明星の自宅
寝室
樋宮 明星
シロ
明星が熟睡し
その間に必要な物を追加で恋が買いに行き
することもない私は
スマホをいじるのも飽きて
寝息をたてる明星を何となく見た
樋宮 明星
シロ
シロ
私はカーテンを閉めようと立ち上がった
シロ
はずだった
シロ
樋宮 明星
ベットから伸びた明星の手が
服の袖を引いていた
シロ
樋宮 明星
まだ少し力のない声
しかし
シロ
樋宮 明星
樋宮 明星
手首を覆う
熱い体温に目を見開く
シロ
シロ
樋宮 明星
シロ
樋宮 明星
樋宮 明星
樋宮 明星
口を挟む余地もなく
明星はとても寂しそうな声を出す
シロ
樋宮 明星
ぐっと
手首を掴む手に力がこもる
シロ
樋宮 明星
樋宮 明星
シロ
シロ
そして次の瞬間
手首を掴む大きな手は
一際強い力で
私を自分の方に引き寄せた
シロ
樋宮 明星
ベットに横になる明星を覗き込むような形で
私たちは視線を交わす
シロ
樋宮 明星
熱にうだった瞳は
彼の発する言葉のように
今にも溶けてしまいそうな感じがした
シロ
樋宮 明星
さっきよりも言葉に宿した怒りを感じとったのか
しぶしぶ明星は手を離した
シロ
そしてその手は
樋宮 明星
樋宮 明星
樋宮 明星
迷いなく私のつけているマスクを下ろした
生ぬるい空気
湿った温度
少しの汗のような匂い
一気になだれ込んできたものに
一瞬思考が鈍る
シロ
そして
ふつふつと
熱を持ち湧き上がり始める感情
樋宮 明星
樋宮 明星
樋宮 明星
三日月形に緩く細まる
樋宮 明星
悪魔の瞳
シロ
シロ
樋宮 明星
樋宮 明星
熱い大きな手は
無遠慮に私の頬をなで
樋宮 明星
樋宮 明星
包み込むような形におさまる
樋宮 明星
樋宮 明星
シロ
シロ
ぷつん
張りつめていたなにかが
切れた
シロ
シロ
私は明星の名前を呼び
頬に添えられた手を
自分の手で重ねる
樋宮 明星
樋宮 明星
シロ
シロ
シロ
いつも通り笑っている
いつも通りのその人懐っこい笑顔の中に
ほんのひとさじ
混ざりこんだ、「落胆」
樋宮 明星
あぁ、ほんとに最悪
私はその手首をつかみ
宙に放った
樋宮 明星
そして素早くマスクで顔を覆い
シロ
樋宮 明星
ぐっと
顔を明星に近づけた
樋宮 明星
シロ
樋宮 明星
シロ
シロ
樋宮 明星
シロ
樋宮 明星
樋宮 明星
ガチャっ
樋宮 明星
少し遠くで玄関の扉が開く音がした
シロ
樋宮 明星
樋宮 明星
また伸ばされた手を
今度はかわしてその場に立ち上がる
シロ
樋宮 明星
私はそのまま明星の方を見ることなく
拒否を突きつけて
部屋を出た
綾戸 恋
シロ
綾戸 恋
綾戸 恋
シロ
綾戸 恋
私は何も言わずに玄関へ歩いた
綾戸 恋
綾戸 恋
シロ
綾戸 恋
綾戸 恋
綾戸 恋
綾戸 恋
シロ
私は振り返らずに玄関のドアを開けた
綾戸 恋
綾戸 恋
綾戸 恋
少し遠くで恋の声がしたが
小さなそれは私にまで届かない
私はメッセージアプリを開く
すると
宇京 真央
菅野 揺
数分前に届いていたその2件メッセージに
小さく笑みをこぼした
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!