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放課後。
教室に残る人は、もう少ない。
部活に行く人。
帰る人。
それぞれの足音が、
廊下に消えていく。
僕はまだ席に座っていた。
特に理由はない。
ただ_____
なんとなく、
帰る気にはなれなかった。
窓の外は、
夕焼けに染まり始めている。
静かな時間。
このくらいの空気が、丁度いい。
赤枝煌 アカシコウ
ふと、視線を動かす。
教室の後ろ。
白石が一人で立っていた。
珍しい、
と思った。
いつもなら、誰かといるはずなのに。
声をかけるべきか、
少し迷う。
でも、
その前に気づいてしまった。
____笑っていない。
白石は、窓の外を見たまま、
何も表情を浮かべていなかった。
あの、いつもの笑顔が、ない。
ただ、静かに。
どこか遠くを見るような目で、
夕焼けを見つめている。
その姿は、
どこか_____
赤枝煌 アカシコウ
思わず、そんな言葉がこぼれた。
小さな声だったのに、
白石の肩が、びくりと揺れる。
ゆっくりと、こちらを振り向く。
白石樺伶 シライシカレン
その声は、
いつもより少しだけ低くて、
少しだけ、弱かった。
一歩、近づく。
赤枝煌 アカシコウ
問いかけると、
白石は一瞬だけ、何か言いかけて__
やめた。
口を閉じて、
ほんの少しだけ視線を落とす。
その仕草が、妙に引っかかる。
白石樺伶 シライシカレン
そう言って、
ゆっくりと、笑う。
でも、その笑顔は___
どこかぎこちなかった。
完璧だったはずのそれに、
ほんの少しだけ、ひびが入っている。
赤枝煌 アカシコウ
呼びかける。
今なら聞けるかもしれない。
そう思った。
でも_____
廊下から、声が飛んできた。
白石の表情が、変わる。
一瞬で、元に戻る。
白石樺伶 シライシカレン
明るい声。
さっきまでの空気が、嘘みたいに消える。
白石樺伶 シライシカレン
いつも通りの笑顔で、そう言って、
教室を出ていく。
足音が遠ざかっていく。
残された教室は、まだ静かになる。
_____違う。
あれは、見間違いじゃない。
赤枝煌 アカシコウ
机に視線を落とす。
あの一瞬、
言いかけて、やめた言葉。
揺れた声。
赤枝煌 アカシコウ
ぽつり、と呟く。
胸の奥に残る違和感は、
もう消えそうになかった。
それどころか、
少しずつ、大きくなっている。
ほどけかけた糸みたいに、
触れれば、きっと_____
戻らない。