はやと
その日はずっと胸騒ぎがしていた。連絡も返ってこなくて、なんとなく、イヤな予感がして―― 合鍵で永玖の部屋に入った瞬間、 嫌な予感は確信に変わった。
はやと
心臓が跳ねた。 静かに近づくと、机の前に立つ永玖の背中が見えた。 震える手で、引き出しの中をあさっている。 その手が、小さな瓶を握った瞬間――
はやと
ほとんど叫ぶようにして、 背後からその手を掴んだ。 永玖の体がびくっと震える
はやと
怒鳴るでもなく、でも声は震えていた。 ずっと怖かった。永玖が壊れそうで、 もう消えてしまいそうで。
えいく
はやと
抱きしめた。 何も考えられなくて、ただ本能みたいに、 永玖の細い体を強く抱き締めた。
はやと
永玖が泣いた。ぽろぽろと、 声もなく泣いていた。
えいく
その言葉だけで、 少しだけ心が救われた気がした。
はやと
永玖の手の中から薬の瓶が転がって、床に落ちるカランという音だけが、妙に鮮明だった。
はやと
そう心に誓った。
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