんどくさいやつなのだ。
碧
彼女が私に声をかけてくれる。
葵
私も返事をする。
多分私は彼女が好きなのだ。
何故なら彼女の声は とても愛おしいから。
でも所詮叶わない恋なのだ。
辛い。
こんなことばかり考えていると 自分なんて消えてしまえと思う。
先生
葵
また先生に怒られる。
ふと彼女を見ると 彼女は授業に集中していた。
当たり前だ。
彼女は私とは違い 何でもできる優等生なのだから。
…休み時間のことだった。
葵
碧
葵
私は馬鹿だから。
辛いから。
彼女の全てが知りたいから。
こんな馬鹿なことを聞いてしまった。
本当に大馬鹿だ。
彼女が「葵が好きだよ」 なんて答えてくれるわけないのに。
碧
葵
碧
辛い。 苦しい。
思いを伝えたい。
でも伝えたらきっと引かれてしまう。
もし、碧に好きな人ができたら?
そしたら…きっと… 私は「おめでとう」 としか言えないんだろうな。
私はいつも曖昧だ。
色んなことを誤魔化して、 自分の気持ちを押し殺して。
でもそれが辛くて。
苦しくて。
消えたくなる。
死にたくなる。
誰か。
誰か助けて。
私はもうダメかもしれない。
私は弱い。
自分でもビックリするほど。
体力的にも精神的にも弱い。
だからこんなことを抱え込む。
彼女の周りにいる人はこんなに 辛くならないはずなのに。 抱え込まないはずなのに。
私だけが違う。
私はおかしい子?
…きっと私はおかしい子なのだろう。
碧
でも私がそんなこと考えてる間にも 時が過ぎて行って。
葵
彼女にはきっと会えなくなると思うと辛くなって。
碧
未来のことを考えている彼女とは 私は違って。
葵
ただただぼんやり生きているだけ。
葵
ああほら、まただ。 わかりきっているはずのことを また聞いて。
碧
彼女がとても大きい世界に行こうとしてるんだなと改めて実感して
葵
そこに届かない自分が嫌になって。
碧
どうせ私は彼女がいないと 生きていけないんだろうな。
辛くなってその内 リスカとかするのかな。
彼女は私や先生に頼らなくても 生きていけるのに。
私だけ、私だけ人に 頼ってばっかりだ。
私は生まれた時からダメ人間なんだなと改めて実感した。
…ある日のこと。
私は忘れ物をしたことに気付いたので放課後忘れ物を取りに来た。
その時に彼女を見かけた。
葵
私は彼女の後を 追っていくことにした。
彼女は屋上に上って行った。
葵
階段を上り屋上の扉を開けると 彼女はフェンスを乗り越えていて。
葵
気付いたら私は走り出していて。
碧
間に合わないのだってわかっていて。
葵
それでも彼女に死んでほしくなくて。 もう一度彼女に触れたくて。
碧
少しずつ何かモヤモヤの様なものが 大きくなっている気がして。
葵
足が震えてたまらなくなって。
碧
その内声も震えて。
葵
あと一歩が踏み出せなくて。
碧
頭の中が真っ白になって。
葵
立てなくなってしゃがみこんで。
碧
彼女は私を立たせてくれた。 そして私にこう言った。
碧
碧
そう言って彼女は私に キスしてくれた。
碧
葵
遅かった。
走り出した数秒後に 彼女はもう落ちていて。
その内小さくなり見えなくなって。
葵
叫ぶことしかできなくなって。
…やがて地面の一部が赤く染まって。
葵
私は崩れ落ちて。
大声で泣き喚いた。
この世界にもう碧はいない。
私の生きる理由も もうなくなったのだ。
家に帰り、 キッチンの包丁を手に取り…
…自分の手首に降り下ろした。
やがて視界が真っ暗になり…
…気付けば病院だった。
…そんなことがあって。 私は今も生きている。
普通のOLになって、 普通の人生を送っている。
できるならば、あの時死にたかった。
きっと屋上から飛び降りれなかったのは死ぬのが怖かったからなのだろう。
私は本当にダメな子だ。
…でも私は、碧が死んでしまっても…
葵