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屋上の風が少しだけ冷たく感じる夕方。
和人の腕の中で落ち着いた雅哉は、 ゆっくりとその腕から離れた。
まだ涙の痕が残っている頬。だけど、 その目は少しだけ前を向いていた。
雅哉
和人は何も言わずに、 ただ黙って雅哉を見つめた。
雅哉
雅哉
和人の瞳が、少しだけ揺れる。
雅哉
雅哉
言葉を絞り出すように、雅哉は続ける。
雅哉
雅哉
雅哉
その声は小さかったけれど、確かに震えていた。
和人はゆっくりと、雅哉の手を握った。 その手は、暖かくて、確かだった。
和人
和人
雅哉
和人
そう言って、和人は微笑んだ。
その笑顔は、 今まで雅哉が知っていたどの笑顔よりも、 あたたかかった。
雅哉はもう一度だけ、涙を流した
でも今度は――悲しみじゃなくて、 安心の涙だった。