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とある世界でのお話
この世界では人と魔物が存在し両者が争うことが起きている
そしてこの戦争の最前線に立つのは人間側では『勇者』と呼ばれる者
魔族側では『魔王』なる存在がこの戦争の核となっている
人は魔族よりも数こそ劣るが代わりに特殊な力を有する者が多く存在する
魔王を討伐するため神に選ばれし者 勇者
人が持つ最大の武器英智を司る 魔道士
神の祝福を受け人々に癒しを与える 賢者
そんな彼らに傷一つ与えぬ壁となる 戦士
この4人が人類代表として魔王討伐にと歩を進めた
これはそんな伝説の物語の終盤の出来事である
勇者
これで終わりだ魔王！！
魔王
魔王
うぐぁぁぁぁぁぁぉぉ！！？
魔王
わ、我が……こんな傀儡に………
勇者
数をも押し切る力を教えてやる
勇者
俺ら人は仲間を想う絆の力がある！
魔王
絆……だと？
勇者
魔族にはそんな奴らはいなかったみたいだがな
魔王
みな、出世を考えて…
魔王
隣のヤツは常に敵だった……
魔王
手を取り合うなど……じゃれあうなど……
魔王
我々はしてこなかった………
勇者
それが敗因だよ
魔王
ふっ……
魔王
だが………
魔王
いい気になるなよ？
勇者
なに？
魔王
我が朽ちても魔族がこの世にいる限り
魔王
新たな魔王は生まれる……
魔王
先導者が消えれば新たな者が跡を継ぐ……
魔王
貴様らが種を残すように……
魔王
我々も頭領を残す………
魔王
引き継ぐのだ………
勇者
その時はまた滅ぼすまでだ
勇者
それこそ子孫がお前の跡継ぎを、な
魔王
魔王
クックック……
魔王
ハァーハッハッハッハッハッ！！
魔王
では、その時を楽しみにしてよう……
魔王
我もまた輪廻を超えて貴様の前に……
勇者
どーだろうな？
その後魔王は灰になり姿を消した
統率者である魔王を失った魔族は、戦意を失いみな武器を捨てた
こうして二年という短くも長い人魔戦争に終焉が訪れたのだった……
それから少し時が流れ現代
王様
いきなり呼び出して済まない
勇者
僕になにか御用が？
勇者
ただの一村人で穀潰しの僕がお呼ばれすることなど……
王様
その穀潰しに用があるんじゃ
勇者
はぁ…？
王様
お主の父は以前何者であったか知ってるか？
勇者
噂に聞くと勇者だったと…
王様
そうじゃ元勇者なんじゃよ
王様
そしてお主はその勇者の血を引く者
勇者
勇者
つまり？
王様
再び現れた魔王を討伐して欲しい
勇者
現れただけならまだ…
王様
いや、実を言うともう争いに発展してる
勇者
なんで！？
王様
以前のように争いをすることは愚か
王様
お互いそう思ってたんだ
王様
なので親睦会という名目で新たな魔王と食事をしたのだが…
勇者
え？
勇者
そこでやらかしたの？
王様
やらかしたというか…
王様
意見の違い故に…だな………
勇者
なんの意見の違い？
勇者
今後の方針とかか？
勇者
人間側と魔王側でお互いが得る利益の問題とか……
王様
いや、実は……
王様
その時食事に出していたのは
王様
異国からの新たな食文化『スシ』なるものを
王様
食べていたのだが……
王様
王様
シャリに醤油を付ける私と
王様
刺身に醤油を付ける魔王とで意見が割れてな
王様
それで口論になり戦争にまで…
勇者
発端しょうもなさすぎるでしょ！？
勇者
別にどっちでも良くない！？
勇者
お互い美味しい食べ方があるんならそれでいいじゃん！
勇者
自分の意見を相手に押し付けるからそうなるんだよ！？
勇者
失礼ですけど、王様馬鹿ですよね？
勇者
飛んだ大馬鹿者ですよね！？
王様
うるさいうるさい！
王様
私の意見が聞けんようなやつと和解するなど
王様
やはり無理なんじゃ！！
王様
とにかく腹立つからお主に魔王討伐の命を下す！
勇者
むっちゃそっちの都合じゃん…
王様
断るようならお主の母親の身柄を拘束する
勇者
力技にでてきたよこの王様
勇者
こういう人が上に立ったらもう国はおしまいだよ
王様
家族のために戦え
勇者
拒否権ないじゃん…
王様
私からの温情で少しは協力してやる
王様
木の枝と100円やるからこれで何とかしな
勇者
勇者
え？
勇者
は？
勇者
それはなめてるの？
勇者
これから命かける相手に木の枝渡す奴いる？
王様
うるさい母親を拘束されたくなければ
王様
それで世界救ってこい
勇者
クズだよこの人
勇者
この国クズしかいねぇのかよ……
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