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蘭堂さんの手から零れ落ちる亜空間。 其の四角が地面に溶けて、たちまち広がった。

造船所が丸ごと亜空間で覆われる。 その中で更に私と太宰君は隔離された。

蘭堂

私の亜空間は弾丸と違い、物理法則に影響を受けない

蘭堂

更に其の空間は通常空間から隔絶された
異世界でもある

蘭堂

そして私が招かぬ限り、
入る事は愚か出る事も出来ぬ

太宰治

僕を避けて異空間を展開している

太宰治

僕の異能を知っているのか?

中原中也

手前っ!

蘭堂

今ので死なぬとは流石荒覇吐の化身

蘭堂

中也君、此の空間内で
君は私に触れる事は出来ないが、

蘭堂

私は自由に君を攻撃出来る

中也の蹴りを防いだ亜空間が四つに分かれ、 その内の一つが中也を地面まで吹き飛ばす。

更に追い討ちをかけるように残り三つが 土煙の舞う中也が居るであろう場所に飛んで行った。

が、中也は立ち上がって走り、 次々と放たれる亜空間攻撃を避ける。

中原中也

其の莫迦に直接触れた異能は無効化する

中原中也

隔離するように亜空間を展開すれば
此方には良い延滞になる

蘭堂

確かに彼の存在は異端

蘭堂

欧州にすら存在せぬ、究極の反異能力者

太宰治

欧州?

杏堂〇〇

!、太宰避けろ!

背後に気配を感じて振り向きながら太宰に指示を出す。

同じく咄嗟に振り向いた太宰は 胸を斜めに切り裂かれた。

太宰治

ぐっ…!

先代

息災か?小僧

太宰治

死んでた割には顔色が良いねえ…首領

太宰治

…いや、先代首領

杏堂〇〇

ごめん、私の反応が遅かった

太宰治

いや、〇〇は悪くない

太宰治

勝手に生き返った先代が悪いんだよ

杏堂〇〇

ハハッ、それもそうか

座り込む太宰の隣にしゃがみ、 心や体を癒し、痛みを和らげる香りを放つ。

中原中也

異能であの莫迦を傷付けられる筈がねえ…

太宰治

参ったねえ。先代の持つ大鎌は
異能じゃなくて実在する物質だ

中原中也

つまり手前でも斬られりゃ死ぬって事か

太宰治

…先代は死んだ。
何をしたんだい?蘭堂さん

蘭堂

私の異能は亜空間の中にある死体を
私が使役する異能生命体に出来る

蘭堂

尤も、一度に使役できるのは一人のみだがね

太宰治

凄いね、これ程の異能力を今迄組織に隠していたのか

杏堂〇〇

あんた、一体何者なのよ

蘭堂

かつての私は欧州の異能諜報員だった

蘭堂

そして日本政府が発見したという
未知の高エネルギー生命体を奪取するためにこの国に来た

太宰治

其れが荒覇吐って事か…

蘭堂

私が今回の謀略を決意したのは中也君

蘭堂

君をただ探し出して殺し、
先代首領に代わる次の異能生命体として取り込むためだ

蘭堂

太宰君、〇〇さん、
君達の掴んだ情報を首領が知れば

蘭堂

私に刺客を差し向けるだろう

蘭堂

済まないが、君達も中也君と共に死んでくれ

杏堂〇〇

何であんたが勝つ前提の話をしてんのよ

杏堂〇〇

此方には重力使い、反異能力者がいる

杏堂〇〇

私、未だ死ぬ気は無いからさ

太宰治

……面白いじゃないか

太宰治

ねえ、此奴ら倒そう。一緒に三人で

双 黒 に 狙 わ れ て ま す

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