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見知らぬ本屋と12冊の呪われた絵本

第24話 - バトル５　烈火の水平思考戦【２】

2024年12月20日

#ミステリー

#心理戦

#デスゲーム

#推理

#第4回テノコン

日比野響

ＢＢ水平思考戦　ルール概要

互いの所持している絵本の登場人物を、それぞれが設定する。

その人物が誰なのかを、互いに質問をし、相手の回答によって絞り込んでいく。

先に相手が設定した登場人物を当てたほうの勝ち。

四ツ谷

さて、勝負をするためには先攻と後攻を決める必要があるけど、どっちがどっちをやる？

七星

(今回は言わば水平思考ゲーム。両者が設定した登場人物を絞り込むために、相手に質問をする)

七星

(その質問はイエスかノーかで答えられるものが有効となる。逆に言えば、答えがいくつもある曖昧なものは無効とされてしまうかもしれない)

七星

四ツ谷、ひとつだけいいか？

四ツ谷

なんだろ？

七星

例えば質問が無効なものだったとする。

七星

そうなった場合は、もう一度別の質問をすることは可能なのだろうか。

四ツ谷

いいや、質問は質問だし、例え無効であったとしても、回答することは可能だ。

四ツ谷

その判断はこちらでやらせてもらうけど、無効の質問をしたからといって、もう一度質問し直せるわけじゃない。

四ツ谷

あくまでも質問は先攻と後攻に別れて交互に行うんだ。

四ツ谷

こちらが無効の質問だと認識しても、それを告知したりはしない。

四ツ谷

そのまま相手の番に回るだけだ。

七星

(質問はイエスかノーで答えられるものに限られる。ただし、無効の質問だと判断されても、それ自体が告知されることはない。私達からすれば、淡々とゲームが進行しているようにしか見えないということか)

四ツ谷

それで、どうする？

四ツ谷

どっちが先攻をやるんだ？

七星

(私に比べて、明らかに伍代の登場人物のほうが少ない。つまり、総当たりで人物を指定していっても、いずれはあちらの登場人物のほうが先に尽きる。つまり、あちらの弾切れを待つのだとすれば、こちらは先攻に――)

四ツ谷

ちなみに言っておくけど、回答が可能なのは１度限りとさせてもらう。
回答のタイミングはどのタイミングでも構わない。

四ツ谷

そうしないと、手当たり次第に答えて総当たりをするって手段もあり得るから。

七星

(四ツ谷……良くも悪くも公平にやるつもりか。何度も回答ができるのであれば、登場人物の多いこちらのほうが有利なのに)

四ツ谷は今回の勝負を取り仕切る立場であるが、それゆえに公平な立場でありたいのだろう。

もう少しこちらに肩入れをしてくれるのではないかと思っていた七星であるが、どうやら甘くないらしい。

伍代

お手つきはできない一発勝負ってことか。

伍代

早めに仕掛けて間違えたらアウトだけど、うかうかしていると、登場人物が相手にどんどん絞られていく。

伍代

どこまで我慢して、どこで仕掛けるか――。

伍代

思ったより戦略性は高そうじゃねぇか。

七星

(回答のタイミングは各々の自由だが、しかし情報は多いほどいいはず)

七星

(ならば、ここは迷わず先攻を取りにいきたい)

七星

差し支えなければ、私に先攻をさせてもらいたいのだが。

伍代

俺は別に構わねぇよ。

伍代

ハンデだ。

七星

(この男、なにか策があるから、ここまで余裕なのか？)

七星

(それとも、勝負を純粋に楽しんでいる？)

七星

(そうでなければ、あんなニヤけた面を見せたりはしないはずだ)

七星

(下手すると命を失うかもしれないというのに、随分と大胆不敵な男だ)

四ツ谷

それじゃ、姐さんが先攻でスタートな。

一宮

七星、頼むぞ。

七星

(私を負かした男も、今回は立会人という立場だ。ここは私が必ずや勝たねばならない)

七星

(それが私なりの責任の取りかただ。彼女を１人にしたら、こうなることは予期できたはず。そこまでのことを考えなかった私に落ち度がある)

七星

それでは行くぞ。

七星

伍代が設定した登場人物は人間である。

七星

イエスかノーか。

伍代

へぇ、そう来るわけか。

伍代

うーん、なんて答えるべきだろうなぁ。

しばらく考えたのちに、伍代は小さく首を縦に振る。

伍代

あぁ……イエスだな。

七星

(今の質問、実は無効となる可能性が非常に高い。さっきの会話の中で、人魚姫や乙姫の扱いをどうするかということになったが、結局のところ基準は曖昧なままだ)

七星

(人魚姫や乙姫は人間として定義するか――それに対し四ツ谷は、挙げた登場人物は有効だと答えただけで、人間とするか否かの判断まではしていない)

七星

(すなわち、これは分からない質問。そもそも質問の根底部分が曖昧だから、イエスかノーで答えられるものではない)

七星

(伍代自身、その定義が曖昧になったままだろう)

七星

(そして、定義が曖昧なままにイエスと答えられても、それが正確だとは限らない)

七星

(よって、この質問については無効となってしまう)

七星

(けれども、なにも考えず無効にしたわけではない。私が見たかったのは、質問をされた後の伍代の反応だ)

七星

(伍代は私の問いに対して、しばし考えるような素振りを見せた。それはなぜか――自分が設定した登場人物が、それに該当する可能性があるからだ)

七星

(そうでなければ――つまり、人間だと確定している登場人物をセットしているのであれば、あそこまで考え込んだりもしなかったはず)

七星

(つまり、伍代は唯一人間かの判断に困る乙姫をセットしている可能性が高い)

七星

(どうする？)

七星

(もう少し様子を見るべきか。それとも仕掛けるべきか――)

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