テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

愛される貴方と、忌み嫌われる私。

何度死にたいと願ったことだろう。

でも、あの日の『彼』が私を救ってくれたんだ。

生きていても良いと

そう思わせてくれたんだ。

お母さん

優亜、叶亜

お母さん

魔法の練習をするから早く準備なさい

私の家は代々『魔法』を受け継いでいる。

しかしそれは、生まれつき使えるものでは無い。

魔法を使うために、たくさんの練習が必要なのだ。

その練習によって、魔法の優劣が決まる。

お母さん

あら、優亜はまた成功したの?

優亜

うん!

優亜

早く魔法で、たくさんの人を幸せにしたいなぁ

お母さん

きっとできるわよ

お母さん

それに比べて叶亜は

叶亜

……ごめんなさい

お母さん

ごめんなさいじゃないわよ!

お母さん

どうしてそんな簡単な魔法すら使えないの!?

お母さん

ただコップを宙に浮かせるだけよ?

お母さん

優亜は、もう願うだけで大抵の事ができるようになったのに

お母さん

この出来損ない!

『優亜』

私の双子の妹。

元から魔法の才能があり、とても有能。

だからだろう。

父も母も優亜のことだけを可愛がる。

優亜はそれを良い事に、私を見下してくるのだ。

『出来損ないの姉』と。

そんな環境の中で育ったものだから、私と優亜の魔法は正反対のものになった。

優亜は、人を『幸せ』にする魔法を使えるようになったのに対し、

私は、人を『不幸』にする魔法しか使えなくなってしまった。

そんな状態が改善されないまま10年の月日が流れ

私と優亜は高校1年生になった。

クラスメイト

優亜ちゃんおはよう!

優亜

おはよう

クラスメイト

ねぇ優亜ちゃん、聞いた?

優亜

ん?

クラスメイト

今日、転校生が来るんだって!

クラスメイト

イケメン男子!

優亜

え、本当に!?

優亜

すごく楽しみ!

クラスメイト

ね〜!

クラスメイト

優亜ちゃんならすぐ仲良くなれるよ!

クラスメイト

叶亜ちゃんとは違って……ね

叶亜

……

クラスメイト

ほら、何も言い返さない

クラスメイト

あれで優亜ちゃんの姉とか、無いわ〜笑

優亜

ちょっと笑

優亜

言い過ぎ笑

叶亜

……

クラスメイト

本当暗い

クラスメイト

さっさと失せろよ、『悪魔』

私たちの家庭環境は、この町の人なら誰でも知っている。

それ故、不幸な魔法しか使えない私は

『悪魔』

と馬鹿にされる日々だった。

先生

ほら静かに

先生

入ってきなさい

晴斗

……どうも

晴斗

新田晴斗です

晴斗

よろしく

クラスメイト

やばいやばいやばい

クラスメイト

めっちゃカッコイイ!

優亜

……かっこいい

叶亜

(かっこいい……私でも話せるかな?)

クラスメイト

ねぇねぇ晴斗くん!

クラスメイト

私たちが学校案内したげる!

叶亜

(いや、話しかけることすら難しいか)

クラスメイト

ほら、優亜も

優亜

うん!

優亜

早く行こ?

晴斗

いや、勝手に自分で見てくるからいい

優亜

そんな事言わないで

優亜

私の秘密、教えてあげるから

晴斗

……なに?

クラスメイト

この子ね、魔法使いなの!

クラスメイト

色んな人を幸せに出来るんだよ!

クラスメイト

例えば、嫌な記憶を忘れさせてくれたり

クラスメイト

欲しいもの出してくれたり!

クラスメイト

それに加えてめっちゃ可愛くて優しいの!

晴斗

興味無い

優亜

え?

晴斗

魔法とか、あほらし

優亜

本当だもん

優亜

なんなら今、何かやってあげようか?

晴斗

別に

優亜

何で?

晴斗

興味無いから

晴斗

……たく、さっきからごちゃごちゃうるさいんだよ

晴斗

案内なら、他のやつにしてもらうから

クラスメイト

え、誰?

晴斗

あいつ

叶亜

え……?

晴斗

静かそうで丁度いいわ

クラスメイト

え、やめときなよ!

晴斗

何で?

クラスメイト

あの子、優亜の双子の姉なんだけど

クラスメイト

人を不幸にする魔法を使うんだよ?

クラスメイト

その気になれば、人だって殺せる

晴斗

その気にならなきゃいいじゃん

クラスメイト

でも……!

晴斗

うざい

晴斗

……で、君の名前は?

叶亜

叶亜……です

晴斗

叶亜、悪いけど、案内してくれない?

叶亜

うん、良いよ

クラスメイト

はぁ?ふざけんな

クラスメイト

でしゃばんなよ

晴斗

うるせぇ

晴斗

でしゃばりはお前らだろ

晴斗

失せろ

叶亜

……でね、ここが図書館

晴斗

ごめん

叶亜

え?

晴斗

俺、本当は叶亜と話したくて案内頼んだだけなんだ

晴斗

覚えて……ない?

晴斗

俺のこと

叶亜

ごめんなさい

叶亜

ちょっとピンと来なくて

晴斗

だよな笑

晴斗

俺、小学校の時同じクラスだった能登山晴斗

晴斗

親が離婚して転校してきたんだ

晴斗

だから苗字も違う

叶亜

あ……

叶亜

晴斗くん?

叶亜

いつも私と一緒にお話してくれた晴斗くん?

晴斗

うん

晴斗

……なぁ、いつもあんなこと言われてんの?

叶亜

うん……

叶亜

でも、しょうがないよ

叶亜

私、出来損ないだから

晴斗

そんなことない

晴斗

叶亜がそうなったのは、環境のせいだ

晴斗

優亜と比べられて、劣等感の方が勝っただけだ

晴斗

大丈夫

晴斗

お前はちゃんとした魔法使いだよ

叶亜

晴斗くん……

優亜

ねぇ、晴斗くん

優亜

叶亜といてもつまらないでしょ?

優亜

やっぱり私が案内

晴斗

黙れ

晴斗

お前の性格は分かってる

晴斗

元クラスメイトだったんだし

優亜

え……あ!もしかして、能登山晴斗くん?

晴斗

ああ

優亜

私、私ね、ずっと言いたかったことがあるの!

優亜

絶対幸せにするので、私と付き合ってください!

晴斗

無理

優亜

どうして?

優亜

叶亜なんかより絶対良いのに!

晴斗

性格が無理

優亜

え……

晴斗

叶亜がこうなったのは、お前とお前らの両親のせいだ

晴斗

叶亜が出来損ないだからじゃない

優亜

でも、その子といたら不幸に……

晴斗

問題ない

晴斗

俺がこれから一緒にいて、叶亜にたくさん幸せを与える

晴斗

そうすればいずれ、幸せな魔法を使えるようになる

叶亜

晴斗くん……

晴斗

助けるの遅くなってごめんな、叶亜

晴斗

これから守るから

晴斗

だから俺と、付き合ってください

この日の出来事を、私は絶対に忘れない。

幸せな魔法が使える、その日まで。

この作品はいかがでしたか?

80

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚