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春の陽気に背中を 押されるように、 私は新しい校舎の 前に立っていた。
桜咲ひよりーー 今日からこの学園の 生徒だ。
桜咲ひより
深呼吸して教室の扉を 開けた瞬間、ガタッと 手から教科書が落ちた。
ページが床を滑って、 誰かの足元に 転がっていく。
??
目の前にいたのは、 オレンジがかった髪の男子。
ジェルと呼ばれるらしい その人は、柔らかい笑みを 浮かべながら私の教科書を 拾ってくれた。
耳に残るのは独特な関西訛り。 ドキッと胸が鳴る。
桜咲ひより
ジェル
彼の軽い冗談に、 周りから小さな笑い声が 起こる。
ころん
元気いっぱいな声が飛ぶ。
見ると、青髪のころんが ニヤニヤしている。
るぅと
静かに微笑むのは、金髪のるぅと。 丁寧な敬語が逆にプレッシャーだ。
桜咲ひより
桜咲ひより
勢いで頭を下げると、 ぱちぱちと拍手が起こった。
ころん
ころんが元気に手を振ってくる。
るぅと
るぅとがにっこり。 だが言葉の裏にほんのり 毒を感じたのは気のせい?
ななもり
ふわっとした声でななもりが笑い、 教室の空気を和ませる。
その隣で赤髪の莉犬が楽しそうに 私を見ていた。
莉犬
なんだか、すでに賑やかな 日々が始まりそうな予感しか しない。
転校初日、私はこのクラスの "渦"に足を踏み入れたのだ。