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スケッチブック

3 - スケッチブック (3)

♥

601

2019年06月27日

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" 窓から眺める風景 "

び…びっくりしたぁ.

スケッチに夢中になってたから

誰かが近づいていることなんて

全然気づいてなかった.

それにしても……

さっきの対応、あきらかに

挙動不審だったよねぇ……

絶対ヘンなヤツって

思われてるよ.

高校生にもなって

情けないって思うけど……

男の子ってなんか苦手.

いつもこういう場面で

テンパって空回りしちゃうんだ.

ああ……はずかしいなぁ.

ため息をついて

スケッチブックで顔を隠した.

そっと目だけを出して

彼の後姿を見送りながら

背……高いなぁ…って思った.

それが彼の第一印象.

桜が花をすっかり落として

代わりに眩しいぐらいの

黄緑の葉をいっぱいに舞う頃…

だんだんこの学校での

生活にも慣れ始めていた.

窓から差し込むやわらかな

日差しは暖かくて

なぜかほんのちょっと

ウキウキした気分を

誘ってくれる.

その日は同じクラスの

仲良し4人組で窓際の席に

集まってお弁当を食べていた.

ふいに窓から中庭を見下ろす.

北校舎の2階にあるこの

教室からは中庭の様子が

よく見える.

さらに私が今座っている席は

例のアンティークベンチを

眺められる

ベストポジションだった.

ベンチの周りには

数人の男子生徒がいて

わたしは何気なく

彼らの様子を眺めていた.

あ……!

思わず声が出そうになった.

男の子達の中央.

ベンチに腰掛けているのは

__彼だ.

この前、渡り廊下でぶつかって

スケッチブックを拾ってくれた

あの人だった.

目を凝らしてじっと見る.

他人の顔を覚えるのは

あまり得意じゃないのだけど

あの髪型には見覚えがあった.

真っ黒でちょっと長めの

サラサラした前髪.

そして、あの日と同じ

ヘッドフォンを今日は

首にかけていた.

うん……間違いない.

きっとそうだ、あの人だ.

男の子達の集団は

とても大人っぽく見えた.

あの人もなんだかすごく

落ち着いていたような

気がする.

彼がスケッチブックを

手渡してくれた時ふんわりと

いい香りがした.

高校生にもなると

男の子もコロンか何か

つけるもんなんだなぁ.

あんな雰囲気の人

同じ中学にはいなかったもん.

きっとあれは、先輩だな.

2年生か……3年生

かもしれない.

大原 雅

何、見てんの?

ふいにかけられた声に焦る.

振り返ると雅ちゃんが

不思議そうな顔をして

こちらを見ていた.

真宮 桜音

え?何でもないよ!

真宮 桜音

…天気いいなぁって思って

咄嗟に誤魔化しちゃった.

須川 永美子

おとちゃんがボケッと

須川 永美子

すんのは
いつものことやん.

須川 永美子

どうせ、得意の妄想でも

須川 永美子

してたんやろ?

そう言ってからかうのは永美子.

永美子(エミコ)はバレー部所属で

ショートカットの似合う

大きな瞳が印象の美人.

真宮 桜音

うっ……

返す言葉につまっている私に

小林 茉莉

よしよし

と頭を撫でて慰めてくれたのは

茉莉(マリ)ちゃん.

茉莉ちゃんは私と同じ美術部.

背が高くて落ち着いていて

私にとってはお姉さん

みたいな存在.

大原 雅

茉莉ちゃんは

大原 雅

おとちゃんを
甘やかしすぎ!

そんな雅ちゃんのセリフに

みんなで笑った.

いつもだいたいこんな感じで

4人で過ごしている.

みんなの笑顔を見ながら

ほんのちょっとホッとしていた.

良かった. 誰のことを

見ていたか、バレなくて.

なぜだかあの人を

見ていたことを知られるのが

嫌だった.

それはまだ、自分でも

説明できない不思議な感覚.

多分お昼ご飯を済ませた後に

ここに来ているのかな.

それからというもの

彼らはほとんど毎日のように

昼休みに現れた.

時々この窓からあの人を

こっそり眺めてた.

あの人を見るのが、なんで

こんなにワクワクしてしまうのか

自分でもよくわからなかった.

ただ

『あ……今日は髪型が違う.

寝癖かな?』とか

『なんか体調悪そう……

風邪かなぁ』とか

その日の様子を見るのが

楽しみになっていた.

話している内容までは

わからないけど、みんなで

大笑いしている姿が

とても楽しそうだった.

__いいなぁ.

なんか、"青春"って感じ.

…って、私も青春なんだってば.

なんて自分につっこみたく

なるよ. はぁ……。

何をやってるんだろう.

中学の頃、高校生になれば

楽しいことがたくさん

あるような気がして勝手に

期待を膨らませていた.

だけど現実は何も

変わらない平凡な毎日.

仲のいい友達に囲まれて

何の不満もないはず.

なのに、なぜか時々自分には

何かが足りないような

気がして寂しかった.

" 中庭から見上げる風景 "

その日俺は、中学の頃からの

友達と一緒に中庭にいた.

皆クラスはバラバラなのだが

昼休みにはほとんど

毎日のように集まっていた.

メンバーは

山本 智(ヤマモト サトシ).

(例の俺のメガネが割れた

原因を作った男)

同じサッカー部仲間でもある

日下部 健二(クサカベ ケンジ).

それから…山路 真一(ヤマジ シンイチ)

はバンドを組んで

ベースを弾いている.

俺がなんの気負いもなく

付き合える仲間.

この学校に来た理由は

こいつらが居るから……

ってのもあるかな.

俺たちは食堂で飯を食った後

天気のいい日は中庭で

過ごすのが日課になっていた.

あんなにバカにしてた

場所だったけど、俺は

いつの間にかここが結構

気に入ってたんだ.

例のベンチから座ると

ちょうどユウの教室の窓が

見えたから……。

♡きたら続き出します!! 読んでくれて📖 ありがとです!!☺︎ ぜひほかの作品も 見てみてください!!☃

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コメント

1

ユーザー

面白かったです!! こんな素敵な作品作れるなんて…… ( ๑´࿀`๑)=3

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