TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

昔から、出来が悪かった

みんなが当たり前にできることが私には出来なくて。

二回、三回、四回って何度もしてやっとみんなと一緒。

出来の悪いグズのくせに正義感と承認欲求だけは一丁前にあった

両親はすぐに愛想を尽かして、妹をつくった

妹の名前は凛音

最初は近所でも有名なくらい仲の良い姉妹で、私も妹が出来たことに喜んでいた

でも、あの日私は全てに気づいてしまった

気づかなければ、幸せだったかもしれないのに

三年前

その日、私は学校の宿題であった「両親の仕事」の作文を 書くため、棚を漁っていた

父さんは外科医、母さんは看護師で家のカルテを見れば何かわかるかもと思ったからだ。

中学生の琴音

あっ

ゴソッ

中学生の琴音

見つけた!

中学生の琴音

っえ?

そのカルテに書かれていたのは私たち家族の血液型。

私はB型で、両親はA型とB型。凛音はAB型だと聞かされていた

でも...

中学生の琴音

二人ともA型…?

中学生の琴音

それに凛音はO型...

A型の両親からB型の子供が産まれることはありえない

中学生の琴音

ハハッ

中学生の琴音

邪魔者じゃん、私

中学生の琴音

そりゃそうだよね。医者の娘がこんなに出来悪い訳ないよね

中学生の琴音

あーあ。私って何者なんだろ

そこからは簡単だった

私が気づいたことを知った家族は私を除け者にするようになった

代わりに凛音に愛は向かっていって、優秀な凛音は気づいた

私が他人なことに。

虐待ではないけど、阻害が始まった

もとの仲良し姉妹なんて面影がないくらいになって

私は夜に家を抜け出すようになった

外は真っ暗なはずなのに私には眩しく思えた

自分のちっぽけさに嫌気がさした。

何者にもなれない自分が嫌になった。

親を知らないって言うのは自分が広い海に漂っているような感覚で

自由って言えば聞こえが良いんだろうけど、実際は根がない

根がないって言うのはほんとに辛くて、自分を見つけようにも人生の見本になる親がいない。

だから自分がわからない

そんな感じ

カンッ

??

った

中学生の琴音

あっ

中学生の琴音

(空き缶ぶつけちゃった!どーしよ)

??

ね、ちょっといい?

え、私もしかして今日命日?

死ぬ?

中学生の琴音

あ、はい

??

あはっそんなにビビんなくていいって

??

この時間あんまり人見ることないからさ、誰だろーって

よかった、いい人っぽい

??

あっ、ごめん名乗んないと怖いよな

中学生の伊織

伊織って言うんだ。君は?

中学生の琴音

私は琴音。えっと、伊織くんでいい?

中学生の琴音

よろしくね

中学生の伊織

あー、実はあたし女、なんだけど...

中学生の伊織

ぱっと見わかんないよね。こんななりだし

え、待って女?女って言った?

この子が?

ちょーイケメンなのに?

中学生の琴音

え、ほんと?

中学生の琴音

嘘とかじゃなく?

中学生の伊織

うん、マジ

中学生の琴音

ごめん!女の子だとは思わず...

中学生の伊織

いーよ。よく間違えられるし

中学生の伊織

んで、君のことはなんて呼べばいい?

中学生の伊織

琴音、でしょ?琴音、ことね、こと...

中学生の伊織

あっ、「ここ」とかどう?

ここ。伊織ちゃんがそう言ってくれた時、私は独りぼっちの琴音からここになれた

これが、私たちの始まりだった

毎日25時にこの道路で待ち合わせして少し話す

それだけの関係。

互いに知っているのは名前と性別だけ

その関係が心地よくて、いつの間にか伊織ちゃんが大事になっていた

この世界の誰よりも

オハイアリイの花束

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

19

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚