陽愛(ひより)
え、ちょっと待ってよ!
陽愛(ひより)
どうして?
陽愛(ひより)
私の気持ちはどうなるの?
母親
大丈夫よ、たまには会いに行っていいから…
母親
今まで通り仕事は頑張るから…
陽愛(ひより)
なんでよ、なんで離婚なんてするの!
陽愛(ひより)
上手くいっていたじゃない!
母親
入院している間、家事まで手が回らない事が多くて…
母親
…。そりゃそうよね、娘が入院しているからって家事をやらない理由にはならないわよね、ごめんね…
陽愛(ひより)
そんな事ないよ!
陽愛(ひより)
私も率先して手伝うからさ…!
母親
ごめんね…でももう、何度も話し合いをしたの。
陽愛(ひより)
私抜きで話し合いしたの?
陽愛(ひより)
小さい子供じゃないんだから…話してほしかった。
母親
じゃあ、今夜お父さんが帰ってきたら最後の会議をしましょう。
陽愛(ひより)
え?
陽愛(ひより)
うん…
母親
貴方が言ったら何か変わるかもしれない…私はもう…きっと無理だけど…そんなに不満があるのなら、貴方から言いなさい。
そう言われてしまって涙が溢れた。
陽愛(ひより)
どうして…どうしてなの?
母親
ごめんね、でも貴方のせいじゃないから責任感じなくていいからね
陽愛(ひより)
う…ん。
陽愛(ひより)
…部屋行くわ。
母親
うん、夕飯の支度するから出来たら呼ぶね。
陽愛(ひより)
わかった…
一人になりたかった。
そっとしておいてほしかった。
陽愛(ひより)
(どうして…こんな時に…舞奈との事でも…悩んでるのに…)
ソファーでうずくまっていると途中で寝てしまったようで目が覚めた時両親の話し声が聞こえた。
が、目覚めたばかりだからかハッキリしていない。
所々聞こえるが話が繋がらないといった所だ。
陽愛(ひより)
(リビング行ってみよ…)
陽愛(ひより)
お父さんおかえり!
父親
あ、陽愛…!
少し動揺しているようだった。
陽愛(ひより)
どうしたの?
父親
あっ、あのな…
陽愛が問いかけると気まずそうな顔をした。
だから、母親に視線を送る。
母親
お父さんから聞きなさい。私、言いたくない。
母親
この子には残酷すぎる。
母親
自分で招いた結果なんだから自分で言いなさいよ。
陽愛(ひより)
どうしてそこまで言うの?
父親
陽愛…。
父親
やっぱりもう、家族には戻れない…
陽愛(ひより)
どうして?
陽愛(ひより)
どうして教えてくれないの?
父親
このまま一緒にいても…家族として接してくれないからだ…
陽愛(ひより)
私、そんな事しないよ!
陽愛(ひより)
お母さんなら私が説得する!
母親
陽愛…貴方が言ったら家族に戻れるかもしれないと言ったのは私だけど…やっぱり部屋に戻っていてちょうだい…!
陽愛(ひより)
どうしてよ!
ついに泣き出してしまった。
限界だった。
そのまま声を上げて泣き続けた。 どれくらいの時間が経っただろう。
頬には涙のあとが付いている。
このまま泣いていても仕方ないと自分の部屋に戻った。
両親は泣いている間困った表情をしていたけれど部屋に行こうとすると安心したように話し始めた。
階段を上った所で足を止め、音も無く階段を下りリビングのドアの前でしゃがみこんで話を聞く。
が、その事を後悔した。 『聞かなければよかった。 』と。