中原中也
これで自殺願望との賭けは俺の勝ちだ
中原中也
犯人は手前だ、蘭堂
俺の目からは逃れられねえよ
中原中也
あんたが嘘をついてた事くらい、
とっくにお見通しだ
太宰治
はいストーップ!
中原中也
!!、手前何でこんな所にいんだよ!!
太宰治
云っておくけど、犯人告発は僕の方が先だからねえ
一階に吹っ飛んだ中也と蘭堂さんを追って、
私と太宰も階段を下りる。
私達が此処に居る事を知らなかった中也は
喚き驚いていた。
太宰治
今まさに犯行の説明をしている最中だったんだから
中原中也
最中って事は未だ終わってねえんだろ?
中原中也
だったら俺の勝ちだ
杏堂〇〇
屁理屈
中原中也
煩せぇ!
太宰治
君の勝ちっていうのは有り得ないけど
推理は聞いてあげるよ
太宰治
何で蘭堂さんが犯人だと思った?
中原中也
推理も何も無ェ。
奴の話を聞いてりゃ誰でも判る
……私は判らなかった…と云うのは内緒にしておこう。
中原中也
これ迄の目撃証言は
先代の爺さんを見たって話ばかりだ
中原中也
だが其奴は荒覇吐本体を見たと云った
蘭堂
神などと云うものは存在しないから
私を犯人と考えた
蘭堂
そういう事か
中原中也
違ぇよ、逆だ
中原中也
神は存在するから、だよ
中原中也
俺は其れを知ってる
蘭堂
荒覇吐が存在する事を君は知っているのか?
中原中也
あぁ。あんたも見たんだろ?
八年前の彼奴を
中原中也
でなきゃそこ迄正確な姿を証言できるわけねえからな
蘭堂
……中也君、ならば君は知っているのか?
蘭堂
荒覇吐が今何処に居るのか。
教えてくれ
太宰治
知っているなら教えてあげなよ
太宰治
何方にしろ蘭堂さんはポートマフィアを
危機に晒した咎で処刑されるんだ
中原中也
ったく、何奴も此奴も!
何であんな奴に会いたがる!
中原中也
彼奴には死人を蘇らせる力なんか無え!
中原中也
其れどころか人格や意思そのものが存在しねえんだ
中原中也
台風や地震と同じだ
蘭堂
人格など問題ない。
大いなる破壊
蘭堂
地を焼き、空を染め、大気を震わす、
理解の及ばぬ彼岸の者
蘭堂
その力だけで私には十分なのだ
蘭堂
教えてくれ中也君
蘭堂
人智を超えた存在…私を焼いた者は何処にいる?
中原中也
……
真剣な眼差しで中也を射抜く蘭堂さん。
中也はゆっくりと歩みを進め、蘭堂さんの正面に立った。
中原中也
そんなに知りたきゃ教えてやる
中原中也
荒覇吐はな……
中原中也
……俺だよ
太宰治
!、何だって…?
杏堂〇〇
えぇ…もう頭追いつかない
蘭堂
ふっ……
蘭堂
薄々そうではないかと思っていた
私の小さな小さな脳みそじゃ
到底処理しきれない情報量だ。
中原中也
俺の記憶は人生の途中からしか存在しねぇ
中原中也
衝撃で記憶を失ったあんたとは違う
中原中也
八年前のあの日以降にしか、
人生其のものが無ェんだ
中原中也
其れ以前は…闇だ
中原中也
何処だか判らねえ闇の中にただ浮かんでた
中原中也
其の空間に誰かの手が封印を破って侵入し、
俺を外の世界に引っ張り出した
中原中也
あの手はあんただな?
中原中也
あんたは何処で俺を見付けた?
其れを知るために俺は此の事件を追った
中原中也
さぁ、全部吐いて貰おうか
蘭堂
無論教えるとも
君には其れを知る資格がある
と、蘭堂さんの小さな亜空間攻撃で
吹き飛ばされる中也。
何故だ?今彼は攻撃される直前に
重力を纏っていた筈なのに。
太宰治
何故重力で防御出来ない…?