crisispass

水分が無くなっていく喉

ビリビリと伝わる音

汗が流れてキュッと音が止まる

全てを出した暁には歓声が湧き上がる

バタッ

「ちょーっと！！依央ー！入学式早々遅刻するわよ！！！」

目をゆっくりと開けてスマホを見る

私の名前は同道 依央

「元」バンドメンバーでベースをやっていた

仲間とはいわゆる方向性の違いってやつで仲違い

そしてバンドを辞めた

もうバンドはやらない

ベースは弾くのは好きだし、今も弾いてるけど

今じゃ趣味程度だ

私はゆっくり静かに過ごすんだ

緑王学園

主に部活動が盛んに活動している学校

入学式も無事に終わり私は中庭に来ていた

他の学年はまだ春休みだろう

誰もいない

いや、部活動の生徒がいるのか

廊下でボーッと中庭の噴水を見ている人がいた

随分と綺麗な金髪の、ハーフっぽい生徒

その姿に見惚れているとその子と目が合ってしまった

私をみた少女はすぐに表情を変えて私の方に走ってきた

2年前…といえば私が出た最後のライブだ

ズカズカと近づいてくる少女に狼狽える

何を言ってるんだこの人は…

運命的な出会いってこういう事を言うのかな

この人との出会いが私を変えるなんて、この時は何とも思っていなかった