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私の大好きなお兄ちゃんたち

第9話 - 第9話

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2025年03月30日

#一次創作

#恋愛

#創作

#青春恋愛

#学園

さくら

栗原紬希

（結局なんだったんだろうな、今朝の夢……）

紬希は1階のリビングに降りた。

栗原紬希

（まあいいや、今日は善くんとデートするって約束だしっ！）

栗原紬希

（善くんとクレープ食べに行った日の帰り、デートに誘ってくれたんだよねっ！）

栗原理仁

……あ、紬希

栗原理仁

おはよう

理仁はソファに腰を下ろしてニュースを見ていた。

栗原紬希

！

栗原紬希

お兄ちゃん、おはよっ

栗原紬希

（お兄ちゃんは私が善くんと付き合ってること何も聞いてこないなぁ）

栗原紬希

（聞かれても困るんだけどさ）

栗原理仁

休日なのに午前中のうちに起きてくるなんて珍しいな

栗原紬希

え、えへへっ

栗原紬希

そうかなぁ？

栗原理仁

うん

栗原理仁

もしかして、善と出かける？

ドキンッと強く心臓が跳ねた。

栗原紬希

えっ

栗原理仁

……デート？

栗原紬希

ま、まあ……うん

栗原紬希

（隠す必要はないよね……）

栗原理仁

そう

理仁はプイッと目を離し、テレビに目線を戻した。

栗原紬希

……そ、そういえばママとパパは？

栗原理仁

2人でデートだって

栗原理仁

昨日の夜言ってただろ

栗原紬希

そうだっけ？

栗原紬希

にしてもママとパパ大人になってもラブラブですごいねっ

栗原理仁

……だな

栗原理仁

鬱陶しいけど

栗原紬希

ふふっ

栗原紬希

（本当はパパママが仲良くしてて嬉しいくせに！）

栗原紬希

（怒るから言わないでおこーっと！）

栗原紬希

準備してくるねー！

栗原理仁

……ああ

紬希は出かける用意が終わり、リビングへと足を運んだ。

栗原紬希

どう？可愛い？

栗原理仁

……

紬希が理仁の前でクルクルと回ってコーデを見せた。

栗原理仁

スカート

栗原理仁

短い

栗原紬希

ふふっ

栗原紬希

何おじさんみたいなこと言ってんのー！

栗原理仁

……ガチなんだけど。

栗原紬希

可愛いか可愛くないかだよっ

栗原理仁

………

栗原紬希

……

理仁は何も言わず俯いていた。

栗原紬希

（最近のお兄ちゃん、やっぱり様子が変だなあ）

その時、ピンポーンと家のインターホンが鳴った。

栗原紬希

あ、善くんきた！

栗原理仁

家まで迎えに来たのか？

栗原紬希

うん！出てくるね！

紬希は玄関へ向かおうと踵を返す。

栗原理仁

……

すると、理仁は紬希に手を伸ばし、紬希の腕をグイッと掴んだ。

栗原紬希

……え？

栗原理仁

……

理仁は腕を掴んだまま俯いていた。

栗原紬希

お兄ちゃん…？

栗原紬希

離してよ。善くんが待ってるから＿＿

栗原理仁

行くな

栗原紬希

え？

栗原理仁

アイツのとこ、行くなよ

栗原紬希

何言ってるの……？

栗原紬希

お兄ちゃんやっぱり変だよ……

栗原理仁

紬希、可愛いよ。服似合ってる

栗原紬希

……えっ

栗原理仁

だから、行って欲しくないんだ

栗原紬希

さっきから何言って＿＿

プルルルルルル

栗原紬希

！

栗原理仁

！

栗原紬希

お、お兄ちゃん。電話……来てるから……

栗原理仁

……うん

理仁が腕を離し、紬希は鳴る携帯を手に取った。

栗原紬希

もしもし

伊東善

『あ、起きてたんだ！』

栗原紬希

善くんー！

栗原理仁

……

伊東善

『インターホン鳴らしても反応無いから爆睡してるかと思ってさー』

栗原理仁

紬希

栗原紬希

……？

栗原理仁

スピーカーにして

栗原紬希

え、なんで

栗原理仁

いいから

伊東善

『んー？どうしたー？』

紬希は首を傾げながらスピーカーボタンを押した。

栗原理仁

……善

伊東善

『え！！理仁！？』

伊東善

『うぉー！やっほー！』

明らかに善の声のトーンが高くなった。

栗原紬希

（善くん、お兄ちゃんのこと大好きなんだ……）

モヤッ……

栗原紬希

（……だからこの『モヤッ』ってなに！？）

栗原理仁

善。今日紬希とデートらしいな

伊東善

『え、あ、うん。そーだよ？』

栗原理仁

……

栗原紬希

……？

栗原理仁

俺も行くから

栗原紬希

え

伊東善

『え？』

栗原理仁

家の外で待ってろ。すぐ行く

栗原紬希

ちょ、お兄ちゃんどういうこと……！？

理仁は電話を切った。

栗原理仁

……そのままだけど

栗原紬希

そのままって……

栗原紬希

せっかくのデートの日なのに…

栗原紬希

……っ

栗原理仁

……

お兄ちゃんはすごく優しい。

だけど……

善くんのことになると、私に意地悪ばかりしてくるのは気のせい……？

2人は家の外に出た。

栗原紬希

おまたせ……

伊東善

全然大丈夫……って

伊東善

ホントに理仁も来たんだ

栗原理仁

……まあ

伊東善

映画ぶりだね、この3人で集まるの！

栗原紬希

…だね

伊東善

じゃあ行こっか！

栗原紬希

よぉーし！行っくぞーー！！

紬希はボールを投げた。

ピンは3つ倒れる。

伊東善

いいねいいね！

伊東善

スペア狙ってこ！

栗原紬希

うんっ、お兄ちゃん、善くん見ててねっ

伊東善

見てるよ！！

善と理仁はレーンの後ろにあるソファに座って紬希の様子を眺めていた。

伊東善

紬希ちゃんの機嫌直ってよかったね、理仁

栗原理仁

……ああ

理仁はコーラを飲みながらムッとして答える。

伊東善

にしても急にどうしたの？

伊東善

紬希ちゃんの嫌がることは絶対したくない主義の理仁がさあ

伊東善

俺らのデートを邪魔しに来るなんて

栗原理仁

……

栗原理仁

善は良い奴だ

伊東善

えっ？

急な言葉に善はキョトンとする。

栗原理仁

一応…友達だし

栗原理仁

善は悪いやつじゃないって知ってる

伊東善

う、うん……

栗原理仁

でもごめん

栗原理仁

良い奴だからこそ紬希は渡したくない

栗原理仁

本当に善の物になったら一生、紬希は俺の元に帰ってこない気がするんだ＿＿

栗原理仁

俺、お兄ちゃん失格だ。

伊東善

理仁……

善の心の中にはフツフツと罪悪感が浮き出てきていた。

伊東善

俺、

伊東善

そんな良い奴じゃねーよ……

伊東善

俺のホントの気持ち、何も知らないだろ？

栗原理仁

…は？

栗原理仁

お前それどういう意味だよ

伊東善

……

善は逃げるように理仁から視線を外した。

栗原理仁

紬希と中途半端な気持ちで付き合ってんなら許さない

栗原理仁

お前が真剣だっていうから許してあげたんだ

伊東善

……っ

栗原理仁

そういえば確かに善の気持ち、ちゃんと聞いたことないな

栗原理仁

お前、紬希のことどう思ってんだ

伊東善

……お、俺は＿＿

栗原紬希

やったぁあーー！！

栗原紬希

スペアだー！！

伊東善

！

栗原理仁

！

栗原紬希

ねえねえ、お兄ちゃんたち見てたー？

栗原理仁

え、ああ……

伊東善

見てたよ！

伊東善

すごかったね！

栗原紬希

えへへ！でしょー？

伊東善

（危なかった…）

栗原紬希

次お兄ちゃんの番！！

栗原理仁

……うん

理仁は頷いてボールを持ってレーンへと向かっていった。

栗原紬希

今日はボーリングに連れてきてありがとね、善くん！

紬希はニコッと笑い、ソファに腰を下ろした。

伊東善

……うん

栗原紬希

…ん？何かあったー？

伊東善

え、なんでもないよ？

栗原紬希

うん！ならいいっ！

栗原紬希

……

栗原紬希

2人きりのデートはまた今度しようね？

紬希は真っ赤な顔で善のことを見つめた。

ズキッと善の心が痛む。

伊東善

……ごめん

栗原紬希

えっ？

栗原紬希

なにが？

伊東善

……あはは、何がだろ

栗原紬希

ええー！なにがー！

伊東善

ううん！忘れて！

無意識に「ごめん」と言ってしまった

心の中の罪悪感が

溢れて爆発しそうだ

伊東善

……っ

何人も何人も、他の女の子に気持ちを騙して付き合ってきたのに

なんで紬希ちゃんの時はこんなに

胸が張り裂けそうなんだ＿＿

私の大好きなお兄ちゃんたち

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この作品はいかがでしたか？

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3件

今日も投稿お疲れ様です。あの夢は、ほんとっぽいな。続き待ってます♪

善くんも、色んな過去を経験してきてるんだなぁ.... このお話を読むだけで、こんなに感情移入出来るのが不思議‼️ 吸い込まれていくように...　流石です、さくらさん！

さくら

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