起き上がったまま息を整えていると、横に分厚い本が置いてあることに 気づいた。
その本は随分と古ぼけており、 手に取ってみると、ずしりと 重みが乗るような重さだった。
ユウ
パラパラとページをめくり、ふと目に飛び込んだのは最後のページだった。
最後のページには、 こう綴られていた。
『鏡が光る。そうして、裏切り者の兵士たちはその不思議な級友を助けた。だが、学園の長に目をつけられ、 彼らは』
ユウ
そのラストには、意図的と疑うほどにインクがバシャバシャと こびりついていた。
(…そうか。)
ユウ
どこまで読んだっけ、と本をペラペラめくっていると階段の下の方から聞きなれた声が飛んできた。
母
ユウ
時計を見て 七時半を過ぎていることに気づいた。 僕は急いで階段を降りた。
そこはいつもと何ら変わらない、 食卓の風景。
母がテレビの電源を入れたあと、 僕の前に座る。
パンを一口齧ったあと、母がなにか思い出したかのような顔をして 僕に話しかけてきた。
母
ユウ
母
ユウ
(本当にお母さんは イケメンに目がないな...。)
はあ、と僕は呆れ顔で 目玉焼きに醤油をかけた。
ユウ
母
そう言って冷蔵庫から 取り出したのは。
ユウ
母
ユウ
母
ユウ
朝ごはんを食べ、身支度を整え、 洗面台で歯磨きをする。
僕は鏡を見ながらぼーっとしていた。
(何かがあったはずなんだけど… 思い出せない。)
(モヤモヤする。)
ユウ
うがいをして歯磨きを置く。
ユウ
母
複雑な気持ちのまま黒のローファーを履いて、僕は今日も学校に行く。
いつも通りの日常が、 今日もまた、 始まる。
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