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私が呪われた館の魔女です。

第4話 - 第4話「新たな人生」

2025年04月23日

#恋愛

#ファンタジー

#タイムスリップ

#逆行

#悪女

#やり直し

Nemuri

ベアトリーチェ

それではお父様、お母様、ルーク。行って参ります。

母ヒストリア

帰ってこないでちょうだいね。

父アルムス

公子様に迷惑はかけるなよ。

両親は私にそう耳打ちすると、笑顔で手を振ってきた。

ルーク

姉さん……

ベアトリーチェ

？

ルーク

僕ももうすぐで向かうから、王都に行ったらすぐ会いに行くからね！

ベアトリーチェ

ええ、また王都で会いましょうね。

シュガ

では、そろそろ。

ルーク

……

ベアトリーチェ

ええ。

私は形上最後に家族に挨拶をしてこの村を離れた。

馬車の窓越しに見るルークは、何だか寂しそうな顔をしていた。

ベアトリーチェ

ルーク……

シュガ

……

ベアトリーチェ

（これも貴方を救うため）

ベアトリーチェ

（私がこの村に居続ければまたあの悲劇が訪れる）

ベアトリーチェ

（私自身も、あの環境から逃れる為には王都に行くのが正解だったわ）

シュガ

少し道のりは長いが、身体は痛くないか？

ベアトリーチェ

ええ、お陰様で大丈夫よ。

新たな人生の幕開け。

ベアトリーチェ

（王都に着いたらずっと彼の世話になる訳にも行かないし、どうしようかしら）

ベアトリーチェ

あの、レイン公子様

シュガ

シュガでいい。

ベアトリーチェ

え……

シュガ

呼びにくいだろ。

ベアトリーチェ

はい……シュガ様。

シュガ

様もいらない。敬語も。

ベアトリーチェ

シュガ…

昔は仲良くなってからずっとそう呼んでたのに、何だか今は少し照れくさい。

ベアトリーチェ

王都で暮らすには、私も稼がないと行けないのだけど、私の出来る事ってあるかしら？

シュガ

今いくつだ？

ベアトリーチェ

（ええと、5年前だから……）

ベアトリーチェ

16だけど

シュガ

16？

シュガは少し驚いた顔をしていた。

ベアトリーチェ

（あまり表情に出ない人だと思ってたけど、なんだか今世は色んな顔を見せてくれるわね。）

シュガ

なんで弟は学院に入学するのに、お前は行って無いんだ？

ベアトリーチェ

私が勉強をしてしまったら、色んな知識をつけて、ルークが家督を継ぎにくくなってしまうと思ったみたい。

ベアトリーチェ

だから閉じ込めて存在ごと消されたのよ。

シュガ

……学校、行きたいか？

ベアトリーチェ

え

シュガ

王都に行けば魔法を使っても何も言われない。

シュガ

それを生かした仕事をするのもいいし、新たな知識を勉強するのも良いだろう。

シュガ

俺が後押しする。

ベアトリーチェ

どうしてそこまで……

シュガ

何でだろうな。

シュガ

何だか、お前を見てると、放っておけなくなる。

願っていいのだろうか。

魔女と呼ばれ、火炙りにされて、全てを呪った私が

幸せになる事を願っても許されるのだろうか。

ベアトリーチェ

…行ってみたい。

ベアトリーチェ

学校

シュガ

ああ、任せろ。

こうして長い王都までの道のりは、あっという間に過ぎていった。

使用人

お帰りなさいませ、
シュガ様。

シュガ

客人だ。

シュガ

暫くこの屋敷に滞在してもらう、客間に案内してくれ。

使用人

かしこまりました。

ベアトリーチェ

そ、そんなに丁重に扱わなくていいわよっ……

ロメオ

荷物は私が持ちます。

ベアトリーチェ

えっ！ロメオ！？

ベアトリーチェ

どうしてここに…

ロメオ

奥様がお嬢様に着いていけとおっしゃいました。

ベアトリーチェ

（たしかに、令嬢なのに使用人の一人もつけてないと疑われるわよね）

ベアトリーチェ

（さすが、どこまでも世間体を気にして……）

ベアトリーチェ

貴方が来てくれて嬉しいわ。

ロメオ

身に余るお言葉です。

シュガ

長旅で疲れてると思うから、まずは部屋で休んでくれ。

ベアトリーチェ

ええ、ありがとう。

そして私は客間に案内された。

ベアトリーチェ

え……ここを使うの？

使用人

はい。シュガ様からこのお部屋をお使いくださいと仰せつかっております。

ベアトリーチェ

（広すぎない？）

使用人

お連れの方はこちらのお部屋にどうぞ。

ロメオ

私は使用人ですのでお気づかいなく。
後ほど自分で確認します。

使用人

かしこまりました。
では私はこれで失礼致します。

使用人

何かございましたら扉の外に使用人達が居ますのでお声がけ下さい。

ベアトリーチェ

ありがとう。
ご苦労さま。

私は使用人の子が部屋を出た事を確認してベッドに倒れ込んで横になった。

ベアトリーチェ

はぁーーーーーー

ロメオ

……

ベアトリーチェ

こんな寝台、生まれて初めて使うのだけど。

ロメオ

良かったですね。お嬢様。

ベアトリーチェ

……（見て見ぬふりもできたのに、ロメオは無愛想ながらもずっと私の面倒をみてくれた）

ベアトリーチェ

一緒に来てくれたのが貴方で良かった。

ベアトリーチェ

本当に。

ロメオ

…

ロメオ

長旅でお疲れでしょう。

ロメオ

少し休んでください。

そういってロメオは一礼して部屋を出た。

ベアトリーチェ

学校か……うまくやって行けるのかな。

そうぼんやり呟いた後、気づけば私は瞼を閉じた。

ベアトリーチェ

あれ……ここはどこ？

村人

あいつが魔女よ！！！！

ベアトリーチェ

っ……！

村人

この異端者！！！

母ヒストリア

ううっ……魔女が私達の娘に取り憑いたのよ……！

ベアトリーチェ

皆やめて！

父アルムス

お前のせいでルークも死んだんだ！！

ベアトリーチェ

ルーク？

ルーク

姉さん……

ルーク

苦しいんだ。身体が痛くて……辛い。

ルーク

僕は姉さんを助けようとしたのに……どうして姉さんは僕を助けてくれなかったの？

ベアトリーチェ

ご、ごめんなさいルーク…。
私はあなたを助けられなかった……

ベアトリーチェ

ごめんなさいお母様、ごめんなさいお父様。

父アルムス

生まれてくるべきじゃなかった。

母ヒストリア

産むべきじゃ無かった。

ベアトリーチェ

生まれてくる……べきじゃ……無かった…

シュガ

……

誰がが優しく私の頬に触れた。

その瞬間、何だか怖い夢を見ていた気がしたけど、ほんの少しだけ、暖かい夢に変わった気がした。

そして私はまた眠りについた。

目を覚ますと、辺りはもう暗くなっていた。

ベアトリーチェ

あれ……私どのくらい眠っていたのかしら…

シュガ

3時間ぐらい。

ベアトリーチェ

っ……！！！

私は驚いて咄嗟に起き上がった。

ベアトリーチェ

シュ…シュガ！？

ベアトリーチェ

どうして部屋に……

シュガ

入学手続きを済ませたから、１ヶ月後に編入生として学校に入れると言いに来たんだ。

ベアトリーチェ

そんな、何から何まで……

シュガ

一応ご両親からも承諾を得た。

ベアトリーチェ

え……一体どうやって

シュガ

……秘密。

ベアトリーチェ

っ……

珍しく悪戯に笑うシュガ。

白銀の髪がふわりと揺れ、爽やかな青の香りがほんのり香る。

ベアトリーチェ

（なんだか…変に顔が熱い…）

何故か、彼の全てを見通すような碧い瞳が目に焼き付いて離れなかった。

私が呪われた館の魔女です。

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