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月の光を辿って

第19話 - 第19話　アルコイリス校・定期試験

2025年07月20日

#🌃📖🕯

#一次創作

#ファンタジー

#バトル

宵月シノ

霽月

……つかれたー。

霽月

流石に人多すぎてびっくり。
意外と人居るんだねここの集落。

イザヤ

俺でもたまに全員集落に住んでいるのか不思議になるくらいだ。

霽月

でも、やっとマシになってきたね。

イザヤ

あの騒ぎから数週間は経ったからな。

霽月

え、もうそんな経つの？
全然そんな記憶ないんだけど……。

イザヤ

カレンダーを見てみろ。
今日で丁度2週間経つぞ。

霽月

はぁ〜、そうだったんだ……。

霽月

全然覚えてないや。

イザヤ

コーヒー淹れたぞ。飲むか？

霽月

お、ありがと。気が利くね〜。

イザヤ

そりゃよかったな。

イザヤはテーブルにマグカップを2つ置いた。霽月はその中の月の模様が入っているマグカップを手に取った。

イザヤ

お前は本当にそれでいいのか？
そのマグカップ、古いものなんだが……。

霽月

あたしはこの柄好きだなぁ。
特に古いものって感じもしないし。

イザヤ

俺が診療所に来る何年も前からあったらしいんだが……。

霽月

そうなの？可愛いと思うけど。
でも、確かにここ欠けてるよね。

イザヤ

危ないんじゃないか？
今度新しいものを買ってくるが。

霽月

……うーん。

霽月

じゃあ食器棚に飾って置いておく？
それなら壊れないし。

イザヤ

食器棚は芸術品を飾る棚でもなんでもないんだが？

霽月

まぁまぁ。

霽月

……そういえば、学校の調査は？
順調なの？

イザヤ

あいつらを待つしかないな。
今日は丁度試験の日なんだとか。

イザヤ

あぁ、そうだ。
試験だから帰りが早くなると言っていたな。

イザヤ

スイとマドカは学校が終わったらそのまま診療所に来るらしい。

霽月

ザインは無理ってこと？

イザヤ

ザインは親に顔を見せてから行くから少し遅れる、と言っていた。

霽月

へぇ、そうなんだ。

イザヤ

時間的にもそろそろ帰ってくる頃だな。
俺は昼飯を準備するから何かあったら呼べ。

霽月

はーい。分かった。
あとこれもお願い。

霽月はそう言うと、月の描かれたマグカップをトレーに置いた。ついでに洗って、という意味らしい。

イザヤ

……分かった分かった。

ガチャ

スイ

こんにちは〜。

霽月

噂をすれば何とやら、だね。
やっほー。

イザヤ

試験は問題なかったか？
お前なら大丈夫だと思うが……。

スイ

はい。今回の試験は大丈夫だと思います。

スイ

ただ、ザイン先輩が試験終わりからずっと頭を抱えていたので心配ですね……。

霽月

意外と勉強できないのかな？
ザイン、頭良さそうだけど。

スイ

どうなんでしょうか……。

スイ

点数は良くとも目標が達成出来ていなかったらそうなってしまうでしょうし……。

霽月

そういえばマドカはどうしたの？
一緒に来ないなんて珍しいね。

スイ

お腹がすいたからお昼ご飯を食べてから行く……と言っていました。

イザヤ

飯なら言ってくれれば作るんだがな。

スイ

学校からだと診療所より家の方が近いから一度帰るんだそうです。

霽月

そんなにお腹すいてたんだね。

霽月

あー、あたしもお腹すいてきた。
イザヤ、ご飯まだ〜？

イザヤ

今作っているから待ってろ。

霽月

そういえば、スイの学校について教えてもらいたかったんだ。

霽月

よかったら教えてくれない？

スイ

学校のこと……ですか？
分かりました。

ザイン

（家の前まで来てしまった……。
怒られたくないなぁ。）

ザイン

（僕だって今回の試験は頑張ったつもりだったんだけど。）

ザイン

（でも、配られたのは実技試験の結果だけだし、筆記試験の結果次第では大丈夫かも──）

ザイン

（……いや、無理かな。）

ザイン

はぁ……。

完璧主義である父親のことを思い出して、ザインははぁ、とため息をついた。

例えいくら筆記試験の成績が良くとも、実技試験の結果が悪ければ父はザインに小言を言ってくる。それはザインが実技試験が得意ではないのも理由の一つだろう。

だが、ザインは定期試験に気を取られている場合ではないと思っていた。例の件の調査がまだほぼ手付かずの状態なのだ。

クリアトーレが協力して情報を集めてくれているとはいえ、後輩達から協力を要請されたザインもまたきちんと調査をしなければならないと思っていた。

──自分を信じて、ずっと待ってくれている後輩達のためにも。

ザイン

（といっても、それとこれは全く別の問題なんだよなぁ……。）

メイド

おや……ザイン様。おかえりなさいませ。

メイド

先程から旦那様がザイン様をお探しですよ。
試験の結果が、と仰っていました。

メイド

お入りにならないのですか？

ザイン

あっ……今すぐ入るよ。ありがとう。

ザイン

少し準備をしてくるから、父様には心配しなくていいと伝えてくれないかな？

メイド

かしこまりました。

メイドはザインからの伝言を聞くと、それを伝えるべく屋敷へと足音を立てずに歩いていった。

ザイン

……失礼します。

ザイン

父様、実技試験の結果が出ました。

ザインの父親

……見せてみなさい。

ザインの父親

まさか、見せられないほど悲惨な結果という訳じゃないだろうな？

ザイン

──こちらです。

ザインの父親

ふむ……。

ザインから実技試験の結果が記された紙を受け取ると、父親はそれをじっくりと見てから紙を机に置いた。

ザインの父親

はぁ……。

ザインの父親

今回も、いいとは言えない結果だったのだな。

ザイン

ですが、全体的に以前の定期試験より点数が伸びて──

ザインの父親

弁明をしろと言った覚えはないが。

ザインの父親

いいか、ザイン。
お前は実技試験が苦手なんだ。

ザインの父親

それはどうしてか分かるか？

ザイン

運動が苦手で……。

ザイン

あと、実技試験は実際に挑戦できる機会があまりないということもあって。

ザインの父親

言い訳にしか聞こえないが……まぁいいだろう。

ザインの父親

では、どうしてそれをカバーする為に動かなかった？

ザインの父親

なぜ筆記試験の対策だけをした？

ザインの父親

一つだけ悪い点の教科があれば平均だって落ちる。

ザインの父親

得意を伸ばすだけでは足りない。苦手をカバーし克服するまでしないと、学年1位は取れないだろうな。

ザイン

分かりました。次からは頑張ります。

ザインの父親

明日は筆記試験があるんだろう。
今すぐにでもそれに備えて勉強をしろ。

ザイン

……はい。

ザインの父親

昼食は使用人に持って行かせる。
夕食の時間になったら降りてこい。

ザイン

えぇっと……夕食の時に何か重要な予定が入っているんですか？

ザインの父親

地下の宴会場でパーティーを行う。
お前も挨拶ぐらいするんだ。

ザインの父親

挨拶だけでいい。

ザインの父親

お前は私達一族の跡継ぎだからな。
きちんとしてもらわないと困るぞ。

ザイン

もちろんです。

ザイン

……失礼しました。

ザインの父親

いや、待て。
ひとつ聞いておくことがあった。

ザインの父親

──先日の集落への襲撃で、巨大な魔物を倒したらしいな？

ザイン

あっ……し、知っていたんですか？

ザインの父親

お前を探していたという使用人から聞いたぞ。

ザイン

……そのことについてはご迷惑をおかけしました。ごめんなさい。

ザインの父親

いつも功績を残すくらいの勢いで生きていってもらわなければ困るんだがな。

ザインの父親

とにかく、明日の筆記試験に備えなさい。

ザイン

はい。

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3件

霽月さんは名前にも月って入ってるし何か関係があるのでは…！考察ができないとこういうときに困りますね。ザイン先輩は多分絶対頭良いんだろうな…実技教科(特に体育)はぜひ滅んでいただきたい。

いつの間にか20話越えそうですね！しかしこの話を書いたのが結構前なので、今見返すとは？ってなります…恐ろしや…。それくらい成長しているということですかね🤔

宵月シノ

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