便利屋・紫雲かぎり〜サクリファイスの花〜

欠伸を噛み殺し、

のんびりと歩く。

先を行くのは

人懐こい柴犬。

一つ息を零し、

柴犬の背中を見つめる。

便利屋として依頼された仕事内容を確認する。

腕時計に視線を向ければ、

時刻は１４時５０分を指し示していた。

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紫雲は慣れた手つきで

家の中を綺麗にしていく。

台所、洗面所、お風呂場、

リビング、ダイニング、

階段、廊下、

玄関、玄関先、

黙々とこなしていく。

今回の依頼人からは

過去に何度も依頼を受けているので

信頼して貰えているのだろう、

「好きなようにしていいから」

と言ってもらっている。

そして、

気がつけば１７時半を過ぎていた。

やれやれとため息をこぼし、

冷蔵庫を開ける。

再びこぼしそうになったため息をぐっと我慢し、

冷凍庫を開けると、

タッパーに入ったご飯を発見した。

画面に映し出されたのは、

ローカル番組。

地域の有名な和菓子店の紹介をしていた。

リモコンを操作して、

全国区のニュース番組に代える。

有名なキャスターが

眉間に皺を寄せて喋っている。

紫雲は素知らぬ顔で冷蔵庫からカレーの材料を取り出す。

キャスターが緊迫したような口調で原稿を読み上げる。

紫雲は

視線をテレビに向ける。

画面には死体が発見された橋が映っており、

その下のはブルーシートで囲まれた部分があり、

多くの警察官が出入りしていた。

紫雲は眉間に皺を寄せる。

一瞬、動揺したが

すぐに平静を保つ。

そう呟いて

スマホを取り出す。

操作をすると

スマホの画面に映像が映し出される。

それだけ言うと

スマホをポケットに押し込み、

カレーの材料を切り始めた。

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オープンチャット 【ガセネタを語る会】

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千里眼システムに侵入できるアカウントは

世界に四つしかない、

そう言われている。

紫雲も正確な数は把握していないが、

その内一つを彼は持っていた。

どういう経緯で手に入れたのかは、

一生誰にも語るつもりは無い。

ただ、

千里眼システムのアカウントを持っているからこそ

彼はあらゆる監視カメラにアクセスすることが出来、

あらゆる監視カメラを遠隔で操作することが出来た。

紫雲はネットニュースを読み進めていく。

紫雲はスマホを見る目を細める。

そう思って

スマホを操作していた手を止める。

そして、

重いため息をこぼした。

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【数日後】

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───プツッ。

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紫雲が駅前に着いたとき

彼女は駅前のバス停にある

ベンチに座っていた。

その言葉に

河西は大きく頷いて見せた。

そう言って河西は

真っ直ぐ指差した。

そこには有名なカラオケ店があった。

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