◆第3話◆ ♥気づかない振りのままで♥
昼休み
教室の喧騒の中、俺はひとりでぼーっとしてた。
誰とも話さず、ただ前の席を眺めてるだけ。
……yan裙の笑い声は、やっぱよく通るな。
その周りには、今日も人が集まってて。 自然と中心にいるタイプの人間
na
na彡の笑い声も聞こえてきて、俺は視線を落とした。
ほんと、絵になるふたりだ。
明るくてまっすぐな主人公と、ふわふわしたヒロイン。
もしこのクラスに物語があるなら
きっとあのふたりが結ばれるんだろうなって 誰でもそう思う。
ur
俺が欲しかったのは、物語の真ん中じゃない
ただ、“主人公の隣にいる親友ポジション”。
信頼されて
一緒に並んで
時にツッコミ入れたり相談されたり、そんな存在。
na彡みたいに可愛くもなれないし、
yan裙みたいな目立つ性格でもない 俺にはそれがちょうどいい。
____はずだった
yan
急に振り返られて声をかけられてビクッとする。
ur
yan
yan
ur
ur
yan
サラッと言われて、なんか変に照れる。
こういう距離感ずるいよな。たまにふいに近くなる。
……でもそれも、“親友ポジ”になれたから、ってことだよな。きっと。
yan
ur
ur
yan
ur
yan
yan
ur
冗談混じりのその笑顔に、少しだけ胸の奥が温かくなった。
きっとこれが、“親友”ってやつなんだ。
yan裙の隣にいられてる。 それだけで俺は十分だと思ってた。
放課後。
今日も俺たちは図書室の片隅に陣取って、教科書を広げた。
yan
最初のページを開いた瞬間、yanが机に突っ伏す。
寝ぐせがぴょこんと跳ねてて、ちょっと情けない。
ur
yan
ur
yan
こっちが呆れてると、yanは顔をあげてニヤリと笑った。
その顔を見たらなんかもう怒る気にもなれない。
ずるいよな、こういうとこ
ur
仕方なくノートを押しつけると、素直にペンを持ち直した。
やればできるくせに、ふざけたり気を抜いたりする
そんな飾らないところも、多分
yan裙が“主人公”でいられる理由なんだろう。
yan
ふと、yanがペンを止めて、俺を見る。
ur
yan
ur
急な名前にびっくりして、ノートの端を思わずぐしゃっと握ってしまった。
ur
心臓がドクドクとうるさい。
でも、それは――別に、悲しいわけじゃない
俺は最初から、“主人公とヒロイン”の物語を見届けるつもりだったから。
ur
ur
ur
そう答えると、yanは少しだけ眉をひそめた。
yan
ur
何でだろう。なんか、微妙な顔してる。
ur
ur
ur
ああ、よかった。 物語はちゃんと、予定通りに進んでる。
俺はただ、隣でそれを応援してればいい。自分には関係ない感情だ
yan
ur
yan
yan
ur
思わず間抜けな声が出た。 何を言ってんだ、こいつは。
でも、yanはふざけた様子もなく
ただ、まっすぐに俺を見ていた。
ur
yan
そう言って、照れたみたいに頭をかく。
……バカみたいだ。
何か言おうとしたけど、何も言えなかった。
ur
ur
俺は勝手に納得してふっと目を伏せた
俺は、ただの脇役。
物語の主役になることなんて、絶対にないから。
……そう、自分に言い聞かせるように
なのに
yanの視線は俺だけを追っている。
____それに、俺はまだ、全然気づいていなかった。
すこんぶ
すこんぶ
すこんぶ
すこんぶ
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コメント
1件
大好きです!もうめっちゃ大好きです!(語彙力皆無)