イマナリの部屋に駆け込んだイガラシは言葉を失った。
母親の首元にカッターナイフを突きつけているイマナリ。
イガラシ
イマナリ!

イガラシ
何が……どうなってるんだ?

イマナリ
やぁ、イガラシ先生。

イマナリ
よく来てくれたね。

イマナリ
色々と話したいことはあるんだけどさ。

イマナリ
ちょっとモンスター退治を手伝ってよ。

イマナリの母親
た、助けて……。

背後を息子にとられ、怯える様子で助けを求めているのは、イマナリの母親。
物凄い剣幕で学校にクレームをつけるイメージしかないため、ひどく弱々しくみえた。
イマナリ
さて、揃ったね。

イマナリ
本当はイガラシ先生と1対1が良かったんだけど、この際仕方がないね。

イマナリ
これから最後の革命ゲームを行う。

イガラシ
イマナリ、今からでも遅くない。

イガラシ
そいつを捨てて、お母さんを解放しろ。

イガラシ
これまでやったことも含めて、俺がしっかりフォローする!

イガラシ
警察に話をしなければならないなら、それにも付き合う。

フワ
そ、そうだよ。

フワ
イマナリ君は……1人じゃないか。

イマナリ
じゃあなんで?

イマナリ
なんで俺はこいつに支配されてんだよ!

イマナリがカッターナイフを突きつけると、母の首筋から一筋の血が垂れる。
イマナリ
俺は1人になりたくてなったんじゃない!

イマナリ
1人にさせられたんだ!

イマナリ
こいつが……こいつが!

イマナリの目は血走り、今にもカッターナイフを引いてしまいそうだ。
イマナリの母親
……ど、どうして?

イマナリの母親
私は貴方のためを思って。

イマナリ
小さい頃、仲が良かった友達が何人もいたよな?

イマナリ
忘れたとは言わせない。

イマナリの母親
え、えぇ――覚えてるわ。

イマナリ
でも、少しずつ俺からみんな離れていった。

イマナリ
小さい俺からすれば意味が分からなかった。

イマナリ
なんで、大好きな友達が離れて行くんだろうって……あれ、後ろでお前が色々やってたらしいな。

イマナリの母親
それはあなたのためを思って――。

イマナリ
家が貧乏だと、俺の友達でいちゃだめなのか?

イマナリ
勉強ができないと、友達には相応しくない?

イマナリ
挙げ句のはてに、好きだった女の子さえ、お前が相手の家に怒鳴り込んで、俺から離れざるを得なくなった。

イマナリ
何がしたいんだよ!

イマナリ
あんたが、俺のため……ってやった結果、こんな息子になっちまったよ!

イシカワ
お、落ち着こう。

イシカワ
な、イマナリ。

イマナリ
そして、とうとう犯罪者だよ。

イマナリ
お前が大切に育て上げた息子は、ネットで人を煽動して、ある学校を占拠して犯罪者だよ!

イマナリ
ざまぁみろ!

イガラシ
イマナリ……まだ間に合う。

イガラシ
だから、それをおろしてくれ。

イマナリ
イガラシ先生のお願いだとしても、それは聞けないよ。

イマナリ
だって、このままじゃ、こいつに人生を壊されるから。

イマナリの母親
そ、そんなつもりはなかったのよ。

イマナリの母親
まさか、まさか……。

イマナリ
そんなつもりがあろうとなかろうと、これだけは言っておくよ。

イマナリ
俺はあんたの息子かもしれないけど、所有物じゃねぇんだよ!

イマナリはそう怒鳴ると、カッターナイフの刃を最大限まで出した。
イマナリ
先生、俺の握るカッターナイフの刃……全開で出すと全部で12段階になる。

イマナリ
今、このままこいつの首を引き裂いたら、とてもじゃないけど助からないだろうね。

イマナリ
そこで、これから俺がいくつかの問題を3人に出すよ。

イマナリ
正解できれば、正解した数だけ刃を引っ込める。

イマナリ
出ている刃は12段階だから、3人ともが4問正解できれば、こいつは助かるよ。

イマナリ
リミットは5問。

イマナリ
5問が終わった時点で、俺はこいつの首をカッターナイフで引き裂くよ。

フワ
イマナリ君……。

イシカワ
やるしか……ないのか?

そのイシカワの疑問にも似た独り言にイガラシは小さく頷いた。
イガラシ
イマナリ………。

イガラシ
俺が救ってやる!

イマナリ
いいねぇ、最後のゲームに相応しい!

イマナリ
やっと倒せるんだ!

イマナリ
この化け物をねぇ!
