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コメント
4件
悲しすぎる...😭 📢くんと☔️ちゃんの影は残っているのに、 🌸くんの影は消えちゃうの...??? 投稿ありがとうございます!!続き楽しみにしてます!!!
思い出したあとも影と主の共存は出来ないのかな、、?
主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
主
主
主
第101話『影の痛み、影の願い』
夜が深まる頃。
部屋の灯りは落ち、カーテンの隙間から街灯の光だけが差し込んでいた。
らんは眠っている。
浅い呼吸。
時折、眉をひそめる寝顔。
その少し離れた場所。
窓際の影が、ゆっくりと形を成した。
――らんの影。
床に落ちる月明かりの中で、影は己の右腕を見下ろしていた。
指先が、透けている。
輪郭は曖昧で、まるで霧のように揺らいでいた。
らんの影
小さく呟き、影は右手を左腕で押さえる。
その仕草は、痛みを誤魔化すようでもあり、消えゆくものを必死に繋ぎ止めるようでもあった。
――こさめの記憶。
それを思い出された瞬間から、この右手は、少しずつ壊れ始めた。
記憶が戻るたびに、身体のどこかが軋み、裂け、削られていく。
それが、自分の存在理由だから。
らんの影
影は視線を上げ、眠る主を見つめる。
らんが失ったもの。
忘れてしまったもの。
取り戻せないまま、心の奥に沈められたもの。
――それらすべてが、俺だ。
生まれた瞬間から、それは分かっていた。
どうせ、長くはない。
主が思い出せば、役目は終わる。
記憶が元に戻れば、影は消える。
だから――最初は、怖くなかった。
らんの影
誰に聞かせるでもなく、呟く。
存在した時間が短ければ、執着も、未練も、生まれないはずだと思っていた。
けれど。
ここ最近。
主が笑うたび。
悩むたび。
誰かの名前を呼ぼうとして、言葉に詰まるたび。
そのすべてを、すぐ傍で見続けるうちに――
らんの影
影は、苦しそうに息を吐く。
そんな感情を抱く資格はない。
分かっている。
自分は、あくまで“欠けた記憶の残骸”。
主が元に戻るための、仮初の存在。
それなのに。
――このまま、思い出さなければ。
――俺は、ここにいられる。
そんな考えが、胸の奥で芽生えてしまった。
らんの影
自嘲気味に笑う。
主が苦しんでいる理由を、誰よりも分かっているのに。
主が、必死に前に進もうとしているのを、すぐ傍で見ているのに。
それでも。
らんの影
言葉にした瞬間、右腕に、鋭い痛みが走った。
らんの影
歯を食いしばり、声を殺す。
消えかけた腕が、一瞬、さらに薄くなる。
――ああ。
考えただけで、削られるのか。
記憶に抗う感情そのものが、存在を否定する刃になる。
らんの影
影は、主の方へ一歩踏み出す。
眠るらんの傍に膝をつき、そっと、その顔を覗き込む。
無防備な寝顔。
眉間に残る、かすかな皺。
らんの影
アルバムを見ていた日のことを、影ははっきりと覚えている。
写真を抱きしめ、泣きながら“思い出したい”と願っていた姿。
その願い一つで、自分の身体は、確実に削られた。
それでも。
らんの影
影は、静かに言う。
らんの影
たとえ自分が消えても。
たとえ存在した痕跡が、何一つ残らなくても。
――それが、本来の役目だ。
分かっている。
分かっているのに。
影は、そっと拳を握る。
消えかけた指先が、きしりと音を立てる。
らんの影
かすれた声。
らんの影
主が、すべてを思い出す、その日まで。
その瞬間が来るまで。
せめて、傍で。
影として。
痛みを押さえ込み、消えゆく身体を繋ぎ止めながら。
らんの影
それ以上でも、以下でもない。
主が目覚めれば、また姿を隠す。
痛みも、迷いも、すべて飲み込んで。
影は、静かに立ち上がる。
消えかけた右手を、胸元に押さえながら。
そして、最後にもう一度だけ、眠るらんを見つめた。
らんの影
それは、祈りであり、呪いであり、自分自身を否定する願いだった。
月明かりの中で、影は溶けるように消えていく。
残されたのは、静かな夜と――
らんの胸の奥に、理由の分からない痛みだけだった。
第101話・了
主
主
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡290
主
主