この作品はいかがでしたか?
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─それからというもの、
伊織先輩(とかいう危ない人)は 完全に僕らに懐いてしまった。
まあ首を突っ込んだのは僕らなので、 仕方なくお世話係的な感じで先輩の面倒を見ている。
口数も増えたし、最低限のことはやってくれる。 他の人とのコミュニケーションは…まあ、頑張ってるみたい。
でも、先輩の本性はまだまだ暴ききれていない。
その、人殺し…の仕事も、 いつから始めたのかとか。
なぜ始めたのか、とか。
あの雲を見ていた時の瞳の中が、 悲しいくらいの闇を湛えたそれが、
…これまで見てきた景色は、 どれ程までに痛いものなのか。
まだまだ、深く知る必要がある。
夏休みの研究課題みたいに、 少しづつ少しづつ、頑張れたらいいな。
聖葉先輩
聖葉先輩
メイ
クロ
伊織
伊織
先輩はふらふらと移動して、 ソファに座る。
ぼふん、と埃が舞った。
伊織
伊織
その隣に座っていたヰロハも、 この出来事には目をかっぴらいている。
鳴
鳴
伊織
部室に顔を出したはいいが、やはり他人との会話は塩対応。
一瞬で表情が無になる。
響
アヲ
アヲ
先輩はその質問に長いまつ毛が縁取る目でぱちぱち瞬きをして、
伊織
…と呟いた。
伊織
伊織
聖葉先輩
伊織
メイ
伊織
伊織
クロ
…あ、いつの間にかあだ名で呼ばれてる。
いいな。
メイ
身体をしならせて寝転んだ先輩。
猫……っていうより、ちょっと卑猥…
と思ってしまったことは、一旦留めておいた。
伊織
クロ
クロ
クロ
伊織
クロ
クロ
…そうなの!?
伊織
伊織
…そうだったの!!?
伊織
伊織
伊織
少し寂しい、そんなような顔で、 先輩は空を見つめる。
どんよりした雲で覆われた空は、 昨日と全く表情を変えない。
メイ
メイ
伊織
伊織
伊織
「猫みたいだ」と言われたのが嬉しかったのだろう。
さっきとは打って変わって、 にこにこ笑みを浮かべている。
伊織
メイ
クロ
伊織
伊織
メイ
先輩はいたずらっぽく笑って、 人差し指を口の前に立てる。
伊織
クロ
メイ
伊織
伊織
先輩は真っ赤なリップを塗る。
大人っぽくて先輩に良く似合う色味が、 唇にそっと乗った。
メイ
メイ
伊織
伊織
伊織
クロ
伊織
伊織
メイ
メイ
メイ
クロ
メイ
メイ
クロ
こんなに強い雨の中、 先輩は一体どこに行くのだろう。
猫みたいなくせに、 警戒心はゼロだ。
続
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