先生
あーめんどくせぇ

先生
この辺の書類俺作る必要あんのかよ

先生
暇そうだからって理由で選ばれたろこれ

しかしこんなんでも生徒教員共に信頼されている1人の先生だ
身だしなみに言動もどうも先生とは思えないがそれでも先生なのだ
先生
ダルいからこれ家で作るか…

先生
ここだと酒もタバコも満足に吸えねぇし

先生
あの2個があればこんな書類パパッと終わるだろ

そんなところがこの先生の憎めないところなのかもしれない
先生

先生
うし!纏めるだけまとめたし

先生
あとは俺のデスク行って持ち物持って帰るだけだな

女子生徒
あの先生!

先生
んぁ?

女子生徒
今お時間大丈夫ですか?

先生
ぜーんぜん大丈夫じゃねぇな

女子生徒
そ、そうですか…

先生
まぁ生徒の為の時間は作るから安心しろ

先生
んじゃとりあえず話してみろや

女子生徒
え?

先生
ん?

先生
用があったからきたんだろ?

女子生徒
でも今お時間ないって…

先生
俺の都合よりそっちの都合に合わせてやんよ

先生
俺の方は単に俺が怒られるだけだしな

先生
でもこっちはそんな事ないだろ?

先生
生徒の時間の方が有限だろうしな

女子生徒
それじゃあお話聞いてくれます?

先生
そっちの時間が許す限り聞いてやるよ

この先生のこんなところが人気の秘密なのかもしれない
女子生徒
あの私実は将来について悩んでいて…

先生
これはなかなかに難しい話だなぁ

女子生徒
他の子はもう自分の夢に向かって歩いてるのに

女子生徒
私は夢そのものがないから…

女子生徒
だから将来が不安で…

先生
なーるほど?

先生
そりゃ死活問題ですわな

先生
んで助言が欲しくて俺の元に来たと

女子生徒
はい

先生
んー…

先生
それらしいアドバイスは出来んかもしれんが

先生
それでも構わないか?

女子生徒
大丈夫です

先生
んじゃまず君の【夢】はなんだ?

女子生徒
え?

先生
無いって言ってたけどとりあえずな?

先生
それが叶う叶わないは一旦置いといてだ

女子生徒
私の夢は…

女子生徒
声優になりたいです

先生
じゃあ次はその願いを諦めてしまった理由を聞こう

女子生徒
私なりに調べたんですが

女子生徒
今声優ってとっても人気な職業で

女子生徒
なること自体も難しいし

女子生徒
そのうえなれたとしても有名になれる保証もないんです

先生
安定性がないってことだな

先生
それが諦めてしまった理由か?

女子生徒
はい……

先生
そうだなぁ…

先生
ちなみにその夢本気度はどのくらいあったんだ?

先生
100をMAXとして数値で教えてくれ

女子生徒
60くらいです…

先生
ほぉ…

先生
じゃあなろうとしたきっかけは?

女子生徒
ほんとに些細な理由で

女子生徒
あるアニメが好きでそのアニメに出てくるキャラの1人に憧れたんです

女子生徒
正確に言えばそのキャラの声を演じていた人ですね

女子生徒
自分もあんな事をしたい

女子生徒
やってみたい て言うのが原点です

先生
OKOK

先生
んじゃー俺なりの結論を出そう

先生
その夢は諦めても良かったと思うぞ

先生
んで、別の何かを目指した方がいいな

先生
本来立てたその夢自体を俺は否定しない

先生
が、君自身本気度が低かった

先生
恐らくなれるか不安というのが数字を減らした理由なんだろうがな

先生
夢を追う者の本気は俺らの思ってる数倍は違う

先生
自分の人生をそこに賭けるぐらいの覚悟があるからこそ追えるんだ

先生
生半可な気持ちでは叶えられない

先生
故に君はなれるか不安という気持ちが芽生えたので叶えられないと俺判断した

女子生徒
そうですよね…

先生
で、声優の代わりの夢はないんだよな?

女子生徒
はい…

先生
ないなら作ればいい

先生
単純な答えだろ?

女子生徒
でもどうやって…

先生
俺もそうだったんだけどな

先生
君はまだ学生だ

先生
ミスも許される歳なんだよ

先生
確かに失敗は怖いよな

先生
他人の目が怖く感じたりするもんな

先生
ただ、その一時的な恐怖のせいで君の可能性を潰してるのに気が付かないか?

先生
何かをやってみる と言うのは意外と覚悟が必要だったりする

先生
しかしそれはやってみないと分からない

先生
例えば生徒会があったとしてだ

先生
周りの話を聞いて君は生徒会に少し不信を抱いたとしよう

先生
しかしそれは他人から聞いた話に過ぎない

先生
要は外部の情報飲みを鵜呑みにしてるってことだ

先生
そのせいであと一歩がどうしても踏み出せない

先生
だから生徒会って結局何をしてるか分からない

先生
分からないから怖くなる

先生
怖くなるからそれを避けて別の道を探す

先生
そんな逃げ腰では将来決めらんねぇわけだ

先生
将来が決まってないということは

先生
君はなんにでもなれるということにもなる

先生
当たり前の話なんだけどな

先生
で、こんだけ話して結論何が言いたいのか

先生
失敗を恐れず経験を積むことだ

先生
正直勉学なんて一瞬で忘れる

先生
しかし体験は忘れない

先生
だってそれは勉学と違い刺激に溢れてるから

先生
もちろん勉学にも刺激はあるだろうが

先生
大抵の奴は嫌いだろ?

先生
嫌いだから嫌になるし

先生
覚えるけど結局頭からすっぽ抜ける

先生
しかし体験や経験は違う

先生
思い当たるんじゃないか?

先生
去年の楽しかったことはなんだ と聞かれたらパッと出るだろう?

先生
それを答えがいくつもさ

先生
経験をするということはそういうことだ

先生
そしてそれら経験は将来を考える資料になる

先生
そして面接の武器になる

先生
人生の宝になるわけだ

先生
自分が何できるか分からない?

先生
そりゃ経験 体験をしてないから分からないだけ

先生
将来が不安だと言うのなら自分が少しでも気になるものを調べろ

先生
そしてそれを体験してこい

先生
体験が経験に変わる

先生
そしてそこから自分だけの道が出来るはずだ

女子生徒
………!

先生
実際俺もそうだったし

先生
こんな性格してるくせに教員が1番自分に合ってた

先生
案外自分に合うものや発見ってのは意外なものが多いからな

女子生徒
ありがとうございます!

先生
参考になったかは怪しいけどな

先生
さぁ若いうちに挑んで転んで怪我を沢山しな

先生
だって君は”学生”なんだからな

女子生徒
はい!

先生
よしいい返事だ!

先生
んじゃとっとと帰ろうか

女子生徒
そうですね

女子生徒
お話聞いて下さりありがとうございます!

先生
こっちとしても自分から将来の話をされて嬉しいんだよな

先生
みーんな消極的だからさ

先生
その積極性を持ち味にするとかも一つの案かもな

女子生徒
そうかもしれませんね

先生
ほらな?

先生
意外と自分じゃ気づかないもんよ

先生
その秀でた才能はさ

先生
君これから帰りか?

女子生徒
そうですね

先生
んじゃ自販機で1本飲みもんくらい奢ってやんよ

女子生徒
だ、大丈夫ですよ!

先生
まぁ受け取れって

先生
君が将来に向けて1歩前進してくれたお祝いだ
