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あの日以来、雅哉は少しずつ変わり始めた
和人は、変わらず隣にいた。
教室でも、下校中でも、 雅哉が誰かと目を合わせられない時には、 そっとフォローしてくれた。
和人
その言葉は、 雅哉の心に何度も優しく染み込んだ。
最初はぎこちなく話していたクラスメイトとも、和人の手助けもあって徐々に距離が縮まってきた。
クラスメイト
そんな噂が、良くも悪くも教室をざわつかせたけど、それでも和人がそばにいるだけで、 怖くなかった。
ある日の帰り道。
空がオレンジから群青に変わる夕暮れ時。
雅哉と和人は、 人通りの少ない裏道を歩いていた。
和人
いつもより少しだけ低い、和人の声。
和人
雅哉は、ふと足を止めて和人を見る。 どこか遠くを見ているような目をしていた。
和人
その言葉は、 まっすぐに雅哉の胸に飛び込んできた。
和人
風が少し吹いて、街灯がふたりを照らす。
雅哉は、何も言えなかった。
ただ、心が温かくなるのを感じていた。
和人
和人は、ふっと笑った。どこか寂しげに。
和人
和人
和人
言葉は静かだったけど、 そこに込められた痛みは、雅哉にもよくわかった
自分も人に言えない傷を抱えていたから。
和人
和人
雅哉
雅哉は、そっと彼の袖を握った。
雅哉
雅哉
和人は驚いたように雅哉を見た。 その目に映る涙に、 雅哉の胸がぎゅっと締めつけられる。
和人
雅哉
そう言って、ふたりは静かに歩き出した。
手を繋ぐわけでも、何かを誓うわけでもない。
でも、あの帰り道で確かに、 ふたりの距離はもう、 過去のどんな孤独よりもずっと近くなっていた。