自宅・庭
読者さん
(……恋さんから?)
スマホを手に取り通話ボタンを押した
読者さん
もしもし?
読者さん
恋さん?
恋
あっ、もしもーし!!
恋
どう?
恋
そろそろ畑がいい頃合いに仕上がってきたと思ったから電話をかけてみたわ!!
読者さん
ど……どうしてそれを?
まるで全てを読まれているかのよう
恋
それはね
恋
……
恋
アナタがここに来てこの家を選び畑を作ることは……全て
恋
【織り込み済み】だからよ
読者さん
織り込み済み?
読者さん
(どういうこと……なんだ?)
その予め分かってた……みたいな言い分は
恋
先週あたりに私は夢を見たわ……
読者さん
夢?
恋
誰かがここに住み着くっていうね
読者さん
いわゆる予知夢……的な?
恋
そうかもしれないわね
恋
だから新しい必需品や食料などを置いておいたのよ
恋
けどその予知夢の影響は膨大よ
読者さん
何あったのか?
恋
さっき役所で調べたんだけどね
恋
アンタの住所登録がいつの間にか済んでた
読者さん
なんだって!?
恋
それどころか本来この世界に存在するはずのないアンタの出生届けも存在することがわかったわ
恋
つまりわかりやすく言うと
読者さん
まさか!?
恋
アンタは【元々この世界で生まれ育った】という現実改変がなされていた……ということよ
恋
でも忘れないで
恋
帰るべき場所があることを……
読者さん
わかってるさ
首に掛けた鍵を見つめる
今はあまり何も思い出せなくとも……だ
恋
でもちょーっぴり好都合よ?
読者さん
なんで!?
恋
誰からも違和感を抱かれることなく生活できる点ではね
読者さん
そりゃまぁ
読者さん
急に湧いて出てきたにんげんだものなぁ
読者さん
神隠しみたいなのでここに連れてこられましたって説明してさぁ
読者さん
信じてもらえるわけないしな
恋
とりあえず結愛や私達だけが現実改変の影響を受けてない
恋
唯一アンタを島外の人間と認知できる
しかしだ……
読者さん
(限りなく信憑性は低いが結愛さん達は人ならざる力を持つ女神)
読者さん
(あたかも知らんぷりを装ってここに連れてくることだって可能なはずだ……)
読者さん
(もしそうならその理由は?)
恋
どうしたの?
恋
深く考えちゃって
読者さん
ここに自分を送ったのは誰なのかなって
恋
さぁねぇ?
恋
少からずとも私達ではないわ
読者さん
だとしたら誰がこんなことを?
恋
こっちでも調べられることは調べておくわ
読者さん
よろしく頼みます