You look like a Feast

いろんな声や音が聞こえる煩い登校時

そんな中で、聞き覚えの有る変声期かかりかけの声

と、少し大人びた声

嫌な顔をすると「ごめん、ごめん」 と笑いながら謝ってくる

耀太は何の話をしてるのか分かっていない様だ

凜音が鞄から取り出したのは、可愛らしく包装されたチョコレートだった

そう、今日は「バレンタイン」 という日だ

凜音の手には、幾つかのチョコが

俺は最近可笑しい

あいつのことを目で追ってしまったり

いつの間にか、あいつのことばかり考えていたり

あいつが、他の奴等と話していると邪魔をしたくなってしまう

だけど、それがどんな「モノ」なのか

分からない

23：57

朝、俺にあげるつもりであっただろうチョコは

俺の為に作ったチョコを

……あぁ、まただ

いつになったら消えるのだろう

得体の知れない、黒く、ドロドロとした感情は

昼休み

そして、また流れてくる

ドロドロとした、黒く、心地の悪い感情が

彼女の手にはラッピングされたチョコが

顔が真っ赤だ

彼女から貰ったチョコを見ながらため息をはく

時計を見ると、下校時間を大幅に過ぎている

けれど、もっと居たいと思ってしまう

時計の針の音しか聞こえない教室に

もう癖になってしまっているのだろう

「あいつも残っていないだろうか」

そんな期待の様な考えは

本当は分かっていたのかもしれない

あいつへの想いに

けれど、「それは無い」と

無視して

否定した

聞いたことのある声

耀太はこんな流暢に「出流」なんて言えない

泰成は俺のこと、「館花」って言うし…………

しかも、ちょっと高くて、ザ・女子って感じの声

ということは、つまり……

「いつもと同じ」！？

「デート」

それをするという意味は………

すっかり忘れてた

カレカノ

だから、お詫びに

確か凜音と道を歩いてたはず

不思議と心地良い

……もうちょっと

此処に居てもいい気がしてくる

夢

そうだ、さっき見ていたのは

夢、だ

あいつとデートする夢

あいつとの夢が？

胸に

妙な疼きが

「もっと、見ていたい」

「あいつが幸せそうに笑う夢を」

髪をガシガシとかきむしる

「触んな」

親友にそんなことを思うのは良くないと

分かってはいるのだ、けれど

「誰にも触られて欲しくない、触って欲しくない」

「誰のモノにもなるな」

「俺のモノになれ」

「誰にも渡さない」と

醜い嫉妬が

絶えず溢れる

恋

そう考えれば腑に落ちる

今までの感情も

態度も

38.7℃

そう、俺は今日

あいつに告白するつもりだった

少し回復したから来たものの

面白そうなのは一つもない

「私からのチョコはうけとらないよね」

すごく悲しそうに

そう、そうだ

痛かった、苦しかった

理由が分からないことも、側に居てくれない事も

笑ってくれない事も

お前の初めてになれない事も

お前の「特別」になれなかった事も

何処かに行ってしまう

行くな

それがどういう意味なのか

それを確認するのが楽しみだ

そして

夢でお前に言った言葉を贈るよ

「今までで一番幸せにしてやるよ」

と