テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
晴哉くんの家は マンションの一角にあった
今になって凄く帰りたい 。
ドアノブを握ろうとしている手は
汗でぐしょぐしょだった 。
緊張を抑え乍 、 私の目の前にあったインターホンを
ゆっくり押した 。
押してしまった
矢っ張りまだ心の準備は 、
晴 哉
電子機器を交えてなのか 何時もより声が低く聞こえた 。
電話以来の声
電話もインターホンも 電子機器を交えてだけど
今からちゃんと晴哉くんの声を聞く
そんな事迄考えている私は 少し好きだけど嫌い
晴 哉
茉 陽
目が合ってしまいそうで 、
顔を見ることすら 出来ないでいる私がいる
でも暫く聞かなかった声は
私の耳に優しく通ってゆく 。
茉 陽
思わず口から漏れてしまって 口を汗の滲む手で抑えた
私の一つひとつの言動は
相手にとって 気持ちの悪いものかもしれない
と思えば思うほど 逃げ出したくなるものだ 。
晴 哉
晴 哉
‘ 私の為 ’ なんて思うのは
唯の思い上がりかな 、?
茉 陽
茉 陽
握り締めて 緊張をぶつけていた紙袋を
手から晴哉くんの手へと移る
中には2時間も 迷ったケーキの手土産が 、
小さな紙袋に 窮屈そうに入れられていた 。
晴 哉
晴 哉
‘ 茉陽ってセンスあるよな ’ なんて呟き乍
奥の部屋へ姿を消していった 。
嬉しさと緊張が一気に解け 、 その場に蹲ってしまう
意味も無く整頓された 此の部屋を見回した 。
何処か落ち着くような気がした
晴哉くんが 纏った優しい雰囲気が
此の部屋に染み付いているような そんな感覚があった 。
何時の間にか口の端が上がっていた
其の中 、耳が痛くなるような 貫くような音が鳴り響いた