TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

石原 乃亜

……ありがと

前田 智矢

うん……

何、この空気。

黙ってコーヒーを飲む音だけが

規則的に響く。

ていうかいつ帰ればいいの?

服が乾くまで?

……少なくとも今日1日は

ここにいるってことか。

下着無しで……

ボッと赤くなる頬。

もうっ…どうしたらいいのよー!

前田 智矢

乃亜…ヤバい。

前田 智矢

俺もう無理っ

石原 乃亜

…え、

バサッと音をたてて

あたしを押し倒した智矢を

下から見つめる。

前田 智矢

何でそんなかわいいワケ?

石原 乃亜

あたしに聞かれても…っ。

石原 乃亜

ていうかもっと頑張ってよ…

石原 乃亜

智矢のこと嫌いになっちゃう…

前田 智矢

無理…一目惚れだもん

理由になってない……

でも一目惚れ?智矢が?

前田 智矢

お願い……

うるっとした瞳で

あたしを見る智矢。

ズルいから……

石原 乃亜

……っ

あと少しで

流されそうになった時。

あたしの頬の横に転がる

真っ赤なネイルが目に入った。

そうだよ。智矢は他にも

こんな風にする女がいる。

騙されちゃいけない……

石原 乃亜

彼女いるんでしょ。

石原 乃亜

それにあたしは

石原 乃亜

男不信だって言った

前田 智矢

彼女とかいねーし

石原 乃亜

じゃあ何?コレ

手を伸ばして赤いものを

智矢に見せる。

前田 智矢

それは……っ

石原 乃亜

……ね?これだから嫌なの。

石原 乃亜

すぐ理性飛ばしちゃうんだから

ツンッとそっぽを向いて

智矢が降りるのを待った。

何でこんなのに

一目惚れしちゃったんだろ。

…あたしもバカ。

かなりのバカ。

でも、あたしの上から

避けようとしない智矢が

愛しい。

……離れないで。

他の女なんて見ないで。

何でこんな短時間で

好きになっちゃってるんだろ…

前田 智矢

……わかった

そう言うと

あたしの上が軽くなった。

そして携帯をいじり始めた智矢。

石原 乃亜

……何してんの?

前田 智矢

乃亜が好きって

前田 智矢

証明しようかと思って

口の端をにっと上げて

携帯を耳に当てて

そのままあたしに近付く。

石原 乃亜

ちょっ…何?

口に人差し指を当てて

あたしに静かにするように促す。

ピタッとあたしの

左耳に携帯を当てた。

簡単に言えば、あたしの左耳と

智矢の右耳の間に

携帯があるって状況。

なかなか近いんだけど……っ。

『…もしもし?智矢?』

前田 智矢

うん。ちょっと話あって

女の人の声が携帯から聞こえる。

それだけで

嫌になるあたしは重症。

『智矢からって珍しいわね』

前田 智矢

うん。あのさ

前田 智矢

はっきり言うけど

そこであたしを見つめる智矢。

"好きなやつが出来たから"

とか言うの?

"だから別れて"みたいな?

……それはそれで嬉しいけど。

でも信じられるかな…

そんな言葉を

想像していたあたしは

次の智矢の言葉に耳を疑った。

前田 智矢

いい女拾ったからさ。

前田 智矢

姉ちゃん今日帰って来ないでね

『智矢が女連れ込むなんて

珍しー。あ、そのへんに

散らばってるネイルとか

片付けとかないと疑われるよ』

前田 智矢

あいよ

『じゃ。仕事中だから切るわよ』

ピッと呆気なく切れた電話。

あたしは呆然として

智矢を見つめる。

前田 智矢

そのへんのネイルは姉ちゃんの。

前田 智矢

勝手に触ったら怒られんの

石原 乃亜

…よくわかんないんだけど…

石原 乃亜

何?同居してるの?

前田 智矢

うん。何かと便利だから

……じゃあ、あのメイクブラシも

かわいいマグカップも

全部お姉ちゃんの…?

石原 乃亜

めちゃくちゃ気にしてたのに……なんか脱力…

でも安心して

智矢に笑いかけると

ガバッと抱き締められた。

前田 智矢

一目惚れなんて初めてなんだけど?

君との出会いはここから

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

327

コメント

1

ユーザー

最高です(*≧∀≦*)

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚