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rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
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第14話『流れる風と、止まる時間』
朝から、空は薄く霞んでいた。
冷たい風ではないけれど、少し肌寒さの残る春の終わり。
いるまはデスクワークをしており、らんは一人、ソファに座っていた。
らん
その一言に、いるまはチラッと顔を上げた。
いるま
いるま
らん
らん
いるまは少し迷ったように口を開きかけたが、やがて頷いた。
いるま
いるま
らん
らん
玄関の扉を開けると、春の風がふわりと吹き抜けた。
その瞬間、どこか遠いところで、微かな音がした気がした。
らん
けれど、その正体を確かめる間もなく、風は過ぎていく。
らんはそっとマスクをつけて、靴を履き、歩き出した。
近所の小さな公園には、子どもたちの声が響いていた。
ベンチに腰を下ろし、缶コーヒーを飲みながら、らんはぼんやりと空を見上げる。
鳴いている鳥の声。
風にそよぐ木々の葉音。
ブランコの軋む音。
どれも懐かしい気がするのに、記憶の中には存在しない。
らん
独り言のように呟いたその瞬間だった。
声
頭の中に、声が流れた。
誰の声かは、わからない。
けれど確かに、自分に向けて笑っているような、そんな音。
声
声
声
らん
頭の奥が、ズキリと痛んだ。
その場に座っているのに、視界がグラリと揺れる。
耳鳴りのような“ノイズ”が、鼓膜をかすめていく。
らん
目を閉じても、声は止まらない。
知らないはずの光景が、次々と“浮かんで”、そして“崩れて”いく。
手が震え、缶コーヒーが倒れた。
コンクリートに広がる黒いしみが、まるで記憶の空白みたいに見えた。
らん
らん
そのとき、ポケットの中でスマホが震えた。
画面には、「こさめ」の名前と、メッセージ。
らんは、スマホを握りしめるようにして、ふぅっと小さく息を吐いた。
記憶がなくても。
ノイズに襲われても。
“今の自分”に声をかけてくれる人たちがいる。
らん
画面に、短く返信を打つ。
こさめ
らん
“今”を、ちゃんと伝えることが、少しだけ怖さを薄れさせてくれる。
らんはベンチから立ち上がり、深呼吸をひとつ。
風の匂いが、胸の奥に入り込む。
帰り道。
コンビニで、いつか好きだった気がする飲み物をひとつ選んで、袋に入れる。
らん
そう思いながら、ゆっくりと帰路についた。
玄関のドアを開けると、いるまがキッチンから顔を出す。
いるま
いるま
らん
らん
らん
いるまは一瞬、何か言いかけたが――
いるま
とだけ言って、冷蔵庫を開けた。
らん
らん
いるま
いるま
袋の中を見て、らんは少しだけ笑った。
らん
いるま
いるま
らんは、冷たい缶を手に取りながら、そっと呟いた。
らん
いるま
いるま
やさしい光が、キッチンの窓から差し込んでいた。
記憶の奥で揺れるノイズに、まだ抗えないままでも――
少しずつ、“今”を積み重ねていける気がしていた。
そして夜。
日記のように残すメモに、らんは静かに記した。
今日は、忘れた記憶に会いかけた。 でも怖くて、手を伸ばせなかった。 ……だからせめて、明日は笑っていたい。
ページの端には、コンビニで買ったドリンクの名前が、まるでおまじないのように書かれていた。
第14話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡150
rara🎼
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コメント
4件
神作✨️
毎回ひきこまれます... 続き楽しみに待ってます!