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ーー音がしない。

まるで世界そのものが海の底に沈んでしまったようだ。

Mr.レッド

ん…………

俺は目が覚めると白い天井を見つめた。

Mr.レッド

……?

漂うように揺れる蛍光灯の光が遠くで波打つ月光のように俺の視界を濡らす。

Mr.レッド

…眩しいな

か細い声で俺は言った。

思うように声が出ないのだ。

ぼんやりと瞬きを繰り返している内に、胸の奥で小さな不安が泡のように弾けた。

ここはどこだ?

自分はーー誰だ?

ドアが開く音。

光が差し込んで、そこに七つの影が現れた。

Mr.赤ちゃん

レッド……起きたのか!!?

驚いた声で誰かが言う。

視界が眩しくてよく見えない。

すまない先生

レッド君……大丈夫…?

一番に視界に映ったのは明るい笑顔の男だった。

その瞳は朝日のように暖かい。

Mr.レッド

……誰だ?

Mr.銀さん

…俺達はレッドの仲間なんだ

そこにいる七人は「仲間」と答えた。

だが、俺の頭の中は真っ白で、彼らの顔にも名前にも感情は一切湧かない。

窓の外、薄い雲の隙間から光が差し込む。

俺の瞳にそれが映った瞬間、微かに胸がざわめいた。

白い花が落ちてくるような記憶の断片。

笑い声、汗、舞台の熱。

だが、それは掴もうとした瞬間に霧のように消えた。

Mr.レッド

思い出せねぇ…………

七人からは励ましの言葉。

Mr.赤ちゃん

だっ…大丈夫だ!!!

Mr.レッド

…?

Mr.赤ちゃん

よくわからんけど……レッドは大丈夫だ!!!!多分だけど…

大きな声で言うくせに、悲しい表情をして言った彼。

何故悲しそうなのだろう。

Mr.ブルー

兄貴!!安心しろ…!

Mr.ブルー

な…?

Mr.マネー

とにかく…大丈夫だ……

Mr.ブラック

……………

Mr.ブラック

元気を出してください

Mr.バナナ

きっと……治るから

すまない先生

レッド君……………

だが、俺にはただの"他人の台詞"にしか聞こえなかった。

Mr.レッド

………ありがと

念の為感謝をする。

本当に感謝したからではない。

直感で感謝した方が良いと思った。

「仲間」って何だ…………?

よくわからない状況に頭が混乱する。

起きてすぐだからか脳が働かない。

すまない先生

レッド君、また来るよ

すまない先生

僕達は帰らないといけないから

Mr.赤ちゃん

絶対元気出しとけよ!!!

Mr.銀さん

……寂しくなったらいつでも頼ってくれていいからな

Mr.バナナ

……約束だ

Mr.レッド

………

何とも言えなかった。

口から言葉が出てこなかった。

きっと俺は何をすればいいのかわからない幼い子供のようになっているんだろうな。

自分でそうわかってて突如悔しくなる。

俺は前までこんなんじゃなかった気がする。

もっと………もっと………

前とは…何かが違う。

その異変に、俺は気づいていた。

あの日、僕らは忘れたふりをした

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