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最近、同じ夢を見る

内容は毎回同じで、 何も見えない暗闇の中を ひとつの人影と共に走っている 一体、どこに向かっているのか、 何故走っているのか、 この人影は誰なのか……、 何一つ分からない、意味不明な夢─────

 

「い────…ッ早───げ───ッッ!!!!」

 

「で─────ッ!! ブ──ん────ッ!!」

 

─────また……何かを言っている…

でもその“声”は…… 何かに阻まれているのか、上手く聞き取れない

 

「何──て──!! こ────くッ!!!!」

 

ガシッと黒い影が私を腕を掴んで、 どこかへ走り出した

突然掴んでくる手に最初こそ驚いたものの、 不思議と不快感は無くて 素直に腕を掴まれていた

─────何故なら…… その人影から…敵意が全く無く

むしろ、私を助けようと 必死なのが伝わっていたからかも知れない

 

─────だが、この後に展開は無い いつもここで目が覚めるのだ 今回もここで、目が覚めるはずだった

暫く走り続けていると 場面が急に切り替わった ─────今まで……こんな事…… 無かった筈……、

 

周りを見れば、見慣れない構造物……

─────どこかの施設…でしょうか…、?

 

「こ──…ッ!! も──ら!!!!」

 

私を掴む手に、グッと力が入った

微かだが……震えている─────、

私は一体、何から逃げているんでしょう…、?

──ぽすっ──

 

突然、私の頭に手が添えられた

 

ポンポン、と数回優しく撫でると、 スッと手が頭から離れた その人影は、私の正面にかがむような姿勢になり 両手でそっと私の顔に触れて 親指で優しくなぞるように頬を撫でた

ズキッと、指が触れた場所に痛みが走る ────暗くて分からなかったが 私はどうやら、怪我をしてるようだ 夢だから……だろうか……? かなり深手に見えるのに……それ程痛みが無い ────頬に触れられるまで気付かなかった…

 

「ご──、? も───頑──…、?」

 

何を言ってるのか分からない筈なのに 後悔や不安を滲ませた様な声…… 表情も、影でよく見えない筈なのに 今にも泣きそうな……そんな顔に見えた

 

「────、? 大─────…ッ、」

 

影がスッと立ち上がり、背を向けたと思うと 私を背中におぶって再度、走り出した

また、場面が切り替わった 今度は、だいぶ開けた場所のようだ

 

─────何かに気付いたのだろうか、 私を背負った人影がピタリと動きを止めた

「ク───ッッ!!!!」

 

ギリリ…と、歯を食いしばる音がした

一体今までどこにいたのか…… 辺りを見れば、300人は超えているであろう 黒服の武装集団に囲まれていた

 

「ご───、少───待───、?」

 

そう言って、私を壁に寄りかからせると、 人影はその集団の前に立ちはだかった

「──手──…絶───さ──ッッ!!!!!!」

 

───ヒュッ───

 

風を切る音と共に、 その人影は集団に向かって走り出した

正に、圧倒的だった

一振で4、5人倒す程の威力の剣は 力強く、とても綺麗だった 一瞬で距離を詰めては剣を振り、 遠距離からの攻撃を正確に弾き、いなして 死角からの攻撃は見事に躱していた

気が付けば、300はいたであろう敵は あっという間に倒し終えてしまった

─────その時……、

人影の足元からゆっくりと 色が着いていってるのが見えた そして、全身に色が付いたその人影は ゆっくりと私に視線を向けた

青いジャケットに アッシュグレーの髪 そして、スカイブルーの瞳─────

 

見間違うことは無い 紛れも無く、すまない先生だった

カランッと、剣を投げ捨て すまない先生は私の方へと駆け寄っきた

─────貴方は… 夢の中でも、私を救ってくれるのですね…、

 

Mr.ブラック

…す─────

 

声を出そうとしたその時───── 先生の背後でボロボロの敵が1人、 こちらに銃口を向けていた

ズガガガガガガッ

 

引き金が引かれ、大量の弾丸が放たれた 壁や床を抉り、破片があちこちに飛び散る 暫くすると、弾が切れたのか 銃撃は止んだ

辺りには大量の銃痕───── だが、私にはひとつも当たらなかった すまない先生が 身代わりに庇ってくれていたから─────、

辺りには、すまない先生の血が飛び散っていた すまない先生はフラフラと私に近付く 私に弾丸が当たってないのを見て 優しく、そして弱々しく微笑んだ後 ドサッ、と床に倒れた

ドクドクと、傷口から 絶え間なく血が流れ 青いジャケットが、一瞬で赤に染まり、 床には大きな血溜まりが出来た

 

今のすまない先生の姿が 母が亡くなった時の光景と重なり、鼓動が早くなる 冷や汗が止まらない、 全身の震えが止まらない……ッ、 息が……上手く吸えない……─────、

 

先生の呼吸音が……段々と小さくなっていく すまない先生に駆け寄ろうとするも、 何かでしっかり固定されている様に 指の1本も動かせなかった

嫌だ……、嫌だッ

すまない先生が死にゆく姿を ただ見てる事しか出来ないなんて─────ッッ 唇が切れるほど歯を食いしばって力を込めるが 一向に身体は動かなかった

動けッ!! 嫌だッッ!!

 

─────静寂─────

─────すまない先生から、呼吸音が消えた

 

それと同時に、何故だか分からないが さっきまでが嘘の様に、身体が自由に動いた 私は恐る恐る、すまない先生に近付き、 そっと手に触れる ──────────冷たい

─────カシャンッ───── 音の方へ視線を向けると さっきの敵がまだ立っていた 覚束無い足取りだが、銃をリロードしながら こちらに向かって近付いて来ている

そして、目の前まで来たその敵は 私の頭に銃口を突き付けた

私は、そっと目を閉じた どうか、ただの悪夢であってくれと 目が覚めたら、全部忘れていてくれと そう……願って─────、

──ドンッ──

一等星、輝きが消える前に

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